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1.引き分けと約束

深海での激闘が行われていたが結果は引き分けとなった。

周囲には肉片が漂い、海水の色も血に染まりその匂いに誘われて肉食のモンスター達が群がり出した。

それでもその中心地にいる大王烏賊と帝王蛸に襲いかかるモンスターはいなかった。

今はお互いに健闘を讃え合い今後について協議を行っていた。


「この我と引き分けるとはやはりお主は我が宿敵よ。」

「何を今更。昔からよくこうして喧嘩していたであろうが。」

「そうだが、このままだと決着が一向に付かんのはイカん。」

「確かにそれには同意するがどうしたものか?」


しばらくして烏賊、種族名「グレートキングスクイッド」は妙案を閃いた。


「ではこうしようではなイカ!」

「なるほど!いいじゃなイカ!」

「まだ何も言ってないじゃなイカ!?それと我の真似をするんじゃない!」

「分かった分かった。それでその案とは?」


話の腰を折った蛸、種族名「エンペラーオクトパス」は宿敵からの提案を大人しく待った。


「お主、空に浮かぶ月が赤くなる事は知っておるか?」

「もちろん知っている。それがどうした?」


この世界では月が赤く染まりモンスター達が活性化する。人類側もこの夜ばかりは海から出来るだけ遠ざかり、避難所で夜を明かすことにしている。

大王烏賊は話を続けた。


「だからお互いに力を付けてその月が赤くなる日を決戦日としようという事だ。」

「なるほど。それまでに相手より強くなれば決着が付きやすい、ということか。」

「イカにも。この海域に留まってもよし。他の海域に行くのもよし。最終的に決戦日にここに戻って来れば何でもありという事だ。」


お互いに力が拮抗している現状連日決闘を行なっても勝敗は決さなかった。

その提案を聞いて頷いていた帝王蛸はふと気になった事を聞くことにした。


「てことは。その間にメスと一緒に他の海域に行っても良いわけか。」

「何!?お主伴侶となる相手がおったのか!?」


長年争ってきた相手のまさかの番いの存在の告白に大王烏賊は心底驚いた。


「ああ。儂くらいになると相手が向こうからいくらでもやってくるわい。」

「かぁ〜!お主もスミに置けんなぁ〜。」

「まあの。それじゃあ。儂はもう行くわい。」

「うむ。では決戦のその日まで!」


お互いに認め合っている相手との歓談を終え両者はそれぞれ反対方向へと去っていった。

こうして大王烏賊と帝王蛸は解散し更なる強さを求め旅に出た。


大王烏賊と帝王蛸が争っていた海域は浅い場所は平和そのもので数少ない人類の貴重な資源採取地であった。

逆に深度が深くなれば厳しい食物連鎖が繰り広げられている。

その頂点こそが大王烏賊と帝王蛸であり、その両名が一時的にこの海域を離れる事で生態系に変化が生じることとなる。


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