メスガキ・ハニトラに引っ掛かった萌え系イラストレーターに弁護を依頼されたら、依頼人の存在そのものがトラップだった件
「だから、和姦だったんですよ。それを、あのメスガキが一方的に勘違いして……」
中学生との淫行を動画配信中に暴露された依頼人は、そんな事を言い出した。
「いや、でも、相手は最初から貴方を罠にハメるつもりだったんですよね? それは和姦とは言えないかと……」
「ですけど……」
マジで、その「メスガキ」は用意周到にも程が有った。
録音に隠しカメラに……そして、動画配信中に依頼人の淫行を暴露した時には、既に警察に通報してただけでなく、証拠まで提出してやがった。
「それに、たしかにボクも、その『メスガキ』のやった事は、どうかと思いますけど、これがSEXじゃなくて『台所に有るお酒飲んでいい?』だったら、どうしました? 中学生に、そんな『おねだり』をされて『うん、いいよ』とか言って、その中学生が本当に酒飲んで、それがバレたら、どう考えても、貴方の方が責任が重くなるでしょ。例え、その中学生が最初から貴方を罠にハメるつもりだとしてもですよ。そして、貴方のやった事は、中学生に酒飲ませると同等以上に重大な事なんですよ」
「弁護士さんッ‼ 貴方、どっちの味方ですかッ‼ あの雌畜生が、どんだけ世間に迷惑をかけたと思ってるんですかッ‼ ソシャゲでもラノベでも、俺のイラストを使ったモノは全部……」
「えっと……それが賠償沙汰になったら、その『メスガキ』に訴状を送り付けるのは無理だと思います。そんな訴訟起しても、裁判所に門前払いされると思いますが……」
「えっ? じゃあ、誰が、この大損害の責任を……」
「ソシャゲの配信元や、ラノベの出版社から、損害賠償の訴状が届くのは貴方です」
「そんな馬鹿なッ‼ 先生、だから、貴方、一体どっちの……」
「判りました。じゃあ『貴方は和姦だったと勘違いした』という『設定』で、弁護を進めますが、減刑とか情状酌量につながるかは別問題ですよ。下手したら『反省の意志なし』で刑が重くなる可能性も……」
「違うんですッ‼ 本当に和姦だったんですッ‼」
「あのですね、和姦ってのは、双方が和姦だと思ってないと成立しないんです。相手が最初から貴方を罠にハメるつもりだったのなら、それは、どう考えても、貴方だけが和姦だと勘違いして……」
「だから、違うんですッ‼ あのメスガキの妹とは和姦だったんです。それをアイツが勘違いした挙句に俺を逆恨みして……」
……。
…………。
……………………。
ほんの数秒だった気もするし、数分間だったようにも思えた。
俺が、その言葉の意味を理解するまで、どれだけの時間がかかっただろうか?
「あの……貴方がやった淫行は一件だけじゃなかったんですか?」
「え……えっと……それが……何か?」
「で、その『メスガキ』の妹さんとやらは……貴方と初めてやった時の年齢は……」
「高学年だったのは確かです」
「は?」
「ですから、高学年ですよ」
「小学校の高学年ですか?」
「ええ、だから、そう言ってますよね?」
え……えっと……その……。
「すいません、弁護士には守秘義務が有るので、今聞いた話は墓の中まで持って行きますが……」
「はぁ……それで……?」
「すいません、俺には貴方の弁護は無理です。他の弁護士を探して下さい」