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おもらしと秘密の恋心

作者: 楽泥

# おもらしと秘密の恋心


学校帰りの真美は、家路を急いでいた。


「間に合わない、間に合わない……」


3時間目が終わる頃から感じていた尿意は、下校時間になるにつれて強くなっていた。授業中にトイレに行こうか迷ったものの、恥ずかしさから結局我慢してしまった。そして今、その決断を後悔していた。


白のブラウスに身を包み、スカートの裾をぎゅっと握りしめながら走る。鞄が腰に当たるたび、膀胱への圧迫が強まり、思わず足を止めてしまう。


「あとちょっと…家まであとちょっとなのに…」


細い路地を曲がったその瞬間、前方不注意から人と衝突し、真美はアスファルトの上に転んでしまった。


「いたっ…」


痛みよりも先に、身体の奥から押し寄せる感覚に慌てふためく。制服のスカートはめくれ上がり、白いショーツが丸見えになっていることに気づかないほど、真美は我慢することに必死だった。


「だ、だめぇっ…!」


必死に押さえていた尿道が限界を迎え、温かい液体が勢いよく溢れ出す。白かったショーツが次第に黄色く染まり、流れ出すおしっこでスカートもお尻のあたりを中心にビショビショになっていく。


恥ずかしさよりも先に感じたのは、解放感だった。長時間我慢していた尿意から解き放たれる瞬間、真美の表情は一瞬だけ恍惚としたものに変わる。


冷静さを取り戻した真美は、自分が何をしているのかを理解し、慌てふためいた。しかし、その声も上ずり、うまく言葉にならない。熱い液体に下半身がおおわれる感覚に、思わず身震いした。


真美が当たってしまった相手は、しばらくその様子を驚いた表情で眺めていたが、やがて心配そうに声をかけてきた。


「大丈夫か?」


低く、でも優しい声に、真美はハッとして顔を上げた。その声は聞き覚えがあった。


「真美、大丈夫か?」と再び自分の名前を呼ばれ、頭一つ分は身長差のある相手の顔を見上げた。


「えっ?お兄ちゃん…?」


ゆっくりと目を見開く真美の視界に、幼い頃からずっと憧れていた健一の姿があった。


健一は小さな頃から優しくて、いつも真美の話を聞いてくれる頼れる存在だった。そんな健一に、今、中学生になった自分が、道端でおもらしをしている姿を見られるなんて…。


恥ずかしさと、何より健一に嫌われてしまうという恐怖感で、真美は頭が真っ白になった。


「大丈夫だよ。ほら、立って—」


健一が差し出した手を無視し、真美は濡れたスカートを抑えながら立ち上がると、「ごめんなさい!」と叫び、再び家に向かって走り出した。


後ろから健一の「待って!」という声が聞こえたが、振り返ることはできなかった。


---


その日から数日、真美は健一に嫌われてしまったと思い込み、暗い日々を過ごしていた。


食欲も失せ、学校でも机に突っ伏していることが多くなった。放課後は真っ直ぐに家に帰り、部屋に閉じこもる日々。精神的にも参ってしまった真美は、しばらく大丈夫だったおねしょも、毎晩するようになっていた。


「また…やっちゃった…」


朝、目を覚ますと、シーツは濡れ、着ていた体操服もびっしょりだった。最近では、そんな状況にも慣れてきている自分がいる。


その朝も、真美は布団から出ると、びっしょりになった体操服を脱ぎ、白の下着も取り替えた。いつものように、下着姿のまま濡れた体操服と下着、シーツをビニール袋に入れると、洗面所へと向かった。小学校の時に着ていた体操服は、いまだに着れるほど、真美の体は小さかった。


自分の体型を鏡で確認しながら、胸がまったく膨らんでいないことに改めて気づく。146センチという身長も、周りの子から見れば幼く映るだろう。


「こんなんじゃ、お兄ちゃんにも相手にされないよね…」


そんなつぶやきが口から漏れた。


真美は鏡に映る自分の姿を見つめながら、健一との思い出を振り返っていた。とても仲の良かった二人。真美は幼い頃から健一のことが大好きで、よく遊びに行っていた。健一が一人暮らしをするようになってからは、「健一君もお仕事があるだろうからじゃましちゃだめよ」と母親に言われ、足が遠のき、しばらく疎遠になっていた。


