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【完結】真実の愛を見つけたから離婚に追放? ありがとうございます! 今すぐに出ていきます!  作者: ゆうき


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第九十六話 破滅への道

「みなさん、大丈夫です!!」


 菌が入った瓶が割れることで、会場中がパニックに陥りそうになるが、それを事前に防ぐために、私は人生で一番と言っていいくらいの大声をあげた。


「その液体の菌は、既に無毒化されています!」


「なにを言っている? 私の作ったこいつは完璧だ! 無毒化なんてされるはずがない!」


「残念ね。その菌を更に詳しく研究して、体内に入りこむ前に菌を無毒化する薬を開発したの。それを事前にこの会場中に散布してあるのよ! 毒性を強めることばかりに注視して、菌自体の体制を疎かにしたのが仇となったわね!」


「そ、そんな馬鹿な!? 薬を作るだけではなく、無毒化までしただと!? お前程度の薬師が!?」


「私だけの力じゃないわ! 多くの人の助けをもらって、完成にこぎつけたの! 全ては、あなたを確実に捕まえる為に!」


 ヘレナ様が同じ様な方法で交渉をしてきたから、追い詰められたらマグナスも同じ様なことをするかもしれないと思い、菌と薬の研究を続けていた甲斐があったというものだ。


 ……もしかしたら、あの交渉はこのことを暗に知らせるためにしていたとか? さすがに考えすぎね。


「もうあなたに打つ手は残されていない。諦めて捕まりなさい!」


「ふざ、ふざけるな! 私は……私は悪くない! 全ては、貴様らが悪いのだ!」


 貴族達の罵詈雑言が飛び交う中、私はゆっくりとマグナスの元へと歩み寄る。


 もう何もしなくても、マグナスは逃げることは出来ないとはいえ、個人的に最後に話しておきたかった。


「……どう? 散々馬鹿にした人間によって、奈落の底に叩き落とされた気持ちは?」


 私は、さっきまでとは打って変わり、マグナスにしか聞こえないくらいの小声で、そっと囁く。


「き、貴様さえ……貴様さえいなければぁ……!!」


「ふふ、良い顔ね。おかげで、ほんの少しだけスッキリしたわ。とはいっても、私が真の意味でスッキリするのは、あなたが全てを失い、大衆の前で、大罪人として処刑された時だけど」


「しょ、処刑……!?」


「当然でしょう? あなたは下らない復讐心と自尊心で、国どころか世界を滅ぼしかねないことをした。処刑されるのは当然だと思うわよ」


「い、嫌だ! 貴様らを道ずれにするならともかく、そんな無様な死に方なんてしたくない! エリシア、私にできることなら何でもする! 謝れと言うなら、土下座だってする! だから、許してくれ!!」


 あれだけ横暴だったマグナスが、こんなに弱々しくなるなんてね。

 土下座をする姿は見たいのが本音だけど、性悪女だと誤解されて、サイラス君に嫌われるわけにはいかない。


 でも、そうね……このまま素直に駄目と伝えても、私の復讐にはならない。少しだけ、からかっちゃいましょう。


「そうね……考えてあげてもいいわ」


「本当か!?」


「ええ。考えるわ……うん、駄目。許さない」


「は……?」


 まだ可能性があると思って明るくなった表情が、たったの一言で固まり、そこからみるみると青ざめていった。


「許してほしいんでしょ? それで許すか考えた。それで、許さないと結論付けた」


「貴様ぁ!! 私を誰だと思っている!? 私は、この国の最大手の薬師ギルドの長なのだぞ!」


「こんなことを起こしておいて、まだ立場に縋るの? そもそも、大事件を引き起こしておいて、まだその座にいられるのが不思議だわ」


「な、なにが言いたい……!?」


「最低でも、ギルド長は解任、家は爵位剥奪は免れないでしょうね。まあ、処刑も免れないでしょうから、どのみち全てを失うしか道はないわ」


 自分に待つ未来は、破滅と死しかない。それを悟ったマグナスは、嫌だとか、死にたくないとか、自分は偉いんだとか、ブツブツ言いながら、ピクリとも動かなくなってしまった。


「さようなら、愚かな人。あなたが破滅してくれて、やっと私はなんのしがらみもなく、幸せな未来へと羽ばたける。本当に……とても幸せよ」


 最後に満面の笑みをマグナスに向けてから、国王様に会釈をすると、騎士団の人達が押し寄せて来て、マグナスを連行していった。


 ……これで、やっと終わったのね。前代未聞の感染病との戦いも、私の復讐も。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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