サキワレスプーンヌ、世界へ
◆ ◆
屋台を後にした平太たちは、三手に別れた。
ドーラは港に赴き、フリーギド大陸へ向かう船を探しに。
シャイナとスィーネはドーラの怪しい作戦に必要な物資の買い出しに。
そしてシズと平太は今夜の宿を適当に探すように言いつけられたのだが、生憎どこも空き部屋がなかった。聞けば、オブリートゥスは明日から大きな祭りがあるため、各地から観光客が押し寄せているのだそうな。
正確には部屋が無いわけではないのだが、どこも女性陣と分けて泊まる平太用の個室がなく、五人で大部屋に泊まるなら何とかなるといった状況だった。
「困りましたねえ……よりによってお祭りの日と当たっちゃうなんて」
「五人でザコ寝ってわけにもいかないし、最悪俺だけ野宿でもいいよ」
女性四人の部屋に男一人で居心地の悪い思いをするくらいなら、一晩くらい野宿した方がマシだと思った。
「ダメですよ、そんなの。だったらわたしが皆さんを説得して、何とか同じ部屋で泊まれるようにしますから」
「いや、それはちょっと……」
シズなら本気で皆を説得しそうだし、ドーラたちなら事情を汲んで了承しそうだ。これは是が非でも宿を見つけなければならないな、と平太は焦った。
が、現実は厳しく、これ以上時間が経つと今度は五人部屋すら取れなくなりそうだったので、仕方なく二人は妥協して大部屋を一つ取ることにした。
「ま、お祭りじゃしょうがないね。むしろ部屋が取れただけ良しとしておかないと」
予想した通り、ドーラたちは何も気にしていなかった。それはそれで男として見られていないことにちっぽけなプライドが傷つく平太であったが、変に意識されてギクシャクするよりかはマシかと自分を納得させた。
部屋は宿の二階の中央よりで、窓を開けるとすぐ目の前が向かいの建物の壁だった。どうやら花火が見えないからこの部屋が余っていたようだ。広さや寝台などの設備は申し分ないから、祭りに興味のない平太たちには当たりの部屋だったと言えよう。
「それより、船の方はどうなった?」
シャイナの問いに、すっかり元の体型に戻ったドーラは如何にも苦労しましたと言った感じに答える。
「いやあホント、苦労したよ。何せ明日からお祭りでしょ? どこの船もお休みで、出たとしても祭りの花火を眺める遊覧船くらいだったからね」
そこでドーラは胸をそらし、自慢気に言う。
「でも、そこはさすがボク。ちゃーんと見つけてきましたよ。フリーギド大陸へと渡る豪華客船を。この、お祭りでどこも船を出していないさなかの、オブリートゥスで」
これ見よがしの苦労話に、一同にうんざりとした空気が流れるが、そこはつき合いが長いのか、シャイナが「はいはい、よくやったよくやった」とおざなりながらも頭を撫でてやると、ドーラは「えへへへ」とまんざらでもない感じで笑った。
「そっちはどう? ちゃんと言った物は手に入った?」
「任せてください。シャイナさんだけならともかく、わたしにそんな抜かりはありません」
そう言うとスィーネは、町を回って仕入れた品をドーラに見せる。
注文通りの品が間違いなく揃っていることを確認したドーラは、「さすが。やるね」と感心した。
「おいおいおいおいちょっと待てよ。あたしだけならともかくってどういう意味だよ?」
シャイナのツッコミが虚しく空を切る中、ドーラは先ほどスィーネたちが買い集めた品をまとめて平太の前に並べる。
見れば、長さ約30センチ、直径約5センチの材木が五本。それと彫刻刀のような色んな形状の刃をした刃物が十本ほど。あと皮紙とペン、インクなどの筆記用具があった。
「これって……」
厭な予感がした。恐る恐る平太が顔を上げると、ドーラがにやりと笑う。
「んふう、ご明察」