あまり親しい友達もいない中、いつも優しくしてくれた健一が忘れられない。次第に、それが「好き」という感情だとぼんやりと気づき始めていた。


「私、お兄ちゃんのこと…好きなんだ」


こっそりとそう呟いた言葉は、鏡に反射して戻ってくるだけだった。


真美は最近、奇妙な夢を見るようになっていた。いつもの体操服姿で健一の部屋で過ごす夢。健一は笑ってくれて、頭を撫でてくれる。幸せな気持ちでいっぱいになる中、下半身がムズムズとして、尿意を感じる。普段の尿意とは違う不思議な感覚。


夢の中の健一は囁く。

『このままおもらししちゃっていいんだよ』

『この前のおもらしもすごくかわいかったよ』

『真美がおもらしするの見るの大好きだよ』


そんな甘い言葉に、自然と体の力が抜けていく。そして、温かい液体が溢れ出す感覚。白い綿のショーツからブルマへと伝わるおしっこの温もり。暖かく、気持ちいい。放尿と共に腹部の圧迫感が薄れていき、それに比例して幸福感と気持ちよさが押し寄せてくる。


そんな自分を健一は優しく見つめ、抱きしめてくれる。そんな夢の中で、真美は解放感と幸福感に包まれていた。


現実に戻った真美は、濡れたシーツを片付けながら、顔を真っ赤にした。こんな変な夢を見るようになってしまったのは、健一との再会がきっかけだったんじゃないか…そう思いながらも、不思議と心が落ち着いていた。


---


転機が訪れたのは、そんな日々が続いた休日の午後だった。


「真美、健一君のお家に行くから、一緒に行くわよ」


母親の声に、真美は内心驚いた。心臓が跳ねる。


(健一のお家に?でも、お兄ちゃんは…あんな恥ずかしい姿を見られた後…)


頭の中ではさまざまな不安が渦巻いていたが、母親の誘いを断る理由も思いつかず、渋々同行することにした。


健一の実家に着くと、親たちはお茶とお菓子を前に楽し気に話していた。真美は一人、愛想笑いを浮かべながら、その場にいる人形と化していた。


そんな時間がしばらく過ぎ、お暇しようかという頃、誰かが玄関を開け、入ってきた気配がした。おもむろにリビングの扉を開ける人影。それは健一だった。


真美の心臓は激しく鼓動した。目が合いそうになり、思わず視線を落とす。顔も自然と下を向き、健一のことを見ることができなかった。


しかし、意外なことに、健一は恥で小さくなる真美を見つけると、「いらっしゃい」と声をかけながら、いつものように頭を撫でてくれた。


(あれ?思ったより普通…?)


健一は真美が一人で取り残されていることを見て取り、「真美が一人で寂しそうじゃないか」と親たちに抗議してくれた。優しい健一らしい気遣いだった。


そうこうしているうちに家族は帰る支度を始めた。玄関での別れ際、真美の母親が唐突に健一に声をかけた。


「この子、いつも一人でいて、あまり友達もいないみたい。よかったら前みたいに遊んであげてね」


(余計なお世話だよ…)


真美は苦虫を噛み潰したような顔を母親に向ける。しかし母親はただ笑っているだけだった。


健一の表情を窺うと、少し驚いたような顔をしていた。健一は、自分は今は一人暮らししていること、真美ももう年頃だからと、遠慮していたことを話した。真美の母親は「水臭いこと言わないで」と笑い、「また明るくなってくれたらうれしい」と言った。


健一は頷くと、真美の耳元で「今度また声かけるね」と囁いてくれた。その言葉に、真美の胸がキュッと締め付けられた。


(お兄ちゃんは私のこと、嫌いじゃないの?)


