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第三人

俺はゴミスキル“牧羊犬(シープドッグ)”の朝霧(ひゅう)。ヒツジとヤギを探せる。以上だ。

なぜかまたパーティーを組む事になった藤原さんと新たなダンジョンに来ている。

彼女もまたゴミスキルの持ち主で、小銭を綺麗にする“資金洗浄(マネーロンダリング)”が使える。


南D-C-026。前回よりもまた少し難易度が高いらしい。

そしてまた管理センターの人から謎の新人とマッチングさせられてしまった。


「遅いな…」

「やる気あんのかしら」


その新人はもう15分遅刻している。舐めてるとしか思えない。


*


「あっ、どうもどうも〜

 僕は高橋水人(うぉると)って言います!

 電車乗り間違えちゃって遅れました!」


「…朝霧です」

「…藤原です」


結局彼は40分遅れて来た。舐めてるとしか思えない。


*


「“資金洗浄(マネーロンダリング)”!」


「えっ!?」

「何してんの!?」


入場後、高橋がスキルを披露しやがった。

しかも藤原さんと被ってんのかよ……。

このパーティー、洗浄係が2人いるんだけど

管理センターの人は一体何をさせる気なんだ…。


「見てください!どうですかこの仕上がり!

 ほら、お札がシャキッとして気持ちがいいでしょう!?」


どうやらこいつは紙幣専門の洗浄係らしい。

確かに気持ちよくはなるだろうけどさ……。


「…そのスキルを使った代償は?」


「僕の場合はMP全部使いますね〜!アハハ!」


舐めてる。


*


高橋のHPは5、MPは25で完全に魔法使いタイプのようだ。

その豊富なMPをついさっき使い切ってしまったが…。


今回のダンジョンには炎の魔法が有効な敵がいる。

藤原さんのファイアボールは3回撃てるから期待しよう。


「それじゃ高橋はそこで待っててくれ」


「ええ!?入口でお留守番ですか!?

 僕も一緒に行きますよ仲間なんですから!」


「いや…MP切れた魔法使いに何ができるんだよ……」

「私は前回それで朝霧君に迷惑かけちゃったんだよね〜」


「僕も戦いますよぉ ほら武器持ってきてますし!」


取り出したのはレンタルナイフ。

藤原さんと武器まで被っている。

ますますこいつの存在意義がわからない。


*


結局彼はついてきた。

まあやられてもリポップするみたいだし、放っとこう。


ここの敵はゴブリン、コボルトに加え

マイコニドというキノコ型のモンスターが出現する。

炎属性がよく通るらしく、1匹70円はおいしい。

ゴブ20匹、コボ20匹、キノコ10匹で2700円。

藤原さんと分けて1350円だ。前回よりは稼げる。


*


ゆっくり近づいて……


…まっすぐ振り下ろす!



本日最初のコボルトを仕留めた。

あと9匹倒したら累計100匹達成だ。


おっと、高橋が吐くから準備を…。



「アハハ!すっごいなあ!

 脳味噌が飛び散って…アハハハ!」



ああ、こいつヤバい奴だわ……。


*


マイコニド発見。藤原さんの出番だ。


「ファイアボール!」


藤原さんの手の平から火の玉が放たれる。


※※


……。


…いい匂いがする。

あれ食べたらどんな味だろう。

でもモンスターだし、だめだよなぁ。


「いっただっきま〜す!」


「えっ」

「ちょっ…」


高橋がよく焼けたモンスターの死体にかぶりつく。

お前よくそんなことができるな……。

少し見直してしまった自分がいる。


「…結構イケますよ!

 お二人もどうですか〜!」


やっぱりあいつはおかしい。


*


「ファイアボール!」


※※


藤原さんが3度目の火の玉を放った。

残りMP1になって、もう魔法は使えない。

あとは全部俺の獲物だ。頑張ろう。


…と、近くに早速マイコニド。


「アイスジャベリン!」


「…え?」

「えっ?」



氷の槍がマイコニドの体を貫いた。

その魔法を放ったのは高橋だった。


「お前さっきMP使い切ったよな?」


「キノコ食べたおかげですかね〜?アハハ!」


「えぇ…」


また知らない情報が…。


「…藤原さん」


「絶対に無理」


*


ゴブリンに奇襲をかけ累計討伐数100匹を達成した。

目標があるって楽しいなぁ。次は200匹を目指そう。


…ふと疑問に思った。


先輩たちもこんな2桁のステータスで戦ってるのか?

この燃費の悪さのまま中級、上級ダンジョンは無理だろう。


これがゲームなら俺はとっくにレベルアップしてるはずだ。

誰が用意したんだかわからないけど、ダンジョンってのは

まず間違いなくRPG風のシステムで存在してるんだよなぁ。


レベルがなくてもステータスアップの方法はありそうだ。

帰ったら管理センターで情報を吐き出させよう。


*


なんだかんだで高橋は戦力になった。

ちゃんと給料支払ってやろう。


雑魚は全滅させて今ボス部屋の前にいる。


「ボス戦か〜 ワクワクしますねぇ!」

「朝霧君、準備はいい?」


「いや、入らんし…」


「なんでデスカー!?ここまで来たのにー!」

「はーいーれっ はーいーれっ」


「…お前らもうMPないじゃん」


「……」

「……」


*


管理センターへやってきた。

まずは謎石を換金してもらい、仲間と山分けした。

一人900円だが不満を口にする奴はいなかった。

そして係の人からステータスアップの情報を聞き出した。


なんでもボスを倒す事で宝箱が確定ドロップし、

その中にHP、MP、魔法レベルを上昇させる

アイテムがランダムで入っているらしい。


それ以外のステータスは存在しないので、

戦士系の俺が強くなるには体を鍛えるしかなさそうだ。

特殊能力だけでなく職業的なもんまでハズレなのか……。

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