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ニートの俺が勇者に間違われて異世界に  作者: 五月雨拳人
第六章
114/127

平太、決意する

          ◆     ◆


 ピコをこれ以上苦しませないためにも、勝負は一撃で決めなければならない。

 しかし、グラディーラという武器を持っているのならまだしも、素手の平太ではいくら剛身術を使っても、ウルスィスを一撃で絶命させるのは至難の業である。グラディーラの記憶から受け継いだ前勇者の記憶の中にも、素手で魔物を倒したというものは無い。


 確実に一撃で仕留められないのなら無闇に試すべきではない、と平太が決め手に悩んでいるうちに、ピコが再び襲いかかってきた。

 鋭い爪がついた腕が振り下ろされる。平太はそれを受け止め、ピコと組み合う形になる。ピコは物凄い力で押し潰そうとしてくるが、平太は剛身術でそれに耐える。


 ピコはさらに力を込めながら、平太へと顔を近づける。狂気に侵されて荒くなったピコの息が、剥き出した牙の隙間から漏れて平太の顔にかかる。

 その時、平太の首すじに生温かい液体がぽたぽたと垂れた。

 涎か、と思ったが、そうではなかった。すぐ近くにあるピコの顔を見れば、鼻や目から血が流れ出していた。呼吸も乱れ、苦しそうにあえでいる。


「ピコ!!」

 明らかに異常な状態のピコに、ロジーオが叫ぶ。思ったよりも早くピコに限界が来ているようだ。

 時間が無い。

 このまま力比べを続けていても、やがてピコは死ぬ。だが、事切れる間にどれほどの苦痛がピコを襲うかわからない。やはり今すぐにでも楽にしてやりたい。

 だが、どうすれば。

 焦りが募る平太に、シャイナが叫んだ。

「首の骨を折れ! そうすりゃ一発で楽に死なせてやれる!」

 彼女たちも、平太の話を聞いていたのだ。そして、思う事も同じだった。だから最後の一手に迷う平太を見かねて、アドバイスをしてくれたのだ。


「そうか!」

 魔物であれ何であれ、生き物で脊椎があるのなら、そこは急所だ。これまで数しれぬ獲物を仕留めてきたシャイナの助言。間違いない。

 平太は肩にのしかかるピコの腕を払いのけると、素早く背後に回り込む。そしてそのままピコの背中に飛びついてよじ登ると、両腕で首を極めにかかった。

 スリーパーホールドだ。


 が、

「と、届かねえ……」

 ピコの首が太すぎて、平太の腕が回りきらなかった。これでは首を極めるのも締めるのも不可能だ。

 ピコの反撃。背中にしがみついている平太を振り払おうと、ピコが死に物狂いで暴れる。そうはさせるかと平太が毛を掴んで堪えていると、突然浮遊感が襲った。


 ピコが後ろに向かって跳躍したのだ。

 気づいた時には、平太はピコの背中にしがみついたまま地面に叩きつけられていた。しかもピコの体重のおまけ付きだ。

 平太が一トンを超える肉の塊に押し潰され、観客が興奮の声を上げる。何しろ平太は鎧無しだ。誰もが平太は圧死したと思った。

 ピコが仰向けの状態から起き上がる。身体の下には見るも無残な死体があると待ち構えた観客たちの期待が、見事に裏切られる。

 平太は平然と、ピコの背中にしがみついていた。


「何だあいつは!? どうして生きてる!? 奴は本当に人間なのか!?」

 ウルスィスを持ち上げる腕力といい、押し潰されても死なない耐久力といい、平太のあまりにも異常な身体能力に、クターロが村人を代表するかのように叫ぶ。ドーラたちは、まるで平太のほうが魔物じゃないかと喚くクターロの姿に苦笑するしかなかった。