混乱する中、真美は赤くなりつつも小さく頷いた。


去り際、母親が健一に囁いた言葉が聞こえた。


「近所なんだし、知らない中じゃない。何だったら真美のこと、もらってくれてもいいのよ」


真美と父親は驚いたが、健一は何とも言えない表情をしていた。真美はそんな母親の言葉に、一瞬だけ妄想を膨らませた。


(お兄ちゃんと一緒になれたら…どれだけ幸せだろう…)


そんな淡い期待を抱きながら帰りかけた真美だったが、母親の次の一言で凍り付いた。


「この子最近、落ち込んでて、毎日おねしょするのよ。朝下着姿で起きだしてくるからすぐわかるの。相談に乗ってあげてね」


(終わった…最悪だ…)


健一は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに優しい笑顔に戻った。真美は恥ずかしさで頭を下げたままだった。しかし健一は静かに真美の肩に手を置いた。


「俺はいつもアパートの部屋にいるから、いつでもおいで」


その言葉に、真美は顔を上げた。健一の表情には嘲笑や困惑ではなく、ただ優しさだけがあった。


(本当に…嫌じゃないの?)


帰り道、真美は健一の言葉を思い返していた。かつて健一が中学生だった頃、小さな真美を優しく世話してくれた記憶。そんな健一が、今でも変わらず自分を受け入れてくれると思うと、少しだけ希望が湧いてきた。


---


翌朝も、あの夢を見て、ぐっしょり濡れた朝を迎えた真美。


「また…しちゃった…」


窓の外を見ると、どんよりとした雲が広がっていた。天気予報も雨だ。今日の夜は湿った布団で寝ないといけないかもしれない。そう考えると、一層気分が沈んでいく。


重い気持ちを抱えながら、制服に着替え、重い足取りで学校に向かった。


午後、下校する頃には、予想通り天気が崩れ、大粒の雨がグラウンドを叩いていた。真美は教室の窓から外を眺め、雨が降りそうなのがわかっていたのに、傘を忘れた自分に嫌気がさしていた。


「もう…どうでもいいや…」


最後の授業も終わり、校舎を出る。まるで今の自分の心を表したような土砂降りだった。


荷物だけは濡れないように、ビニール袋に包んで持ってきていた。特に部活にも入っていない真美は意を決して、雨の中を歩き出した。


大粒の雨がセーラー服のブラウスを濡らし、次第に頭から、肩から、ずぶ濡れになっていく。一瞬走ろうかとも思ったが、もう今更だという気持ちで、暗く沈んだままとぼとぼと歩き続けた。


グラウンドにはすっかり水が溜まっており、白い通学靴には少しずつ泥水が染み込んできていた。歩くたびに水しぶきが上がり、ハイソックスも足首付近まですっかり茶色に染まってしまった。


校門を出る頃には、制服はびっしょり濡れ、スカーフも重く垂れ下がっていた。白のブラウスは体にぴったりと張り付き、透けた下着から肌の色が見えていた。


(こんな子供っぽい体型じゃ、誰も振り向かないよね…)


そう思いながら、気にせず歩く。濡れた制服に雨水が染み込んでくる感覚は、沈んだ心に染み込んでくるようで、意外にも悪くなかった。


校門を出たところで、突然声をかけられた。


「やっぱり、傘を持っていかなかったんだね」


雨の中、傘を2本持った健一が立っていた。1本はさし、もう1本を真美に差し出している。


「ごめんね。せっかく傘持ってきたけど、もうびしょびしょになっちゃったね」


真美は健一がここにいる理由がわからず、どぎまぎとした。健一が待っていてくれたことへの嬉しさから、かすかな期待が生まれ、上目遣いに健一を見上げた。


「真美のお母さんから連絡があって、真美が傘持っていかなかったって」


健一の言葉に、一瞬で期待が砕け散る思いだった。


(なんだ…また母さんが余計なことを…)


