表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
light here  作者: JIN.KURA
2/2

パート2

僕は様々な本や資料を読んだ、、市役所にも行った、、そして分かった事、、


国は、、法律は結婚を認めていない、、

正確には本人同士の意思があれば、結婚はできるそうだけど、その確認が取れない状態で

の結婚は認められない、、つまり、、育男と彼女の結婚は不可能だ、、


僕は何度も市役所の担当者と話した、、サインと、捺印は代理の人が押してもいい、、

ただ、婚姻届けを受理する際、本人同士の現在の状況、そして、結婚するという意思の確認は

必ずするもので、、脳死の状態での結婚はなにをどうしても無理だった、、

僕は市役所の担当者に怒鳴ったり、インチキでもいいから結婚を認めてくれ!

と、無茶苦茶言ったが、答えはNO。

市役所の担当者はすごく親身になって話を聞いてくれたし、誰が悪い訳でもない、、

俺等みたいなちっぽけな奴の叫びでは法律は変えられない、、


僕は1週間奮闘して、育男と彼女の親御さん(両親)に、育男の家で会い、この事を告げた、、

育男は無言だった、、しばらくして、、

彼女の親御さんが

「育男君、、いろいろありがとう、、私達はね、育男君に感謝してる、、

毎日、病院に来てくれて、、ここまでしてくれてもう、、娘は幸せだから、、娘の事は忘れていいから、

、育男君は育男君の幸せを考えて!」

僕はうつむいたまま、黙ってるしか無かった、、けど、僕もこの時、育男は頑張った、、

もういいんじゃないか、、という気持ちだった。

けど、育男は違った、、

育男はしばらく、、無言だったが、ポケットから1つ、、ケースを取り出し、テーブルの上に

置いた。


指輪だった。


育男は沈痛な表情で喋る、、

「僕の幸せは、、、僕しか分かりません。僕はこの先の人生も、彼女を好きでいたい。

国が認めてくれないなら、それでいいです、、けど、俺は彼女と結婚します。

明日、俺、病室行って、指輪渡すんで、、親御さん、立ち会いお願いします」


育男の強い眼差しと言葉に、、俺も親御さんも、、もうなにも言えなかった、、


そして翌日、、、


今日は育男にとって人生で最も大事な日。

僕は朝起きて、まず教会に向かう、、

国が、法律が認めてなくても、神父さんに、誓いの言葉を言わしてやりたい、、

事情は全部話した、、神父さんはね、、これは例外だという事を僕に何度も前置きした上で、、、

了解してくれた!!内緒だけど、、


13:00頃、今度は彼女の親御さんと合流、、病院に事情を説明する、、

担当医はなにも言わず、僕の説明を聞く、、

親御さんもお願いしてくれた。

なかなか認めてくれなかったけど、、担当医の方は最後に


「いい結婚式になるといいですね、、私も参加して宜しいでしょうか?」


と、言ってくれた。なんかメチャクチャ感動した。


僕に出来る準備は整った、、

後は、、20:00からの式を待つだけだ、、


19:00特別治療室はこの日だけは違う装いだ。

育男の両親、彼女の両親、担当医と他の先生方5名、それに、、僕と神父さん、、

みんなそれぞれ複雑な思いだった、、彼女のためというより、、これは育男のため、

育男が彼女を一生愛する誓いのための結婚式、、みんながこれでいいんだろうか?

と言う気持ちをもっていたと思う。けど、今日だけは、、彼女が脳死の状態になってから始めて、、

彼女の両親の笑顔がみれた、、そんなところにこの結婚の意味が少しだけだけど、ある気がした。


20:00育男が病室に来た、、


紹介のナレーションも華やかなセレモニーもなにも無い。けど、育男はタキシードを身につけ、

皆に一礼し、晴れやかな表情で彼女の元まで歩く、、

僕はこの段階でもう、涙が止まらなかった、、


「なんじ、田村育男、、あなたはさつきを妻とし、生涯かわることなく、愛する事を

誓いますか」


育男は誓った。


彼女にも同様の誓いの文章が読まれる、、


彼女からの返答は無い、、


彼女に指輪をはめる、、


彼女の両親が彼女に掛けてあったブーケをめくり、彼女は顔を見せる、、呼吸器は付けたままだ、、

指を育男の前に運ぶ、、もう病室にいたすべての人が涙を流してた、、


育男は呼吸器を付けたままの彼女に、そっとくちずけした、、、


これはドラマなんかじゃない、、奇跡なんかない、、彼女の意識は戻らないままだ。

そんな事は百も承知だ、、


式は終わった、、彼女はそのまま、集中治療室に戻って行った、、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