 歓声が上がる。平太が再びピコの首を極めにかかったのだ。

「これならどうだ!」

 平太は位置を変え、立ち上がったピコに肩車されるようにして両足をピコの首に回す。今度はギリギリ足首がロックした。これならいける。

 平太はコンマ一秒ほどためらったが、次の瞬間には全力で両足に力を込めた。両足にピコの頚椎が軋む感触が伝わる。


 ぼぎん、とその場にいる全員が、ピコの首の骨が折れる音を聞いた。

 歓声が止まる。

 静寂と、観客たちが固唾を呑んで見守る中、ピコの身体がゆっくりと前に倒れた。

 重い音を立てて、ピコが地面に倒れ伏す。ぴくりとも動かないウルスィスから足を離し、平太が側に立つと、これまでで最大の歓声が上がった。


 大番狂わせな結果に観客の興奮が最高潮に達し、耳をつんざくような歓声が沸き起こる。それを無視し、平太は床に横たわるピコの隣にしゃがみ込む。

 首の骨が折れたピコの口からは、舌がだらしなくはみ出ている。平太はそれを手で口の中に収め、せめてもの償いにと死に顔を整えてやった。

「ピコ……」

 平太の隣では、ロジーオが顔をピコの毛に埋めて泣いている。くぐもった泣き声は、平太以外の誰にも聞こえない。

 そんな二人の事などお構いなしに、村人たちが無責任に平太を持て囃す。やれよくやった、やれ凄い戦いだった。こちらの気持ちも知らずに、本当に頭にくる反応だった。


 今はただ、ピコの死に泣いているロジーオのために、静かにしてほしかった。こんなにうるさいと、少年が友達に最後の別れを告げられないではないか。

 それでも歓声は止まらない。

 親友のための号泣さえもかき消す外野の歓声に、平太はとうとう我慢の限界が来た。


「うるせえええええええええええっっっ!!」

 怒りの咆哮に、観客の声がぴたりと止んだ。

「ロジーオがピコのために泣いてるんだ! 少し静かにしてろ!」

 平太の叫びに、一度は村人たちは静かになった。だが、ただでさえ余興の興奮が冷めやらぬ上に、余所者の平太の言葉だ。素直に聞き入れない人間がいるのは、仕方のない事かもしれない。

