亡霊は闇に紛れる(2)
私の体の中に、二人の精神が入っている。
例えるならば、別の記憶があって、
その記憶と元々の記憶が混合してしまっている。
そんな感じだ。
自分がどっちなのか分からないせいで、底のしれない恐怖が背中を伝う。
「私が私を知るためにも、カズハの記憶を思い出そう。」
もう一人のカズハの記憶を覗くが、
色々な気持ちと記憶の縄に絡みあって奥にしまっているのが見えない。どうにか、強く輝く大きな願い。
気持ちだけなら読み取れそうだ。
「ボクは、ヒーローになる!ヒーローになって困ってる人たちをたすけるんだ。」
それは、純粋な思いだった。すごく綺麗で透明な水晶玉だった。
「正義のヒーローはこの世界にいないのかなぁ…」
それは、少しの疑いだった。純粋な気持ちから来る、疑惑の念。
「誰も、彼もヒーローになれない…私もヒーローに…」
それは、純粋な気持ちが、汚れ、濁り、現実を知り、理解して絶望する。
「だったら、ヒーローなんて生易しい物いらない、
ダークヒーローになってやる…ボクが、
悪も正義も騙る奴らを倒して、人に嫌われながらも人を助けるようなダークヒーローに…」
歪み、汚れ、濁り、こびり付きながらも、
根本的な夢、願いだけはかわらなかった。
カズハの夢、それを知った時。
私の心が何かで満たされていく。
「そうか…そうだったんだね。」
心が満たされてようやくわかった。
私はカズハでもあり、シェルでもある。だけど、
カズハの人生はもう終わっている。
ボクはシェルと、別れを告げるべきだろう。
今の人生はシェルの物だ。カズハの人格、
精神を持ち込んではいけないだろう。だから、
シェルにボクの夢を託してもいいだろうか。
「ボクの夢をどうかお願いね。シェル。」
そんな、カズハの声が聞こえた気がする。
「大丈夫だよ、見ててね、カズハ」




