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ニートの俺が勇者に間違われて異世界に  作者: 五月雨拳人
第三章
58/127

レッツパーリー

          ◆     ◆


 買い出しを終えた平太とスィーネが武器防具屋に戻ると、店の前に黒山の人だかりができていた。


「何だ、あの人だかりは?」

「何かあったのでしょうか?」

 何かトラブルがあったのか。二人が心配しながら人の波をかき分けて行くと、人の輪の中にドーラの姿があった。


「あ、ヘイタにスィーネ。おかえり」

「ただいま、っじゃなくて、何だよこの人だかりは?」

「いや~それがね、」

 ドーラが言うには、平太たちが買い出しに行った後、これまで幾多の冒険者たちが倒せなかったルワーティクスが遂に討伐されたという話を聞きつけ、ぞろぞろと人が集まってきた。それから武具店のオヤジとシズがルワーティクスの解体を始めると、それを見物しにまた人が集まり出したのだそうな。


「……解体ショーかよ」

 平太が野次馬の輪を見回していると、

「あ、ヘイタ様ーっ!」

 ルワーティクスの革から肉を切り分ける作業が終わったシズが、こちらに向かって手を振っていた。


「お疲れ、シズ」

「頑張りました~」

 血と脂にまみれた包丁を持ちながらガッツポーズをするシズの背後には、山のような肉の塊があった。これだけの肉を切り分けるのは大変だったであろうに、シズはそんな素振りを少しも見せない。


「それじゃ、肉も準備できたことだし、河原に移動しようか」

「待ってました。焼き肉焼き肉~、お肉はいいねえ、お肉は正義だよ~」

 ドーラが嬉しそうに、自作の焼き肉の歌を歌いながら歩き出す。平太が鉄板と大量の野菜と一緒に山のように盛られた肉を担ぐと、人だかりからどよめきが起こる。そして移動する平太たちの耳に、野次馬たちのもうこれで終わりかというため息と、これからどうしようかと相談する声が聞こえた。


「ちょっと待った」

 平太は立ち止まる。そして野次馬の人数を確かめるようにぐるりと見回し、次いで肩に担いだ野菜と肉の山を見て考える。


「なあ、」とドーラたちに問う。

「せっかくだから、ここにいるみんなも一緒にどうかな?」

 その言葉にドーラたちが答えるより早く、周囲の野次馬たちから歓声が上がる。唐突な提案と観衆たちの反応に、ドーラたちは一瞬怯えたように肩を震わせるが、すぐに現実的な思考を巡らせ、