「だからどうした? たかがウルスィスが一匹死んだだけじゃねえか。それに、殺したのはお前だろ」

 確かに直接殺したのは自分だ。それは否定しない。

 だが、そもそもこんなおかしな儀式さえなければ、

 人が人を信じる事ができていれば。


 平太は檻を両手でつかみ、村人たちに訴える。

「ああそうさ。ピコを殺したのは俺だ。だからロジーオに恨まれるのも構わないし、憎んでもらって結構だ」

 それに、と平太は続ける。

「お前らの言い分もわかる。他人は恐い。よく知らない奴は信用できない」

 自分だってそうだった。他人を恐れ、他人にどう思われるのかを気にし、結局誰とも打ち解けなかった。


 しかし、この異世界グラディアースに来て平太は変わった。

 変わろうと努力をし、そして仲間ができた。

「けど同じ人間じゃないか。魔物だって、時間をかければこうやって変われるのに、どうして人間が変われないんだ。どうして変わろうとしないんだ」


 檻を掴む平太の手が震える。

 怒りで力を込めたのではない。


「魔物とだって友達になれるのに、どうして人間同士が争ったり憎しみ合ったりしないといけない……。どうして、同じ人間なのに信じ合えないんだ……」

 平太のいた世界でも、人間同士の争いは絶えない。それは言葉や人種、風習や宗教など様々な要因が複雑に絡み合っていて、どれが一番の原因とは一概には言えない。


 ならこのグラディアースはどうだ。人種と言語と宗教が単一で、現代に比べたら争う要素は少ないはずだ。

 おまけに今は魔王が復活し、有事である。とてもではないが、仲間割れなどしている余裕など無いはずである。

 なのに何故、人と人で争う。

 魔王が出たくらいでは、人間は団結できないというのか。

 人間はそこまで馬鹿なのだろうか。

 争い、憎しみ合えば、必ずどちらかが傷つく。最悪死ぬ。魔物でさえ、死ねばこんなに悲しいのに、人間が死んだらどれだけの悲しみが襲うのだろう。

 想像したくもない。


 檻の向こうの人々を見る。彼らが自分を見る視線の、何と不快な事だろう。まるで異物を見るような奇異な視線に、平太はどんどん胸糞悪くなってくる。

 何だこれ。

 何故自分がこんな目で見られる。

 何故あいつらは他人をそんな目で見られる。

 その時、檻の向こうを見ていた平太の焦点が近づき、檻の柵に当たる。

 これだ。

 こんなものがあるから、この村の人間は歪んだ娯楽にうつつを抜かすのだ。

 これさえなければ――


 檻を掴む平太の手が震える。

 怒りで力を込めたのだ。


「こんなものがあるから、」

 鋼鉄の柵がくにゃりと左右に広がり、平太が余裕で通れる隙間が生まれる。

 ざわ、とどよめきが起こる。

 当然だろう。凶暴になったウルスィスが体当たりしても、わずかに歪んだ程度なのだ。もちろんこれまで何度も使用して、その強度は折り紙つきだったであろう。それをただの人間の、見た目も平凡な平太が素手でひん曲げたのだ。驚かないはずはない。


