『永超、魚食の礼に速記道具を遣わすこと』速記談3063
南都の永超僧都は、魚肉がないと午前も午後も何も召し上がらない方だった。朝廷に召されて京にいる間、長く魚肉を食べられなかったため、帰還するに当たり、南都まで帰り着くのももどかしく、途中の丈六堂のあたりで昼食をとることにした。弟子の一人が、近辺の在家で魚料理を用意してもらって、永超僧都に勧めた。この在家のあるじが、何日か後に見た夢には、何やら恐ろしい連中が、在家の家に印をつけて回っていたときに、自分の家には印をつけなかったので、どうしてなのか尋ねたところ、永超僧都に食事を施した家であるから除外したのだ、と答えた。その年、この村の在家は、ことごとくはやり病にかかり、死ぬ者も大層多かった。この魚料理の在家の家だけが、その難を免れた。この在家は、永超僧都にこのことを報告すると、僧都は、プレスマン一本と原文帳一冊を与えて帰らせたという。
教訓:永超僧都は、魔物も恐れる存在だったという話だが、僧侶が魚を食べるのはどうなのか。