「う~ん……、まあボクたちだけじゃこれだけの量は食べきれないし、いいんじゃないかなあ」

「あたしは別にいいぜ」

「わたしも異存はありません」

「ヘイタ様がそうお望みなら」


 嬉しいことに、一同はいやな顔一つせず賛同してくれた。だが、「ですが、」とシズが不安そうに申し出る。

「大丈夫なのですか?」

「なにが? 別にみんなを満腹にさせるわけじゃないから、肉も野菜もこれで充分だろう」

「いえ、そうではなくて、こんなに大勢の人に囲まれて、ヘイタ様は大丈夫なのですか?」


「あ~……」

 言われて初めて、平太はごく自然にそうしていた事に気づいた。これまでであれば人と、特に見知らぬ他人とは極力接触しないように生きてきたし、他人などどうでもよかった。


 独りで生きてきたと思ってきたし、これからも独りで生きていけると思っていた。なので他人にコミュ症と呼ばれようが、別段気にもしなかった。

 あの暗く狭い自室の中で。

 それが今はどうだろう。当たり前のように、周囲の人間に対して気を配る事ができるようになっていた。わずかではあるが、社交性が身についてきたのだ。

「うん、大丈夫だよ。それよりゴメンね、俺の思いつきのせいで取り分が減っちゃって」

 平太が軽く笑いながら言うと、シズは少し顔を赤らめながら、

「べ、別にわたしはお肉の量が減ったからって、全然気にしませんけどね。って言うか、そんなに食べませんから」

 ぷんすか、と音がしそうな勢いで頬を膨らませると、足を早めて先を歩くドーラたちに追いついて行った。


 平太はもう一度振り返り、後をついて来る人たちを眺める。ざっと五十人くらいだろうか。

「やっぱ足りるかな……」

 今さらながら、多すぎるんじゃないかと心配になってきた。

               ☽

 ソヌスポルタの街を出て少し歩くと、広い河原に出た。川は向こう岸が霞んで見えるほど幅が広く、大型の漁船が何隻も見えるから深さも相当あるだろう。川の流れはソヌスポルタへと続いており、人々の生活用水を始め様々な生きる糧となっている。所謂生命線ライフラインだ。


「ここまで来れば大丈夫か」

 平太は荷物を下ろすと、さっそく焼き肉の準備に取りかかる。まずは鉄板を敷き、火を炊くかまどがなければ話にならない。


 石はそこら辺に腐るほどあるので心配ないし、燃料は一応炭を買い足してはおいた。万が一足りなかったら、平太がひとっ走り買いに行けば良いだけだ。

 てきぱきと石を積み上げる間、シズは平太に言われた通り肉に塩と香辛料で下味をつけたり、スジを切ったり叩いたりと下処理をする。それから完成した竈に炭を並べるのだが、これまで何度も野宿を経験しているので、このあたりの作業は慣れたものである。


 そうして竈に火が入り、鉄板がいい感じに熱せられると、平太は鉄板に油をひき、肉を並べていく。

 じゅわっと心地よい音と、肉の焼ける香りが河原に広がると、観衆の中からおお、と声が上がる。

 人々がじっと見守る間も、平太は肉が焼け過ぎないように裏返したり、肉と肉の間に切った野菜を並べていく。こうして焼き上がった順に鉄板から引き上げると、ドーラたちが持つ皿に盛っていく。その中には、いつの間に姿を現したのか、グラディーラがごく自然に混ざっていた。


「お待ちどう」

「お待ちかねだよ」

 ドーラは自分のフォークを取り出すと、さっそく肉の一切れに突き刺す。フォークは思った以上にすんなりと肉に入り、刺さった箇所から肉汁が染み出す。


「いただきま~す」

 ひと口で肉を頬張ると、熱々の肉をはふはふと口の中で躍らせる。噛むごとに肉汁が口の中に広がり、香辛料が脂の甘みを引き立てる。

「ンマーイ!」

 飲み込むと同時にドーラが歓喜の声を上げると、まだ食べていない連中がその表情と声に死ぬほど羨ましそうな顔をする。


「うめえっ! 何だこれ、今まで食った中でも一番うめえぞ!」

「これは……極上です」

 シャイナは次々と肉を口に放り込み、スィーネは上品にじっくりと味わう。そしてグラディーラは、

「美味い。これがあのルワーティクスの肉とは到底思えんな」

 フォークに刺さるだけの肉を刺すと、団子のようにそれを横から食いちぎる。まだフォークの扱いに慣れていないみたいだが、それでも手づかみよりは遥かに便利なので積極的に使っているようだ。


 平太は皆の満足気な顔にほっと一安心すると、すっかり肉のなくなった鉄板に再び肉を投入する。合間合間に野菜を置くのも忘れない。

「それにしても、岩イノシシってこんなに美味かったっけ? 俺が前に食った時は、もっと硬くて味気なかったような気がするんだが」

 ついでに参加してる武具屋のオヤジが、肉の味を確かめるようにちびちびとかじっては記憶と比べ、その差に首を傾げている。平太が貸したフォークも、持ち前の器用さで難なく使いこなしているようだ。