 だが、平太はそれで終わりではないとばかりに、悠然と自分で広げた隙間から檻の外に出る。

 振り返り、今度は檻の外から柵を両手で掴むと、

「せいっ!」

 檻全体を持ち上げた。長い間そこにあった檻が地面から引き抜かれ、いきなりかがり火のほのかな光と夜の空気に曝された虫たちが、驚いて檻のあったくぼみから逃げ出す。


 あり得ない光景にどよめきが大きくなるが、平太はそれを完全に無視。檻を掴んだ両腕を頭上に振り上げ、両足を踏ん張り上体を大きく反らして力を溜める。

 そして「ふんっ」と息を吐くと同時に、サッカーのスローインみたいに放り投げた。

 檻は縦回転をしながら夜空に放物線を描き、村の外に落下して何度も転がり冗談じみた騒音をまき散らした。


 村人全員が見守る中、村から檻が消失した。

 つい数秒前までそこにあった巨大な檻が消え、心なしか寒々しくなった広場で、村人たちは自分の目で見たはずの光景が信じられずただ沈黙していた。

「すげぇ……」

 最初に言葉を発したのは、ロジーオだった。

「ば、化け物だあ!!」

「逃げろ、殺されるぞ!」

 少年のつぶやきが引き金となり、我に返った村人たちは一斉にその場から逃げ出した。

          ☽

 土煙を上げて村人たちが逃げ出した後には、平太とドーラたちの他にはロジーオと村長しか残っていなかった。

 平太がドーラたちの手を縛った縄を解いていると、村長が驚きと申し訳なさが複雑に混じった顔で近づいて来る。

「何と言っていいかわからんが……とにかく無事で良かった」

「ああ? ンだその言い草は。テメーんとこの村人のせいで、こちとら仲間が危険な目に遭ってんだぞコラ。村長ならもっと村民をしっかりまとめとけよ」

 シャイナは縄が擦れて赤くなった手首をさすりながら、チンピラみたいな因縁をつける。


「それは……本当に申し訳ない。だがわしも村長とは名ばかりでな。村人たちはクターロの言う事ばかり聞きよる」

 どうやら最初に平太が感じた通り、村の実質的なリーダーはロジーオの父クターロのようだ。

「それよりあんたたち、この村から早くお逃げなさい」

「って言われても、ボクらは補給のためにこの村に来たんだ。まだ何も手に入れてないのに、出て行けないよ」

 この村で機会を逃すと、次にいつ人里に着くかわからない。少しでいいから水や食料を補給したいというドーラの訴えに、村長は困ったように唸る。


「……わかった。わしが何とかしよう。だがそれが済んだら、すぐに村から出て行ったほうがいいぞ」

 あれだけ恐怖に混乱していた村人たちだ。これからどういう結果になるかは安易に予想できるので、平太たちも村長の忠告には素直に従う気でいた。

 だが何よりもまず補給だ、という事で平太たちは村長の家へと向かった。

          ☽

 村長の家は村の長らしく大きく立派で、離れの蔵のような建物には予想を超える量の食料が蓄えられていた。

 聞けば村長個人のものではなく村全体の備蓄食料なのだが、村長が詫びの代わりだから持っていけと言うので素直に頂戴する事にした。

「大したものではないが、少しは旅の足しになるだろうか?」

「充分です。助かりました」

 村長に礼を言い、平太は水と食料を馬車に積み込む。


「では早く行ったほうがいい。動揺した村人たちが何をするかわかったものではない」

「わかりました。お世話になりました」

 再度礼を言い、平太たちは言われた通りすぐに村を去る事にした。トラブルはご免である。

 だが、村長の家の敷地を出たところで、

「待ちな」

 クターロが呼び止めた。彼の背後には大勢の村人たちが、その手に武器を持って立っている。


「やっぱりこうなったか」

 うんざりといった感じでシャイナが舌打ちをする。一歩前に出て、こちらも武装している事をわからせるために敢えて腰の剣に手を添えた。

「お前ら、その手に持ってるもんがどういう意味なのか、わかってやってるんだろうな?」

 言外に「そっちがその気ならこっちも本気を出す」と言われ、村人たちに動揺が走る。シャイナの実力は、すでに彼らも知っているはずだ。

 するとクターロは慌てて「ち、違う、そうじゃねえ!」と手に持っている武器を平太たちの前に放り投げた。


 続けて他の村人たちが一斉にクターロの捨てた武器の上に自分たちが持っている武器を捨て始め、がっしゃんがっしゃんと武器の山ができていく。

「……え?」

 意味がわからず呆然としている平太たちに、クターロが説明する。

「降参って意味だよ。あんたらと争う気はねえって意思表示さ」

 丸腰である事を強調するように、掌をこちらに向けてクターロがにやりと笑う。彼の後方の村人は、全員こちらに向けて万歳をした。

「どーなってんだこりゃ……?」

 これにはさすがにシャイナも唖然とし、剣にかけた手から力が抜けてだらりと垂れ下がった。


 ドーラが意見を求めるように平太の顔を見たが、平太もまだ状況に頭が追いつかず、間抜けな顔と、肩を中途半端にすくめるジェスチャーしかできなかった。

「と、とりあえず――」

 緊張して上ずった声で平太が言う。

「話し合いましょう」

          ☽

 話し合いという事で、平太たちは場所を村長の家に移した。とはいえいくら村長邸でもこれだけの人数は収納不可能なので、代表としてクターロだけが話し合いの場に残った。

「……ところで、ロジーオは?」

 話のまくらとして、平太は少し気になった事を尋ねてみる。

「泣き疲れて寝ちまったよ。明日は朝一番でウルスィスを埋めてやるってさ」

「そうですか……」

「あいつには悪い事をしたよ」

 クターロの反省と後悔の混じった顔は、出会った当初の血気盛んなリーダーという印象はなく、一人の父親の顔だった。


「それにしても、どうして急に降参する気に?」

「それを言うなら、どうしてあんたたちは俺らを殺さない?」

「どうして、って言われても……」

「あのお姉ちゃんもそうだ。あの時腰にぶら下げた剣を使えば、いくらでも俺をぶっ殺せたはずだ。なのにそうはせず、わざわざ素手で勝負してきた」

 それに、とクターロは平太に視線を向ける。

「お前さんだってそうだ。あんな化け物じみた力があるんなら、わざわざ俺らの言いなりになって檻ん中でウルスィスと戦わなくても良かっただろ。ましてや、檻をぶん投げるなら村の外にじゃなく俺らのほうに投げれば手っ取り早かったじゃねえか」