でも、健一の次の言葉に、真美は目を見開いた。


「でも、実は…傘のことはただの口実かも。また会いたいなって思ってたんだ」


健一は少し照れたように視線を逸らした。真美の胸がドキンと高鳴った。


「嘘…本当に?」


健一は小さく頷き、真美の濡れた髪を優しく撫でた。


「俺、真美のこと、ずっと心配してたんだ」


その言葉に、真美の心は温かさに満たされた。健一は優しく手を取り、静かに歩き始めた。


お互い無言で歩きながら、真美は昔のことを思い出していた。昔から二人とも口数は多くなかった。特に何をするでもなく、近くにいるだけで真美は安心していられた。何もしていない時間でも、つまらないと感じたことはなかった。ただ無邪気に、健一のそばにいたかっただけ。


健一は20歳。大学に通いながらプログラミングの仕事もしていた。その彼が、中学生の自分を気にかけてくれている。成長の差があるにも関わらず、真美をただの子供扱いせず、一人の人間として向き合ってくれる。そんな健一の姿に、真美は憧れと、そしてそれ以上の感情を抱いていた。


(こんなに好きなのに、私は何もできず…ただあるがままの日々を過ごしてきてしまった…)


そう思うと、強い後悔の念に心が縛られ、知らないうちに涙がこぼれ落ちた。


健一もそれに気づいたが、静かに手を引くだけだった。健一もまた、不器用な人なのだ。彼自身、真美との年齢差に戸惑い、どう接すればいいか悩んでいた。真美はまだ中学生。自分の気持ちを素直に伝えることが、彼女にとって良いことなのか、健一は確信が持てなかった。


ふと、向かう先が自分の家ではないことに真美は気づいた。涙目で健一を見上げると、健一がぽつりとつぶやいた。


「俺の家に来ないか?」


すでに自分の家に向かう角は通り過ぎていた。もう何も考えられず、真美はただ静かに頷くだけだった。


---


健一のアパートは、真美の家から歩いてもそんなに離れていない場所にあった。外観はかなり古く、美しいとは言い難い。


そんなアパートの一室の前に立ち、健一は鍵を取り出して玄関のドアを開けた。油の切れた蝶番が軽い軋み音を立てる。カーテンの引かれた部屋は、曇り空と相まって薄暗く、中の様子は窺えなかった。


電気がつくと、一目で見渡せるほどの小さなワンルームが現れた。中は外見に反して、さほど古びた印象はない。物は最小限で、こざっぱりとしていた。年季の入った建物とは対照的に、目に入る家具は比較的新しそうだった。


一足先に入った健一が、真美を招き入れる。


「ちょっと待っていて、タオル取ってくる」


健一はクローゼットからタオルを取り出すと、真美の顔を優しく拭い、髪も丁寧に拭いてくれた。真美はされるがままに、その場に立っていた。


「さて、そのびしょびしょの格好も何とかしないと、風邪をひいちゃうね」


健一は給湯器のスイッチを入れ、シャワーを勧めた。真美は言われるまま、その場で1枚ずつ制服を脱いでは健一に渡していく。


健一は顔を背けながら受け取っていたが、どこか落ち着かない様子だった。真美はそんな健一の反応に、小さな期待を抱いた。


(もしかして…緊張してるのかな?)


シャワーを浴びながら真美は考えた。昔は一緒にお風呂に入ったこともあるのに、今は恥ずかしがる健一。その変化に、少し嬉しさを覚えた。


しばらくボーっとシャワーを浴び続けていたが、外から健一の声が聞こえ、我に返った。


「真美、大丈夫か?」


「今出るね」と返事をして、シャワーを止めた。浴室の前に置かれたバスタオルで体を拭き、健一のTシャツを羽織って部屋に戻った。


健一は真美のセーラー服と下着を洗って干してくれていた。泥水のついた靴下も手洗いしたのか、白さを取り戻していた。


「ありがとう」


真美はそれだけ言って床に座った。


「人なんて来ないから、何もないんだ。ごめんね。床だとつらいだろうから、ベッドにでも座って」


真美は素直に言われた通りベッドに座り直した。健一は濡れた服が早く乾くよう、扇風機の向きを調整していた。


その後、二人の間に会話はなかった。健一は机に座りパソコンで何かをしている。真美は少し健一を見つめた後、鞄からノートを取り出し、宿題を始めた。


二人で特に何をするでもなく過ごす時間。真美はふと気づいた。


(そうだった…昔からこうだったんだ…)