「たぶん、ちゃんとスジを切ったり叩いたりして下処理をしてるのと、調理前に下味をつけたのが大きいんだろう」

 ただ肉を切って焼いただけなら、素材の良し悪しですべてが決まる。だがきちんと下処理をして下味をつければ、粗悪な素材でもそれなりに美味しく食べられるのだ――と平太は昔料理漫画で読んだ事がある。今回はその受け売りが見事に功を奏しただけだ。


「一手間かけるだけで、こんなに変わるんだねえ」

 ドーラは感心しながらおかわりをもぐもぐ食べる。平太が肉ばかり乗っている彼女の皿に焼けた野菜を乗っけると、それまでの笑顔が急にしぼんだ。

「肉ばっかり食べるな」

「え~……」

「野菜も食べないと大きくなれないぞ」

 平太がそう言うと、ドーラは渋々野菜をかじりだした。彼女も何かを大きくしたいのだろう。


 仲間たちにひと通り料理が行き渡ると、今度は野次馬たちの分の調理にとりかかった。とは言え、やる事は同じである。

 ただ、彼らはせっかく平太が焼けた肉や野菜を皿に盛ってやっても、すぐには食べない。

 いや、食べられないと言った方が正しい。なぜなら、

「あちっ、あちちち」

「熱っ! 肉熱っ!!」

 せっかくの熱々で食欲をそそる料理だが、平太たちとは違い手づかみで食事をしている彼らは、手で持てなければ口に運ぶことができないのだ。


 当然彼らの不満は募り、その矛先は平太たちの使うフォークへと向けられた。

「何だよその道具は?」

「それがあれば肉が熱いまま食えるのか?」

 野次馬たちが波のように押し寄せ、次々に投げかけられる不平と質問に、平太は困惑する。


「参ったな……」

 肉が熱いから文句が出るとは予想外だった。人々は自分たちも熱々の肉を熱いまま食いたいから、その変な道具をよこせと詰め寄る。

 だがそんな事を言われても、平太が持っているのは自分が使う用だけだ。せめてここがパクス大陸ではなくカリドス大陸なら、ナイフとフォークはフェリコルリスの村で作ってるのでそちらに行って買ってくれと言えるのだが。

 そうでなくても、せめてこういう時のために手売り用のナイフとフォークをいくらか用意しておけば良かったと、平太が今さらながら後悔していると、


「む!」

 きゅぴんと眼を光らせて、ドーラが自分の荷物に手を突っ込んで漁り始める。

「これは好機と見た!」

 荷物から勢いよく抜き出された手には、フォークが何本か握られていた。続けて何度も荷物に手を入れると、その度にフォークが出るわ出るわ。結局五十本近いフォークを取り出すと、両手をパンパンと大きく鳴らす。

 突如両手を鳴らす音に、野次馬たちが騒ぐのを止めてドーラの方を向く。観衆の注意が自分に向けられたのを確認すると、ドーラは大きく息を吸い込み、あらん限りの声を張り上げた。


「さあさお立ち会い。こちらに取り出したるは、遥か遠くカリドス大陸の、フェリコルリスなる小さな村にて作られた、この世界に革命をもたらす世紀の大発明。その名は――」

 そこでドーラの声がぴたりと止まる。観衆は演出かと思い、期待を膨らませつつ彼女の次の言葉を待つ。


 が、ドーラは目を宙に泳がせ、額に脂汗を浮かべている。どうやら名前を忘れたようだ。

「……ねえ、これ何だっけ?」

 小さな声でスィーネに尋ねる。スィーネは頬張った肉をよく噛んでから飲み込むと、

「フォークです」

 先割れスプーンの時のように微妙に間違えて教えるかと思いきや、意外にも普通に答えた。思いつかなかったのか、それともたった四文字なので間違えようがなかったのかは謎である。