 そんな事、できるはずがない。あんなデカくて重い檻を投げつけられたら、常人などひとたまりもないだろう。

「でも、あんたらはしなかった……。さすがにそこまでされると、いくら俺らが馬鹿でもわかるぜ。ああ、こいつらは悪い奴じゃねえんだなって」

 村人たちは一度は恐怖に駆られて逃げ出したが、時間が経って冷静になってみると、平太たちに敵意は最初から無かったと気づいた。そもそも平太たちにその気があったのなら、村が見つかった時点で自分たちの命運は決まっている。それだけの事ができるのは、すでに見てわかっていた。


 それからクターロを中心に話し合いをし、これまでの事をどうにか穏便に済ませてもらえる方法を探った結果が、先の全面無条件降伏である。平太たちの目の前で自分たちの持っている武器を全て捨てる事が、彼らなりの誠意を表しだったのだ。


「今さら謝ったところで済む話でもないんだが、とにかくワビを入れさせてくれ」

 そう言ってクターロは平太たちに向けて深々と頭を下げた。

「い、いや、そんな、謝らないでくださいよ。事情はこっちも村長さんからだいたい聞いたし、余所者が信用出来ないって話はどこにでもあるから――」

 と、そこで平太は気がつく。

「……あの、だったらこっちも一つ謝らなきゃいけない事があるんだけど、」

「いやいや、お前さんがたにゃあ落ち度はねえぜ」

 謝ろうとした平太を、クターロは両手を振って否定する。

「え、でも、あの檻、ついカッとなって村の外に放り投げちゃったんですけど……」

「あ~……」


「あの、元の場所に戻しましょうか?」

「いや、それにゃあ及ばねえよ」

「え?」

「俺らもあれで目が覚めたよ。いくら余所者だからって、人間の命を娯楽にするのは間違ってる。だから、あれはもう必要ない。いや、元々あっちゃあいけないもんだったんだ」

 だからこの村にはもう必要ねえ、とクターロははっきりと言った。

「わかりました」

「その代わりと言っちゃあナンだが、ウルスィスの事は大目に見てくれねえか? ありゃあ大事な家畜であると同時に、村の外をうろついてる魔物に対しての番犬みたいなもんなんだ。あいつらがいなくなると、さすがに俺らも安心して暮らせなくなる」

「それならせめて、薬で凶暴化させるのだけはやめてもらえませんか?」

 もうロジーオのように悲しむ者が出ないようにと、せめてもの願いであったが、クターロは苦い顔をして首を横に振った。


「悪ぃが、あんたの頼みでもそいつは聞けねえな。何しろ普段のウルスィスは知っての通り、子犬のようなもんだ。あれじゃあいざって時に役に立たねえ。戦力になってもらうにゃあ、どうしてもあの薬が必要だ」

 このフリーギド大陸には魔王の城がある。なので他の大陸に比べ魔物の数や強さの水準は桁違いだ。だからウルスィスの防衛手段としての使用を禁止されると、それは村に全滅しろと言っているに等しい。


「……わかりました」

「わかってくれたかい。こっちも、できれば今後ああいった事はしたくないんだが――」

「要は、このフリーギドから魔王がいなくなればいいんですね」

 魔王がいなくなれば、魔物は魔王の影響を受けなくなって沈静化するはずだ。時間はかかるだろうが、いずれ他の大陸と同じくらいの治安は戻るはずである。


「魔王がいなくなればって、あんたそれ本気で言ってんのか?」

「本気ですよ。だって俺、勇者ですから」

「え……?」

 意味がよくわからないと言った感じのクターロに向けて、平太ははっきりと言った。


「俺が魔王を倒します」

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