亡霊は闇に紛れる(1)
あぁ、暑い、熱い熱いあつい…
なんでこんなに熱いのだろうか…体がフニャフニャに溶けてしまう程に熱い。体がプカプカと浮かんでいく、いや、沈んでいるのだろうか?よくわからない感覚で体が麻痺しそうだ。浮かんでいる(かは、分からない。)と、温かく感じる場所にたどり着く。熱くて熱くて堪らなかったのに、今では温かく感じる。そのまま流れに身を任せて浮かんでいく…
「だめだよ。帰らないと。」
不意に誰かの声が聞こえて、その方向に向き直す。
そこには少女がいた。だか、私はすぐに疑問に思う。
私は今目を閉じている。だから、目の前にいる少女が、少女だとわからないはずである。
「貴方はだれ?」
「ボク?ボクのことはすぐにわかる。だからね、先に皆の元に…君の体に帰らないと。」
眼の前にいた少女は、光の粒となり私の体に沁みてくる。
私の意識が段々と戻ってくる。
私の名前は、シェル。シェルフーズ・フェルバート。
病弱で、すぐに熱を出してしまう。今回の熱は今までよりも高かったのかもしれない。
今さっきまで私がいたのは、三途の川という所なのだろうか?
アレ?三途の川って、何だっけ?
私は、疑問を抱きつつもベットの上で目を覚ます。
「おぉ、シェル〜!だいじょゔぶがぁ〜。」
「じんじゃだめょぉぉぉぉ」
あぁ、泣かしちゃったなぁ。ボク的にも泣かしたくなかったんだけどなぁ…
「お母様…お父様…泣かないで…」
「あぁ、シェルよぉぉ、目を覚まして…ルゥゥゥ。」
「シェル…無事でよかっだわぁぁ…」
私はお父様とお母様に心配されながら、ベットの上で自分の可怪しさに気づく。今、自分のことをボクと、言ったのだろうか?
確かに言っている。でも私の一人称は私である。
私は私であり、私はボクで、ボクはボクで、アレ?私・ボクは誰?
「うゔ、頭が痛い…」
「大丈夫か、シェル!」「早く替えの氷を、早く!」
「はい、奥様。」
あぁ、なんだろう…わたしの中に、私の中から流れてくる。見たことない景色に、聞いたことない声が頭に入ってくる。
「…大丈夫だよ。お母さま、お父さま。もう収まったから。」
「シェル!本当に大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。だから、少し眠って休むわ…」
「わかったわ、シェル…何かあったらちゃんと侍女のネピータに言いなさいね。」
「うん、おやすみなさい。お母さま、お父さま。」
「「おやすみなさい。シェル」」
二人と使用人の皆は部屋から出て行き、部屋で一人ぼっちになる。いや、二人ぼっちになる。
私の体の中にはシェルの精神と、もう一人「カズハ」の精神が存在する。私はどちらなのだろうか。
私はシェルなのだろうか、カズハなのだろうか。