「そう、フォーク! これぞ、食事の仕方を根底から覆す希望の光り。これさえあれば、手も汚れないし何より、」

 ドーラは皿に盛られたまだ湯気の立つ肉を自分のフォークでぶっ刺し、これ見よがしに口に運ぶ。はふはふと熱そうに、そして美味そうに肉を食べる彼女の姿に、観衆たちの視線は釘付けに、そして意識は彼女の食べる肉と手に持つフォークに注がれる。


 ごくり、と肉を飲み込む。

「熱々の料理をこうしてすぐに食べられる。これは素晴らしい! 今まで冷めて不味くなった料理しか食べてこなかった貴方! これさえあれば、今日から熱々の料理が熱いまま食べられるよ!」


 おお、と観衆から声が上がる。ドーラの実演は、人々の不平不満を完全にそらしていた。それどころか、彼らの関心をフォークに集中させていた。

 そしてとうとう観衆の中の一人が食いついた。

「おい、それはどこで手に入るんだ!? いくら払えばいいんだ!?」

 獲物が針に食いつき、浮きが沈んだ。ドーラは釣り師のような笑みを漏らすと、

「キミたちは実に運がいい! 本来ならさっき言った通り、カリドス大陸のフェリコルリス村に行かなければまだ手に入らないこちらの一品だが、何と今ボクの手元には五十本の在庫がある。値段は破格の一本銅貨一枚! 早い者勝ちだけど、押さないで並んでね」


 言い終わるが早いか、人々は我先にとドーラの前に銅貨を握り締めて列を作った。

「俺だ! 俺が先に並んだんだ!」

「ちょと押さないで! どさくさに紛れて触らないでよスケベ!」

「金なら払う! 俺には十本売ってくれ!」


 焼肉パーティーは一瞬にして即売会に変身した。目を血走らせた民衆は統率力を失い、あわやこのままではパニックになると思われた。

 が、

「はいはい押さないで並んで並んで~。順番抜かしや横入りは、発見次第ぶん殴りま~す」

 シャイナが列を整理し、

「最後尾はこちらで~す。皆さん、列は一列でお願いしま~す」

 シズが順番を管理し、

「申し訳ありませんが、商品はお一人様一本となっておりますのでご了承ください。はい、では銀貨一枚お預かりします。お釣りは銅貨九枚となります、お確かめください。お買い上げありがとうございました」

 スィーネが売り子を担当していた。


 決してこうなる事を予想していたわけではない。もちろん、打ち合わせなどしていない。なのに、ここがチャンスと見るや瞬時に一同結束し、一糸乱れぬ統率力を発揮してこの場で商売を始めてしまった。恐るべしはドーラの嗅覚であるが、それにアドリブでついて来ているシャイナやスィーネやシズも相当なものだ。


 グラディーラが鉄板に乗せてあった肉を焦げないように片っ端から食べながら、妙に手際の良いドーラたちの動きに感心と呆れの混じった声で言った。

「ずいぶん手馴れているが、お前らは魔王討伐の傍らに行商でもしているのか? それとも行商の傍らに魔王討伐をしているのか?」

「いや、そういうわけじゃないんだが……」

 平太は苦笑いするしかなかった。


 ドーラたちの機転により、大きな混乱もなく無事に野次馬たち全員にフォークが行き渡ると、人々は初めて手にするフォークを見よう見まねでどうにか使いながら、熱々の焼き肉に舌鼓を打った。


