第六十話 二人きりの場所へ
「ふ~……楽しかったな!」
素材屋の後も、服やアクセサリーを見たり、帽子を見たり、ただブラブラと散歩をしたりと、まったりとした時間を過ごした。
今は休憩とすごく遅い昼食を兼ねて、綺麗なレストランで食事をしているところだ。
ちなみに、私がスパゲッティで、サイラス様がステーキを食べている。味見するかと聞かれたのだけど、減っちゃうから、私のことは気にしないで食べなさいと伝えたの。
「私も楽しかったわ。それで……最後に行きたいところがあるの」
「そ、そうなのか? そうか……ああ、いいよ! どこに行くんだ?」
今、明らかに残念そうな雰囲気が出ていた。もしかして、サイラス様も行きたいところがあったんじゃないだろうか?
「サイラス様は、どこに行きたいの?」
「俺のことはいいよ。エリシアの行きたいところに行こう」
「そういうわけにはいかないわ。私だって、あなたの行きたい所に行きたいもの」
「いや、エリシアの……」
「いえ、サイラス様の……」
デートの終盤だというのに、二人して全く譲らずにバチバチとやり合っていたけど、急にそれが面白くなっちゃった。
それはサイラス様も同じだったようで、二人揃って噴き出し、そのまま大笑いしてしまった。
「あははははっ! 俺達、何を言い合ってるんだろうな!」
「ふふっ……ほ、本当にその通りだわ! あははっ! あー、笑いすぎて顔とお腹が痛いわ!」
「俺もだよ! ちなみに、エリシアが行きたかったところってどこなんだ?」
「少し町から離れるんだけど、町を一望できる丘があるじゃない? 今日は良いお天気だし、最後に行きたいなって」
「……あははははははっ!!」
私の話を聞いたサイラス様は、一段と楽しそうに笑う。その目からは、笑いすぎて涙まで出ている。
「本当に、俺達は似た者同士だな!」
「……えっと、もしかして……?」
「ああ、俺も同じことを考えてたんだよ! 最後は静かで綺麗な場所で、二人きりになりたいと思ってさ!」
「うそ、そんな偶然ってある!?」
「ああ! これを笑うなって方が無理があるだろ!」
ここまで一致していると、もはや口裏を合わせていたんじゃないかと言われてもおかしくないくらいだわ。ああ面白い!
「そうと決まれば、そろそろ行くかい?」
「少し早くない?」
「最近は日が落ちるのが早い、もしかしたら他の人に場所を取られる、早く行きすぎても、二人でのんびりできるから問題ない。以上の観点から導いたけど、どうかな?」
「採用! それじゃあ、あの丘に出発よ!」
早速目的地に向けて出発する。ここから丘の頂上は少し距離があるし、今日はいつもの動きやすい靴じゃなくて、おしゃれな靴を履いているから、思ったより時間がかかりそうね。早めに出て正解だわ。
「エリシア、疲れてないか?」
「この程度の坂程度で疲れないわよ。マグナス様のギルドで素材を採りに行く時の道のりで、体力は鍛えられてるわ」
「さすがエリシア! ただ、これで疲れているエリシアを運んであげる作戦は、失敗に終わってしまった!」
「変な作戦立ててないで、足元をちゃんと気をつけてね!」
相変わらずなサイラス様に注意をしながら進んでいくと、無事に丘の頂上へと到着した。
到着した頃には夕方になっていて、ギルドがある町が、夕焼けに照らされて、とても美しい。
「……これこそ、まさに最高のシチュエーションかもしれないな」
「サイラス様?」
「いや、なんでもない! よっと!」
サイラス様は、服のことなど全く気にせずに、草の絨毯に寝転んだ。
「服、汚れちゃうわよ? それに、寝転がったらせっかくの景色が見えにくいわ」
「服よりもほら、今を楽しまないと。それに、景色はこれでも普通に見えるから大丈夫。ほら、エリシアもおいで」
「……うんっ」
サイラス様にくっつくように、ゴロンッと寝転がる。初めての添い寝ということもあり、ドキドキしすきて、体中が熱くなっている。
「ほら、エリシア。頭を少し上げて」
何をするのかと思ったら、自分の腕を枕にして、地面のボコボコに頭をつけなくていいようにしてくれたのね。
……本当に、優しい。本当に、好き。本当に……愛している。
もう抑えきれない。怖いのはもちろんあるけど、このまま抑え込んでいても、いずれこの気持ちは爆発してしまう。
「サイラス様」
「……エリシア?」
コロンっと少しだけ転がり、サイラス様の方に視線を移した私は、潤んだ瞳でサイラス様を見上げる。そして……ついにあの言葉が出た。
「私、あなたが好き」
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