表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】真実の愛を見つけたから離婚に追放? ありがとうございます! 今すぐに出ていきます!  作者: ゆうき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/97

第四十五話 絶対に離さない

「とどいて……!!」


 私の持てる限りの力を込めてジャンプをして、最大限まで体を伸ばす。


 その結果が出るまで、僅か数秒程の時間しかないはずなのに、私にはそれが何時間にも、下手したら一生続いているかのような、奇妙な錯覚に陥ってた。


 とはいっても、それはあくまで私が感じている錯覚に過ぎない。だから、このジャンプの結果は、すぐに私に伝えられた。


「くっ……!」


 必死に体を伸ばしたおかげで、私は窓の縁に捕まることが出来た。


 捕まるといっても、なんとか手が上手く縁に引っ掛かっただけな状況で、体を支えるどころか、よじ登ることなんて、普通は出来ないだろう。


 しかし、これくらいのことは、素材採取をする時に、何度も経験している。険しい崖にしか生えない、希少な薬草とかを取る時とか、木登りとかね。


「ま、負けるものですかぁ……!」


 とてつもない負荷で震える腕に何とか力を入れて、体を少しずつ持ち上げる。


 焦って落ちてしまっては駄目だし、だからといってゆっくりしていたら、誰かに見られてしまうかもしれない。焦らず、でも急いで上らないと!


「うぐぐぐぐ……!!」


 なんとか片腕が縁に乗り、もう片腕も同じ様に乗る。そこからは、手だけではなくて腕全体の力を使えたから、そこまで苦労せずに上ることが出来た。


「はぁ……はぁ……な、何とか上手くいったわ……これ、帰りもやらないといけないって思うと、気が重いわね……」


 ……今からそんな先のことを考えてないで、まずは当初の目的を達成しないとね。

 えっと、患者は……あそこね。これだと暗いから、部屋にあるランプを一つだけ点けてっと……。


「意識は無いようね。症状は……咳に発熱……息をするのが少し苦しそうね。目もかなり充血してる……あと、随分と痩せているわね……」


 もともとやせ型の人という可能性もあるけど、それにしたってこれは酷い。ほとんど骨と皮しかないじゃない。


「あとは、採血をして病原体を回収しましょう。上手く採れればいいけど……」


 腕がとても細いから、注射器で血液を採取するのは簡単だったけど、病原体がもし血液にいなければ、意味が無いのよね。


 もっと勉強をしておけばよかったと、今日ほど後悔したことは無い。いくら数百年前が最後の患者の病気とはいえ、それも勉強していれば、もっといい方法があったかもしれないでしょう?


「後悔しても仕方がないか……さて、この目で症状の確認と採血も出来たし、早く帰ろ――」


 廊下の方から、カツッ……カツッ……と、誰かの足音が聞こえてきて、咄嗟に言葉を詰まらせた。


 もしかしたら、見回りの人がここに来ているのかもしれない。このままでは見つかって、不法侵入者として捕まってしまう!


「……躊躇っている時間は無さそうね」


 行きはうまくいったけど、帰りはうまくいくとは限らない。それでも、私には立ち止まっている時間は残されていない。


 大丈夫、一度出来たのだから、今度だって出来るはず――そうやって自分を鼓舞した私は、窓から大きくジャンプをして、なるべく太い枝にしがみついた。


 入る時とは違い、木に向かって飛び込んだせいで、枝で体中に傷が出来てしまったけど、何とか無事に飛び移れたわ。


 って、安心している場合じゃない。このままここにいたら、他の見回りに見つかる可能性がある。

 そう思った私は、怪我と疲労で休みたがっている体に鞭を打って、なんとか現場を後にした――



 ****



 翌朝、私は採取した血液と得た情報を持って、ギルド長室に来たのだけど……。


「ね、ねえサイラス様。私がしたことが、危ないことだったことは反省しているし、心配をかけてしまって申し訳ないと思っているから……そろそろ離してくれないかしら……」


「絶対に離さない。離したら、またエリシアが危険なことをするかもしれない」


 私の言葉に一切聞く耳を持たないサイラス様は、ギルド長室に置かれた椅子に深く腰をかけながら、私を膝の上に乗せ、私を力強く抱きしめている。


 実は、昨晩のことを話したら、サイラス様に凄く叱られてしまった。そして、私を膝の上に置いて、こうしてずっと抱きしめている。


 私のことを心配して、片時も離れないって意思表示なのはわかるけど、だからってこんな、ずっとギュってしてなくても……! ああもうっ、ドキドキしすぎて体中の血液が沸騰しそう!


「失礼する……って、何をイチャイチャしているんだ」


「別にイチャイチャなんてしていない。こうしないと、エリシアがまた無茶なことをしてしまうだろうからな」


「よくはわからないが……以前我々に散々心配をかけたお前が、よく言えたものだな。それと、そろそろエリシア様を開放することを強く勧める。彼女、そろそろ限界だろう」


「……? え、エリシア? どうしてそんな顔が真っ赤なんだ!? 熱でもあるのか!?」


 だ、誰のせいだと思っているのよ……私が無茶をした罰だと言われれば、それまでかもしれないけど!


「それで、一体何がどうしてそうなっているんだ?」


「ああ、実はエリシアが――」


 ようやく解放された私は、ぐったりとした状態でソファに座っている間に、サイラス様が事情を説明してくれた。

 それを聞いたレージュ様は、小さく溜息を吐いていた。


「なるほど、それは確かに少々無謀だったかもしれないな。エリシア様、こいつみたいな無謀なことは、もうしないでくださいね」


「わかりました……」


 まだボーっとしながらではあるが、弱々しく返事をした後、十分程で復活し、今後のことを二人と話し始めた。


「それで、今後はどうするか?」


「とりあえず、この菌を実験用のマウスに投与してみて、経過を観察しましょう。その間に、手分けしてルーイン病についての資料を少しでも集めましょう」


「僕もその意見に賛成だ。今回の製薬をするにあたって、現状の状態では明らかに不十分だからな」


「わかった。それじゃあ、資料集めはエリシアに任せても良いか? 俺もギルド長の仕事が落ち着いたタイミングで、適時探すから。マウスの方については、レージュに任せる」


 サイラス様の提案に、私達は深く頷いて見せた。


 明らかに絶体絶命だと思っていたけど、なんとか首の皮が一枚繋がった感じね。このチャンスを無駄にしないためにも、私に出来ることを確実にこなしていきましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


読んでいただいた方々に、お願いがございます。5秒もかからないので、ぜひ⭐︎による評価、ブックマークをよろしくお願いします!!!!


ブックマークは下側の【ブックマークに追加】から、評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタッチすることで出来ます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