そんな穏やかな時間の流れに身を委ね、真美は少し気持ちが軽くなった気がした。


外が本格的に暗くなり始める頃、健一は「送っていくよ」と声をかけた。真美は小さく頷き、ノートをしまった。


健一は「まだ完全に乾いてないけど」と、少し湿り気の残る制服と下着を渡してくれた。真美は健一の目線を気にしながら、その場で着替えた。


健一はそっと視線を外し、玄関へ向かった。真美はその背中に小さく呟いた。


「こっち見てほしいのに…」


健一の肩が小さく反応したように見えたが、真美には確信が持てなかった。


玄関では、先ほどビショビショだった靴も洗ってくれていた。汚れは落ち、水気も適度に切られていた。


外は雨も小降りになっていた。健一が傘を差し出したが、真美はあえて受け取らなかった。しばらくそうしていると、健一は一本だけ傘を開き、真美の手を引いた。


二人で一つの傘の下、静かに歩く。真美の家まで短い時間だったが、傘を共有する親密さに、真美の胸は高鳴っていた。


玄関に着くと、健一は「またおいで」と一言だけ言って、来た道を戻っていった。


---


その晩、真美は布団に入りながら、今日一日を思い返していた。少しだけ昔に戻れたような嬉しさがあった。でも同時に、こんな根暗で地味な自分なんて…と悪い方向に考えてしまう癖が出て、なかなか眠れなかった。


翌朝、あまり眠れなかった真美は重い頭を持ち上げた。時計を見ると、起きなければいけない時間をかなり過ぎていた。


寝ぼけた頭で、真美は布団の中を確認した。着ていた体操服は乾いたまま、おねしょは…していなかった。良いことのはずなのに、なぜか物足りなさを感じる自分がいた。


(あの夢を見られなかった…)


急いで支度をして、制服に着替え廊下に出ると、リビングから様子を窺っていた母親が、入れ違いに真美の部屋に入っていった。すぐに戻ってきて、「今日はしなかったのね」と言いながら、朝食を出してくれた。


その後数日は、何事もなく過ぎていった。


---


休日の朝、また寝不足で重い頭を起こす真美。頭がぼんやりして何もしたくない気分だった。


視線を落とし、自分の姿を見つめる。最近はおねしょも収まってきていたが、なぜか物足りなさを感じていた。


(こんななら、前のままの方がずっとよかった…)


そこでふと思い出す。


(そういえば、私がこの格好でいるのは、お兄ちゃんの影響だったな…)


昔、母親が真美におしゃれな服を買ってきてくれたことがあった。着たり脱いだりが面倒で、あまり嬉しそうな顔をしていなかった真美に、母親は「健一君に見せてきたら?かわいいって褒めてくれるかもしれないよ」と提案した。


その時は「そうかも」と思い、ウキウキしながら健一の家に行った。しかし、健一の反応は期待したものとは違っていた。言葉では褒めてくれたが、本心からではないことは真美にもわかった。


帰り際に「似合ってない?」と再度聞いてみると、健一は「似合ってるよ」と言いながらも、「でも、いつものほうが好きだな」と付け加えた。


「いつものって?」と考えると、普段は学校の体操服を着ていることが多かった。それから何回か違う服を着て健一の反応を見たが、体操服を着ていった時が一番喜んでくれていたように思えた。


(それ以来ずっと、特別な時以外は体操服を着て過ごしていたんだっけ…)


中学生になった今でも、成長が遅いこともあり、小学校の体操服がまだ着れる。それが自分の中の「普通」になっていた。下着も同級生たちがブラをつけ始めるなか、真美はそうする必要性をまったく感じていなかった。


昼頃になってやっと自室を出ると、母親が「もうお昼ご飯よ」と声をかけてきた。遅めの朝食とも昼食とも取れる食事をとっていると、電話が鳴り、母親が受話器を取った。


少しして母親が真美のもとに来て、「健一君から電話よ」と伝えた。「せっかく声をかけたのに、あれから顔を出さないから、風邪でも引いてないか心配してたよ」とも付け加えた。


