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3.海獣の怪獣

嫌でも目に付く巨大な体躯をした怪物。

大王烏賊も決して小さい訳ではない。サイズにして大型帆船と同じくらいだったが、それを超えるものが目の前にいた。他の海獣モンスターは中型帆船サイズの個体が最大であとは小舟サイズのものたちばかりだ。


【氷山の海域の支配者 キングライオウォルラス】


このセイウチ型の海獣モンスターこそ、氷の大陸の海域の支配者の一角。

砦のような規格外の体格に大抵の攻撃を弾き返す分厚い茶色の毛皮、しかしその毛皮には激戦を経て付いた傷が無数にあり全身に広がっていた。

立派な牙が2本あり牙の先端部からは氷柱が牙の延長上に太く鋭く形成されていた。

首の周りには獅子を思わせるような金色の鬣が生えており、海獣の王に相応しい佇まいをしていた。


海獣の王の周りには戦艦のようなセイウチやトドが侍っており、強い個体が王の周囲に存在し遠く離れていくに連れて弱い個体がいるエリアとなっている。


キングライオウォルラスは大王烏賊を視認した瞬間に咆哮を轟かせた。


「グガオオオオオオオォォォォォォォ!!!!!」


その咆哮は衝撃波となり周囲に拡散。海獣モンスター達が乗っていた氷を粉々に粉砕し、体の小さな個体や弱い個体は暴風に耐え切れず吹き飛ばされそれが黒い津波となって大王烏賊に向けて迫ってきた。

砕け散る氷の轟音と海獣達の悲鳴は雪崩の如き光景だった。


我は慌てて海中に引っ込んだ。


「これはイカん!?」


陸上では断末魔や悲鳴を上げながら迫り来る海獣モンスターの津波が押し寄せていた。

いち早く危険を察知した大王烏賊は深く潜り、安全が確保されると安堵のため息を吐いた。


「ここまで来れば良かろう。しかし、出会って即攻撃とはなんて奴だ!挨拶も無しに攻勢に出るとは何たる所業、!?ぬおおお!?」


安全圏へ脱出し海域の支配者たるキングライオウォルラスに悪態をついていた大王烏賊の直ぐ側に高速で突っ込んでくる物体が横切っていった。

これには我は心底驚いたが、事態は悪くなる一方だった。

突っ込んできた物体は単体ではなく複数存在していたのだ。

その数は短い時間の間にどんどん増え続けており、我は堪らずに全力で回避を行った。

十分に距離をとった我は海面から降ってくる物体が何なのかを確認するために見上げた。

そこで我は驚くべき光景を目にした。


今なお増え続けている物体の正体はキングライオウォルラスの咆哮によって飛ばされてきた海獣モンスターの群れであった。

それらは原型を保った奴もいれば、潰れた肉片になっている者もいた。

我は触手を振り乱し襲い来る海獣共を撃退していった。

しかし、あまりにも数が多すぎる。

我は一刻も早くこの海域から離れるべく移動を開始した。


我にはこの海域は早すぎたのだ。そう早すぎたのだ。

この辺で勘弁してやろう、そうしよう。


それから海獣共がやってこない場所までやってきた。

相変わらず海面は氷に覆われて海中は薄暗い。

生き物の気配も薄く邪魔されず遠くまで来れたのは僥倖だった。


いや、我の後を追ってそこそこ強い者達が何頭か近付いて来る気配がある。

逃げ、否!戦略的撤退はここまでにして奴らを撃退してやろう。


数分後、我を追って来た者共の姿を確認できた。

統率の取れた動き、素早い遊泳速度、戦い慣れした身のこなし、支配者の兵隊共の可能性がある6メートルを越すオットセイが5頭。

まぁ、我の身体と比べると小柄も小柄だがな。


さぁ、かかってこい!蹂躙してくれる!

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