「とりあえず朝までに五本ほど、サキワレスプーンヌを作ってください」
「はあ? 朝まで? 冗談だろ?」
「冗談なわけねえだろ。いいからとっとと作れよ。お前が元を作らねえと話が始まらねえんだよ」
「元?」
「そう、元」
まだ話が呑み込めていない平太に、ドーラが先割れスプーンでの一攫千金計画の全貌を語る。
まず平太が元となる先割れスプーンを作る。
それをドーラが魔方陣を使って王都オリウルプスにあるデギースの店に送る。
デギースは添えられた仕様書とこの計画の説明書を元に先割れスプーンを量産する。
そこに今日出会った紳士――パヤンが買い付けに来る。
デギースはドーラの指示通りにパヤンと契約を結び、晴れて先割れスプーンは世界中に流通するようになる。
ちなみに説明書には、先割れスプーンの権利はドーラたちにあり、その売上の半分が自動的に入るようになる、と書くのを忘れない。
「という寸法さ」
「売上の半分って悪党もびっくりだろ……。どんだけぼったくる気だよ」
「ぼったくりとは聞き捨てならないな。当然の権利だよ。これからの時代、形の無いアイデアや情報にも相応の価値を認めるべきなんだよ。無形だから価値が無い、形があるから価値がある、なんて前時代的な凝り固まった考えじゃ、産業のこれ以上の発展は望めないとボクは思うな」
産業革命もまだのこの世界で、まさか情報技術の重要性を唱える者がいようとは。デギースといいこのドーラといい、亜人は未来に生きてるのではなかろうか、と平太はそら恐ろしくなる。
「まあ元を作るのは別にいいが、それをどうするんだよ?」
平太の疑問に、ドーラも「問題はそこなんだよねえ……」と困った顔をする。
「まさか俺が作ったのを見本にして、同じように職人が手彫りするんじゃないだろうな……」
「そこはちゃんと人数を集めて、数十人体制で量産させるさ」
「そのためにも時間が必要なんだが、問題はそれだけの数の彫り師が集まるかどうかなんだよなあ」
ドーラとシャイナは腕を組んで頭を悩ませているようだが、どう考えても悩みの方向があさってを向いている。
「……そんな量産体制で大丈夫か?」
ダメだこいつら。目の付け所はいいが、それ以外の現実的な部分――特に量産体制や製造工程の部分がすっぽり抜け落ちている。このままだとコストや手間を無視して量産を始め、気がついたらとんでもない赤字を作りかねない。
何とかしなければ。平太は乏しい知識の中から、フィギュア製造やガレージキット制作などのノウハウを思い起こし、それをこの世界の技術水準に当てはめてみる。
「デギースのとこなら工房があるし、武器防具を作ってるなら鋳型を使って鋳造もやってるだろう。それなら何とかなるんじゃないか?」
鋳造というこれまでまったく出てこなかった言葉に、ドーラたちは身体に電流が走ったように震える。
「え? 鋳造? 金属でサキワレスプーンヌを作るのかい?」
「いや、これ、元々は金属製だし。俺が作る技術がないから木製にしただけだよ」
「そ、そうだったのか……」
「馬鹿野郎……、そういう大事なことはもっと早く言えよ。金属なら可能性が無限に広がるじゃねえか」
「あ、うん、なんかゴメン」
「だとすると、それなりの強度があって、なおかつ原材料の安い素材を使い……」
言いながら、ドーラはペンと皮紙を取り出し、物凄い勢いで仕様書を書き連ねていく。これなら後は本職のデギースが監修すれば、量産体制は整うだろう。
ただ問題は、いきなり素体と仕様書と説明書を送りつけても、デギースがこの話に乗って来なければ話が始まらないのだが、
「ああ、その点なら心配ねえよ。あいつなら絶対この話に乗ってくる。賭けてもいいぜ」