「うめえっ! 熱い肉うめえっ!」

「お肉って、こんなに美味しかったのね……」

「これからは手を火傷せずに焼きたての肉が食えるのか……たまらんな」

 ある者は興奮し、ある者は感心し、またある者は感無量といった感じにしみじみと、フォークのありがたみと肉のうま味を噛み締めていた。

               ☽

 こうして熱さの問題が解消されると、肉の消費量は加速していった。

 だが、五十人近くいるにも関わらず肉の量は圧倒的で、時間が経つにつれて肉の消費量は目に見えて減退していった。


「そろそろ味に飽きてきましたね」

 一人で十人前くらい食べてたらそりゃ飽きるだろ、という言葉を飲み込み、平太はスィーネのこの言葉を待っていたかのように動き出した。


「じゃあ今度はこのソースをつけて食ってくれ」

 平太はスィーネにソースの入った小皿を手渡す。

「これは?」

「柑橘類の汁と酢を混ぜたものだ」

 へえ、と感心しながら、スィーネは言われるままに肉を渡されたソースにひとくぐりさせてから口に入れる。

「これは……、柑橘類の酸味とお酢の酸っぱさが、脂で重くなった口の中をさっぱりと洗い流してくれるようですね」

「しかも二つの酸味が食欲をさらに増してくれるだろ?」

「はい。これならまた新鮮な気持ちで食べられます」


 一度はフォークを運ぶ手が止まりかけたスィーネだったが、ソースを得ると再びエンジンがかかったかのように肉を食べ始めた。その様子を見て、同じく味に飽きが来ていたグラディーラが平太へと歩み寄る。


「ほう。これは実に食欲をそそる香りだな。わたしもひとつもらおうか」

「じゃあグラディーラはこいつを試してくれ」

 そう言うと平太はグラディーラにスィーネとは別の小皿を手渡した。

「これは?」

「肉から出た脂に果実酒を入れ、一度沸騰させてアルコールを飛ばしたものだ」

 グラディーラは渡されたソースに肉を浸し、口に運ぶ。

「こいつはなかなかパンチの効いた味だな。だが焼いた肉の脂を使ってるだけあって、肉との相性は抜群だ」


 スィーネとグラディーラの姿を見て、興味を持ったドーラたちが集まってくる。

「ねえねえヘイタ、そのソースとやらはもっとないのかい?」

「あるぞ、ちょっと待ってろ」


 平太が取り出したのは、果物をすり下ろしただけの単純なものだった。

「これだけ?」

「これだけとは何だ。いいからこれを肉に巻いて食ってみろ」

「は~い」

 言われた通り、ドーラは肉に巻いて食べる。だが彼女の表情はイマイチぱっとしない。

「う~ん……不味くはないけど、ただ肉の脂を薄くしてごまかしてるだけのような気がするなあ」

「なるほど。じゃあ今度は同じように肉に巻いて、それをスィーネに渡したソースをつけて食ってみろ」

「注文が多いなあ……」

 文句を言いながらも、ドーラは言われた通りにする。すると今度は「んん?」と唸って目を見開く。

「すごい! さっきとは全然違う! 酸っぱさが柔らかくなって、舌触りにも変化がついたようだ」


「シャイナはこれを試してみろよ」

「何だこれ?」

「小さな豆をすり潰してペースト状にしてみた。油がちょっとくどいかもしれないが、香りの強さがそれを補って余りあるだろう」


「ほう……」

 シャイナは訝しみながらも、平太に渡された小皿のソースを肉につけて食べる。

「ん?」

「どうだ?」

「悪くないな。けど焼いた肉よりは茹でた肉の方が合うかもしれねえな」

「まあ元ネタはしゃぶしゃぶ用のタレだからな」

「何だそりゃ?」

「いや、何でもない」

「けど、こんだけ種類がありゃ飽きずに肉が食えそうだな」

「だろ? 何せ肉はまだまだあるからな。もっと頑張って食ってもらわないと」

「それでこのソースですか」

「うん。肉が硬いのと味に変化をつければ何とかなりそうだったからね」

 スィーネは自分が言った言葉が元となっていた事に、「まあ」と手を口に当てて驚く。


「さて、評判も上々のようだし、みんなの分も用意しておくか。そろそろ他の人たちも味に変化が欲しい頃だろうし」

 そう言うと平太はそれぞれのソースを深皿に盛り、野次馬たちの元へと運んで行った。

 こうした平太の苦労の甲斐あってか、最初は食べきれないと思っていたルワーティクスの肉は綺麗になくなった。

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