真美の心臓は激しく鼓動し始めた。電話口に立っても、何を話せばいいのかわからず、かろうじて「お兄ちゃん…」と声を絞り出した。


健一も特に話題を展開させることなく、「今日休みでしょ。よかったらおいで」と簡潔に伝えてきた。真美も小さく「うん」と返すと、健一は「待ってる」と言って電話を切った。


ダイニングテーブルに戻ると、母親が「何て言ってたの?」と聞いてきた。真美は「おいでって言われた」と短く答えた。


しばらく無言で食事を続け、食器を片付けながら、真美は「行っていい?」と母親に尋ねた。


母親は不思議そうに「なんでそんなこと聞くの?」と反応した。真美は「前に行こうとしたらダメって言われたから」と答えると、母親は「そういえばそうだったわね。少し前まで健一君大変そうだったからね」と遠い目をした。


改めて「私、行っていいの?」と聞くと、母親は「健一君ならいいんじゃない」とよくわからない返事をした。真美が「うん」と返すと、母親は目を細めて部屋を出ていった。


一度部屋に戻って着替えようかと思ったが、健一が体操服姿の自分を好きだという思い出が脳裏をよぎり、このままの方が喜んでくれるかもしれないと思い直し、玄関へ向かった。


出かける前に母親に一声かけると、母親は顔だけ出して「あなた、その格好で行くの?」と聞いてきた。真美は「これでいい」と答えると、予想に反して母親は短く「いってらっしゃい」と返した。


心臓が早鐘を打つのを感じながら、真美は健一のアパートへと歩を進めた。緊張で手に汗をかきながらも、健一との時間を過ごせることへの期待が膨らんでいった。


(お兄ちゃんと一緒にいる時間は、とても心地がいいんだ。部屋で一人でいるときと違って、心が温かい…)


健一のアパートに着き、玄関の扉の前に立つと、さらに強くなる鼓動を抑えながら深呼吸をした。しかし、次々と浮かぶ不安な思いに、チャイムを押す勇気が出なかった。


(お兄ちゃんは私のことをどう思ってるんだろう?昔から私の世話を焼いてくれたけど、それは単に近所の幼なじみだから?手のかかる女の子だから?)


考えれば考えるほど、悪い方向へと思いは進んでいく。彼女の悪い癖だった。


チャイムに手をかけながらも押せず、ただ下を向いて立ち尽くしていた。どれくらいそうしていただろうか、突然扉が開き、健一が玄関から顔を出した。


健一は、うつむいたまま立ち尽くす真美を見て一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐに平静を取り戻し、「入って」と真美を招き入れた。


部屋に入ると、健一はいつものように何度か真美の頭を撫でてくれた。その優しい仕草に、真美の緊張は少しずつほぐれていった。


それからは、代わり映えのない時間が流れる。健一はパソコンに向かって何かをしており、真美もベッドに腰かけて、健一の姿を眺めていた。時々健一が真美の方を振り返り、目が合うと、優しく微笑んでくれる。


今日の健一の後ろ姿は、どこか緊張しているように見えた。そう思うと、真美の胸がキュンと締め付けられた。


「そういえば何も出してなかったね」と健一が立ち上がり、コップに飲み物を持ってきてくれた。周りを見回し、置く場所に困る健一の姿に、真美は思わず微笑んでしまった。それに気づいた健一は、少し照れたように苦笑いを浮かべた。


健一は机のキャビネットを出して、テーブル代わりにベッドの脇に置き、そこに飲み物を2つ並べると、自分の椅子を持ってきて真美の対面に座った。


「ごめんね。何もなくて。よかったら今度一緒に買い物に行って、必要な家具を選んでくれないかな?」


少し照れながら話す健一に、真美は驚いた。


「えっ?私でいいの?でも、お兄ちゃんの部屋の家具だし、お兄ちゃんが好きなの選んだ方がいいんじゃないの?」


一緒に買い物に行けるかもしれないという期待に胸が高鳴ったが、それを抑えつつ聞いてみた。


「うん。そうなんだけど…。ここに来るのは真美だけだから」


ドクンと、真美の心臓が大きく跳ねた音がした。


「わかった」


真美は、赤くなる顔を隠すように、うつむき加減にうなずいた。


そこからは、珍しく健一がいろいろと話しかけてくれ、和やかな時間が流れた。いつもの静かな時間も好きだったが、健一とたくさん話せたことで、真美のドキドキは止まらなかった。