なぜかシャイナは自信満々にそう言ってのける。よほどデギースを信頼しているのか。それとも彼の商売に対する嗅覚を信用しているのか。恐らく後者だろう。
「いいからお前はさっさとサキワレスプーンヌを作れ」
「朝までに五本はちょっとキツいぞ……」
何度か作って慣れたとはいえ、一晩で五本も先割れスプーンを彫るのはさすがに無茶だと思った。
ちなみに最高記録は一晩で四本だが、あれは商品にするなど考えもせず、ただ形になれば良しと乱雑に作ったので、あまり参考にならないかもしれない。
「わたしも及ばずながら、お手伝いします」
「わ、わたしも、何ができるかわかりませんが、とにかく頑張ってお手伝いさせていただきますっ!」
スィーネに続いてシズも加勢してくれた。これなら何とかなるかもしれない。
「よし、二人はまず俺と一緒に荒削りの方を頼む」
「わたしたちが削るんですか?」
「やり方は教えるし、綺麗にやる必要はないよ。ざっと大まかな形になるように木を削ってくれれば、後の細かい仕上げは俺がやるから」
「それならわたしたちでも何とかできそうですね」
「そこだけでも誰かにやってもらえれば、かなり時間の短縮になるからな。頼めるか?」
平太の問いに、二人は「はい」と声を揃えて力強く応えた。
平太はまずスィーネとシズと一緒に、材木を大まかに削る作業に取りかかった。最初はおっかなびっくり木を削っていたスィーネとシズだったが、平太が丁寧に教えつつ、ここまで削ってしまっても大丈夫だというラインを実演して見せると、次第に二人の作業に迷いがなくなってきた。
こうしてスィーネとシズが荒削りした木材を、平太が仕上げにかかる。その間に二人は残った木材二本をまた荒削りする。
残った二本も荒削りし終わると、スィーネはドーラと一緒に仕様書と計画書を書く作業に入った。この計画自体の説明と先割れスプーンの製造方法、三面図に注意事項など書くことは山ほどあった。
その間、シズは宿の者に掛け合って照明の油を調達したり、みんなのためにお茶を淹れたり夜食を作ったりと細々とした雑用をこなした。
作業は朝まで続いた。
シャイナはお茶飲んで夜食食って寝た。
「で、できた……」
出来上がったばかりの五本目の先割れスプーンをテーブルの上に置くと、平太は崩れ落ちるように眠りについた。
部屋の中では、すでにスィーネとシズが床に倒れるようにして眠っている。
「こ、こっちもできた……」
最後の文言『なおサキワレスプーンヌの権利は※ドーラ=イェームン並びその関係者シャイナ=ゴーダン、スィーネ=オホーネック、ヘイタ=ヒビノ、シズ=カーミナルト(以下甲)が所有するものとし、デギース=イサイエ(※以下乙)はこれを製造、販売するに際し利益の半分を甲に支払うことを条件とする』を書き終わると、ドーラも意識を失うように倒れ、
そうになったところを気合で持ち直し、魔方陣の書かれた敷物を床に敷いて、その上にさっき平太が完成させた五本の先割れスプーンの見本と、ついさっき書き終わったばかりの仕様書と計画書を置くと、最後の気力を振り絞って呪文を唱えた。
そして魔方陣に置かれた物が一瞬で消え去ったのを見届けると、ようやくドーラは「これでやっと眠れる……」と言い残してその場に突っ伏した。
完全に徹夜だった。
シャイナだけが寝台でぐっすり寝ていた。
だがそれで終わりではなかった。
ドーラが気を失うようにぱたりと床に倒れ、すうすうと寝息を立て始めて十分もしない頃、
「あ~、よく寝た」
シャイナが寝台から起き上がり、そのまま大きく伸びをしてついでに首を左右に倒してゴキゴキ鳴らす。
寝台から出て床板をミシミシ鳴らしながら大股で窓へと歩くと、勢い良く窓を開ける。すぐ目の前に飛び込んできた向かいの建物の壁にむすっとするが、それでも朝日が出て今日が快晴になりそうだというのはよくわかった。
