第五十二話 宴を開くぞー!!
無事にマグナス様との勝負に勝った私達は、初めてゆっくりと患者の容体を確認することが出来た。
症状としては、前回とは変わっていないけど、その重症度は上がっている。いつ病原体が本気を出してくるかわからない状態だった。
しかし、私達の薬が間に合った。私達は、ついにルーイン病に……ううん、まだ喜ぶのは早いわね。患者がしっかりと治るまで、気を抜いてはいけないわ。
「ロンド卿、これを飲んでください」
「ごほっ……」
ちょっと咳き込んだけど、これくらいなら想定内だ。あとは一日三回飲んでもらって、何日か様子を見ましょう。
「これで、治りますか?」
「ああ、治りますよ! 俺の愛する女性と、俺の親友、そして大切なギルドのみんなと作った薬ですから!」
「……えへへ、それは効果がありそうだね……ごほん、ありそうですね」
今、確実に素が出ていたわよね。やっぱり、お父様の代わりにならなきゃって、凄く気を張っていたのね。
メアリー様のためにも、早くお父様が目を覚ますことを、心の底から願わせてもらいましょう……。
****
薬を投与してから一週間後の朝、メアリー様のお父様が完治したことを確認した私は、メアリー様と挨拶をしてからギルドに戻り……みんなに治ったことを知らせると、ギルドが歓喜に包まれた。
ハイタッチをしたり、抱き合ったり、泣きだしたりと、色々な反応で喜びを爆発させる中、近くにいたレージュ様と目が合った。
「お疲れ様でした、エリシア様。今回は大活躍でしたね」
「レージュ様こそ、色々とサポートをしてくれたり、代わりに仕事をしてくれたり、本当に感謝しています。ありがとうございます」
互いに気持ちを伝えあった後、私達は固い握手を交わした。
それは、あまり貴族や女子がやるようなものではない……固い絆で結ばれた友人が、己の結束を示すためにやるような握手だった。
「さて、ここから先はあいつに任せて、僕は退散しますね。なにかあったら呼んでください」
突然去っていくレージュ様と入れ替わりで、サイラス様がやってきた。その表情は、この前みんなを引き締めるようなことを言った人とはまるで別人のような、今にも泣きだしそうな顔だった。
「ちょ、ちょっと待って、嬉しいのはわかるわ。でも周りに皆がいるから……!」
「エリシア~! 本当に、よく頑張ったなぁ! 俺、本当に鼻が高いよ!」
「きゃあ~!!」
私の言葉も虚しく、サイラス様に持ち上げられてしまった。それどころか、その場でクルクル回ったり、高い高いみたいなことをしたり、頬同士をすりすりさせあったり……こんなに色々されたら、もうお嫁にいけない……。
「ぐすっ……そうだ。みんなに話すことがあるんだ! レージュ! すまないが、ギルドのみんなをここに連れてきてくれ!」
「……? ああ、わかった」
レージュ様は、言われた通りに今日出勤している人達を、製薬室に集めた。
「聞いてくれ! 俺達は何百年も前の奇病、ルーイン病の初の勝者となった! まだ作られていない薬を作り、完全勝利をした! これもひとえに、俺のカリスマ性があったからだろう!!」
「嘘をつくなー!」
「カリスマのカの字も無いっす~!」
「帰れ~!!」
「エリシアさんに交代してくださーい!」
ニコニコしながら起こす大ブームの嵐。その渦中にいるサイラス様も、色々言われてるのに終始ニコニコしていた。
「冗談に決まってるだろ! それと、最後に言った人、よくわかってるな! そう、全てエリシアのおかげ! ああ、さすが俺の愛するエリシアは、どんな状況でも解決に導いてしまう、まさに女神と呼ぶべき――」
「サイラス君?? 冗談もそろそろ終わりの時間よ?」
「す、すみませんっ! ついテンションが上がっちゃって! ごほんっ……まずはみんな、今回の件は本当にお疲れ様! そしてありがとう! 今回もみんなが協力してくれたおかげで、このギルドは完璧なる勝利を掴めた! 本当に、俺は素晴らしい仲間に巡り会えた!」
サイラス様の言う完璧な勝利とは、マグナス様に勝っただけでなく、ギルドの運営も一切疎かにせず、誰かが犠牲になったりもしない。これこそが、まさに完璧な勝利だ。
「そこでだ! 年中無休で開いている我がギルドだが、来週の日曜日は全面的に休日にする! そして、その日にロンド家と合同で、うちで大勝利パーティーをやるぞー!!」
『うおおおおおおお!!』
「い、いつの間にそんな話を?」
「実は、メアリー様とこっそり話を進めていてね」
私に聞こえるように、こっそりと耳打ちをして教えてくれた。
パーティーのところで、一番の雄たけびになるのは、なんだかちょっとおかしく思っちゃうわね。
でも、パーティーを楽しめる余裕がギルドに出来たのは、とても喜ばしいことね。
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