やがて、短い沈黙の時間が訪れた。今まで優しい表情で話していた健一の雰囲気が変わったような気がした。


真美が不安な表情を浮かべると、健一はゆっくりと話し始めた。


「真美、ごめんね。本当はもっと早くに声をかけたかったんだ」


健一は、高校卒業後の就職活動がうまくいかず、自分のことでいっぱいいっぱいだったこと。時々沈んだ顔で歩く真美を見かけて、ずっと何かしてあげたいと思っていたこと。年も離れているし、自分から声をかけるのもはばかられたこと。できることがあるなら話してほしいということ。健一は淡々と話した後、しばらく黙り込んだ。


「いろいろ話したけど、本当は、俺が真美と一緒にいたかったのかもしれないけど…」


真美は黙って静かに聞いていた。


「…私ね。変な子なの。自分でもわかってるんだ…。中学生にもなって、道でおもらししちゃうし…」


真美は健一が気にかけてくれていたことに心が浮き立つ一方で、本当に自分を受け入れてもらえるのだろうかという不安でいっぱいだった。


「そんなことないよ!」


思わず前のめりに声を上げた健一に、真美も驚いた。健一自身も驚いたように見え、照れくさそうに頭をポリポリと掻いた。


「恥ずかしいんだけど…」と前置きし、小声で健一が続けた。「あの時はびっくりしたけど、おもらししている真美もかわいいなって。白いパンツにシミが広がっていくのを見てドキドキしたんだ」


真っ赤な顔で、真美は弱弱しく抗議した。


「そうなんだ…。あまり言わないで。恥ずかしい。…でも…うれしいかも?…」


「ううん。違うの、うれしいかもっていうのは違くて…」


真美はいろいろな思いが心を駆け巡り、自分でも何を言っているのかわからなくなっていた。


「私ね。まだ時々おねしょしちゃうんだ」


「そんなの、別に気にならないよ。そんな時もあるよね。むしろおねしょしてあわててる真美はかわいいなって思う。その場にいたら抱きしめちゃうかもしれない」


お互いの顔が、湯気が出そうなほど真っ赤になった。


「それに、私。おしゃれとかできないし…。学校以外では、ずっとこんな格好でいるんだよ。それにそれに、小学校の時からずっと…その…小さいままだし」


どんどん声が小さくなる真美。健一は恥ずかしそうに視線を逸らしながらも、優しく微笑んだ。


「俺のうぬぼれかもしれないけど、それって俺のためだよね。今日だって、その格好で来てくれてとても嬉しかったんだ。体操服姿の真美もかわいいと思うし、なにより、真美が俺のためにしてくれたことがとてもうれしいんだ。」


「この前も、雨でびしょ濡れの真美の体が透けて見えて、見ないようにしながらも、すごく意識しちゃってたんだ。真美のこと特別なんだって」


健一は少し気まずそうに言った。真美はいろいろな感情が入り交じり、一周回って真顔で健一と向き合った。


少し迷った様子を見せながら、真美はぽつりぽつりと話し始めた。


「お兄ちゃんも勇気を出して話してくれたと思うし、すごく嬉しかった。でもね。私、まだ話さないといけないことがあるの。話さなくてもいいのかもしれないけど、多分今しか話せないし、話さないと後悔しそうだし、お兄ちゃんにも悪いから」


そして真美は、おもらしするのが好きになってしまったかもしれないこと。夢の中のこと。健一に見てもらいながらおもらしするのが気持ちよくて、寝る前のトイレをわざと我慢してしまうこと。さらに、今日は夢の中と同じシチュエーションで、少し期待してしまっていたことなどを打ち明けた。