「今日もいい天気になりそうじゃねえか」
誰ともなくつぶやくと、「よし、」と室内を振り返る。床には大量の木屑や茶碗や夜食の皿があちこちに散らばっており、その隙間を縫うようにしてスィーネとシズと平太とドーラが寝転がっている。
皆疲れ切った顔をしている。顔に当たる朝日が眩しく、苦しそうに眉をしかめて眠っている。きっと夜を徹して大変な作業をしていたのだろう。
ご苦労さん。そうシャイナは心中で皆を労う。
が、それとこれとは話は別である。
「お前らいつまで寝てんだ! さっさと起きろ!」
シャイナが両手を激しく打ち鳴らして大声で叫ぶと、地面に転がった死体のような連中が「う~」とか「あ~」とか唸り声を上げる。
「ちょ……シャイナ、ボクついさっき寝ようとしたばかりなんだけど……」
ボロ雑巾かと見間違そうなほど疲労困憊のドーラが足元に絡みつく。その姿をひと目見れば、言葉に嘘がないのはよくわかる。
「そうか、そいつは大変だったな」
にこりと笑うシャイナ。
「うん、だからもうちょっと寝かせ――」
「うるせー! 船は待ってくれねえんだよ。そもそも船を探してきたのはお前だろうが!」
シャイナが軽く足を振ると、ドーラはいとも簡単に床を転がって壁にぶつかった。
「ぎゃんっ」
「おらおら、お前らも早く起きろ! 寝るんなら船の中で寝ろ!」
シャイナは部屋の中を歩き回り、床に転がって寝ているスィーネたちを片っ端から起こして回る。
どんなに抵抗しても無駄だった。頭から毛布を被っても物凄い力で引き剥がされ、石の下の虫のように日陰に逃げ込もうとしても、やはり物凄い力で引き戻された。
力こそパワー。圧倒的な力の前に、弱者はどこまで行っても弱者であった。
結局シャイナの豪腕の前には誰も彼も無力で、強引に出立の準備をさせられると一同は宿をチェックアウトした。
それからシャイナは馬繋場に行って預けた馬を引き取って来ると、ドーラたちをそれぞれの馬に押し上げて強引に跨がらせ、三頭の手綱に縄を結わえて一人でも牽引できるようにした。
こうして半分以上寝ている一行を引っぱり、シャイナたちは港へと向かった。傍から見れば奇妙な光景であっただろう。まるで一人で四人を拉致している欲張りな人攫いみたいな格好だった。
「ったく、こいつら……いい加減にしゃんとしやがれ……」
未だ寝こけている連中にシャイナは文句をこぼすが、これこそが自分の役目だと思った。昨晩、皆が夜を徹して作業をしているのに、一人だけ早々に寝たのはこうなる事を予期してである。
シズのように細かい作業ができるわけでもない。スィーネのように絵や文字が書けるわけでもない。あの場で自分にできることは、恐らく何ひとつ無かった。だからそれ以外――翌朝皆が疲れ切って寝ていても、船の時間に遅れないように引きずってでも送り届ける。それができるのは、誰よりも力が強い自分だけだという自負すらあった。
何ができないかではなく、何ができるかで考えた結果、シャイナは今こうしているのだ。
港が見えてきた。祭りの当日ということもあって、早朝だというのにすでに人だかりができていた。祭りの日だけの特別な遊覧船があって、海から祭りを見物するのだそうな。
普段なら漁師や船乗りたちでごった返している港も、今日ばかりは家族連れやカップルが多い。そんな中、シャイナたち一行は目的の船を捜していた。
よく考えたら船の手配はドーラの担当で、シャイナたちは船の名前もどこに停留しているのかすら知らない。
「おいドーラ起きろ。船の名前は? 船着場はどこだ?」