健一は真剣な表情で黙って聞いていた。


「俺はいいと思うな」


真美が驚いた顔をすると、健一は続けた。


「ちょっと驚いたけど、それって二人だけの秘密だよね。そうなら嬉しいな。変かどうかは…まぁ、わからないけど。お互い様だし。そんな真美のこともかわいいと思うよ」


「本当に、私、一緒にいていいの?私、変な子だと思うよね?」


少し間を置いて、上目遣いに真美が聞いた。


「そんなこと言ったら、俺だって真美に負けないくらい変…かもしれないし」


そう言って二人は笑い合った。しばらくそうした後、どちらからともなく寄り添うように近づき、健一は真美を抱きかかえるようにして頭を優しく撫でた。真美は目を細め、気持ちよさそうに身を委ねた。


しばらくして真美は立ち上がり、健一に向き直った。


「おトイレ…」


言葉とは裏腹に、真美の顔には不安と期待が入り混じった表情が浮かんでいた。


健一は反射的に「うん」と答えてしまい、真美の顔が曇るのを見て慌てた。しかしすぐに表情を切り替え、いたずらっぽく微笑みながら真美の手を取った。


「このまましちゃっていいんだよ。真美はおもらし大好きなんだよね。俺も真美のおもらし見たいな」


真美の顔が一瞬で明るく華やいだ。


「本当に…いいの?」


健一は優しく頷いた。真美は緊張と期待で呼吸が荒くなっていた。部屋の中央に立ったまま、体がわずかに震えている。

健一は少し離れた位置に立ち、真美の様子を優しく見守った。


「真美は本当にかわいいよ」


その言葉に、真美の胸が熱くなった。本当に受け入れてもらえているんだ。健一との信頼関係がこの瞬間、さらに深まったように感じた。


「好きなタイミングでいいんだよ。俺は真美のすべてを受け入れるから」


真美は目を閉じ、深呼吸をした。先ほどまでの緊張が、不思議と安心感に変わっていくのを感じた。体の力が抜けていき、ゆっくりと温かい液体が溢れ出した。


真美の白い綿のショーツがじわじわと濡れていく。おしっこが勢いを増すにつれ、ブルマ全体が濡れ、ズボンにおしっこの流れを描いていく。やがて脚を伝って白いハイソックスまでぬれていく。床に小さな水たまりができ始め、じわじわと広がっていく。


健一は真美のおもらしを見つめながら、その瞬間を大切に心に刻んでいた。真美のリラックスした表情、体操服に広がる水の跡、そして二人だけが共有するこの特別な瞬間。おしっこが床に流れ落ちる様子に、健一は息を呑んだ。


「真美…本当にかわいいよ」


その言葉に、真美は顔を上げ、恥ずかしそうに微笑んだ。


「気持ちよかった?」と健一が優しく尋ねると、真美はこくりと頷いた。


「うん。夢の中でしてたときよりもっと…気持ちよかった」


「見て。こんなに」と、真美はズボンとブルマを太ももまでおろし、黄色くそまったビショビショのショーツを見せる。


健一は真美の髪を優しく撫でた。


「良かった。これからも、真美が安心できる場所でありたいんだ」


真美は健一に抱きついた。彼の胸に顔をうずめながら、小さく呟いた。


「お兄ちゃん、ありがとう…私のこと、受け入れてくれて」


健一は真美をしっかりと抱きしめ返した。


「俺こそ、真美のおかげで、自分の本当の気持ちに気づけたんだ。ありがとう」


二人の秘密の時間は、これからも続いていく。それは単なる特殊な趣向ではなく、互いを完全に受け入れるという、深い絆の象徴だった。


健一は今日のことを思い出しながら、真美の成長を静かに見守っていくことを決めた。そして真美もまた、健一との関係が今後どう発展していくのか、少しの不安と大きな期待を胸に、この特別な関係を大切に育んでいくことを心に誓った。


それは誰にも語れない、二人だけの秘密の恋心。おもらしという特別な絆で結ばれた、真美と健一の物語は、ここからが本当の始まりだった。

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