馬の背に突っ伏して寝こけているドーラを揺すぶってみるが、完全に熟睡しているのか起きる気配すらない。
仕方なく軽く頬を二三発引っぱたくと、辛うじてアナスケーパ号という船名と、港の一番奥に停留していることがわかった。
「あぁん? 何だお前は?」
どうにか目的の船を見つけ、シャイナが乗船の手続きをしようと船に近づくと、いきなり中年の男に難癖をつけられた。
男は海の男らしく全身満遍なく日に焼けており、白い短衣から覗く太く逞しい腕には船乗りたちが信仰している海神の紋章が刺青されていた。
それだけならシャイナは威勢のいい海の男だと判断しただろうが、男の右頬に刻まれた刀傷と、右目の眼帯が独特の胡散臭さを放っていた。
「昨日うちの者が話をつけてるはずなんだが」
そう言うとシャイナはドーラの荷物の中から見つけておいた乗船券の半券を人数分取り出す。
男はそれを受け取って間違いなく自分の船のものだと確認すると、
「さっさと乗れ。すぐに出航するぞ」
そう言って半券をビリビリに破って風に飛ばした。シャイナが呆気にとられている間に、男はさっさとタラップを渡って船に上がる。あの口ぶりだと本当にすぐ出航しそうだったので、シャイナは急いで馬ごとドーラたちを船に乗せた。
アナスケーパ号は、シャイナたちが想像していたよりも遥かに大きな船だった。船員は見える箇所だけでも二十人近くいて、見えない裏方などを含めるとその倍はいるだろうと思われた。
シャイナたちにあてがわれた船室は広く、装飾品などの余分な物は見当たらないが、人数分の寝台と必要最低限の備品もあり、これなら長い船旅もそれなりに快適に過ごせそうだった。
さっそくシャイナはドーラたちを寝台に寝かせると、船の中を探索して歩いた。
船は大きいが、やはり船内の通路は狭い。人ひとりすれ違うのがやっとといった狭さで、天井も所々低くなっていて長身のシャイナは頭を屈めないと通れない。体格のいい海の男たちとすれ違う際は、どちらかが壁にべったり貼りつかなければならなかった。
船員たちの値踏みするような視線を無視しつつ、シャイナが向かったのは船倉だった。
船倉は、文字通り船の倉庫であり、そこには食料や水だけでなく彼女たちが乗ってきた馬も入れられていた。
シャイナは、見慣れぬ船倉に閉じ込められて不安にしているであろう馬たちの様子を見に来たのだ。
「よしよし、お前たち大人しくしてるか?」
閂を外して船倉に入ると、それまでそわそわしていた馬たちがシャイナの姿を見て嬉しそうに鳴いた。
船倉は、馬や家畜を入れるための設備としてはそれなりであったが、如何せん手入れが良くなかった。寝藁は敷かれているが以前に入れた家畜の後始末をしていないのか糞尿で汚れているし、桶には飼葉も水も入っていない。きっとまだ馬番が仕事をしていないのだろう。
「なんだこりゃ……。ったくしょうがねえなあ」
これでは馬も落ち着くまい。仕方なくシャイナはそこらから適当に道具を探してくると、寝藁から糞を拾い出して新しいのに替えたり、桶に飼葉や水を入れてやった。
知らない動物の臭いが消えてようやく落ち着いたのか、それともシャイナが側にいることで安心したのか、馬たちは桶の中の飼葉を食べたり水を飲んだりしてくつろぎ始めた。
「やれやれ。ようやく落ち着いたか」
馬たちが平穏を取り戻したのを確認すると、シャイナは寝藁の上に大の字に寝っ転がった。窓のない船倉は薄暗く、空気がひんやりしていて心地いい。寝藁は少しチクチクするが、取り込んだばかりなのかまだほんの少し陽の匂いがした。
「ふぁ~あ……」
シャイナは大きな欠伸をすると、そっと目を閉じる。色々あったせいか、何だか疲れた。
シャイナの意識は、すうっと吸い込まれるように夢の中に落ちた。




