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いや、ギフトってたぶん特殊能力でしょ? 弱すぎるだろ、こいつでやってけるの? いや……女神のおすすめだし信じてみるか。
「相棒ぉおおおおおおお! ギフト持ちだったのか相棒ぉおおおおお!」
それよ、盗賊の相棒なのよ、俺は人の相棒を奪ったってか? 師匠から譲り受けたとか、死んだ友人の形見的なペットとかならいい。
でもこいつ、俺と戦ってた時さ、盗賊のことかばってたじゃん、友情あったじゃん、どうすんだよこれ……。
俺は現実逃避し、後ろの馬車に本当に奴隷がいるか覗いた。
はぁ。
「待ってよおにぃ」
また小虎になり頭に乗ってくるのはスルーする。
いや、尻尾振りすぎだろペシペシ当たってんだよな。
ネッコが確かに使徒である気がしていたが、一応この場でギフト持ちがいないか確認しに行く。まずはお嬢様だ。
馬車を開けると。
「ひ、ひぃ、ごべんなざい。だずげで」
すごく怯えていた。わかる、盗賊の顔怖いよな。
「お嬢様と護衛さんさ、ギフト持ってないよね? あともう奴隷にしたりしない?」
コクコクと二回頷くのを確認し、ギフトの確認も終わった。護衛さんに命を助ける事を条件として伝え、荷物を奪う。
盗賊とやってることが変わらない気もするが仕方ない。神罰ということで。
移動しながらスマホを取り出し。
「なぁちょっとお願いがあるんだけどさ、ハンバーガーとファンタグレープくれない? あと服も。対価はほら、今奪った調度品とかあるからさ。神ならそれくらいできるだろ? もしくはやり方教えてくれ」
「えぇ~マジで~」
ちょっと引いてるやん。便利に使いすぎか? …………かっけぇよこいつ、文句言いながらもしっかり人数分くれるんだもん。なるほどね?
「ゆっくり食えよ~」
奴隷に食事を振舞うとみんな警戒しているのか手を出さない。が、良い匂いでもしたのか幼女の腹から音が鳴った。
「お姉ちゃん、お腹減ったよ」
姉妹なのだろう、服のすそを引っ張られた少女が覚悟を決めた顔をし、ハンバーガーに手を伸ばすと、口に入れる。
「っ! おいしい! なにこれ。ほら食べてみな!」
受け取った幼女も続いて一口頬張り、ものすごい勢いで食べ始め、びっくりしながらもファンタグレープを一気に飲み干した。
「おいしい! こんなの食べたことない! お水もお水じゃないみたい! しゅわしゅわするし甘いよ!」
「砂糖や甘い果物みたいな高級品を使ってるのかな? それにこんなふわふわのパンお貴族様でもきっと食べたことないよ、それにこの味、どうやったんだろう、香辛料なんて高価なもの使ってるのかな? お肉も何の魔物の肉なんだろう、臭みがなくて。……もしかして王族が食べるっていう牛?」
「わかんない!」
「こんなおいしいもの、一生がんばっても食べられないはずなのに、なんで、奴隷になったはずの私たちが、なんで……」
「きっと神様が見ててくれたんだよ! お姉ちゃん頑張ってたもん!」
「……あの! なんでこんな贅沢な食べ物をくれるんですか? 私たちこれから奴隷で、……ひどいことされるはずなのに……それにそもそも奴隷になる前だって……こんなに……おいしいもの食べられる環境じゃなかった……のに」
途切れ途切れの、今にも泣きだしそうなか細い声色で、恐る恐るといった様子で尋ねてきたので。
? ハンバーガーだぞ? 泣くほど腹減ってたのか? 苦労してきたんだな。と思いつつ。
「俺はすごいやつらしい、だから、目の前で助けてほしそうなやつがいたら助ける。ただそれだけだ。行くとこがないならついてくるか? 人並みの幸せくらいはたぶんやるよ」
「これが、人並みの幸せ? ふふっ。……ぐすっ、お願い…………します」
揃えられた指には一つだけ赤く染まった布が巻いてあった。
さて、奴隷には服を置いておいて盗賊のところにいく。
後ろから。
「なんだこの生地は! 貴族の服をくれたのか?」
「お、俺は普段着で良いよ」
あのボロいのが普段着だったの!? 奴隷服じゃないのかよ!
とかも考えつつ、盗賊のことを推察する。
こいつはあきらかに魔法で急所を狙ってこなかったし、最後の男気には少し感心した。信用できそうな気がしている。
「この近くにいいところある? できたらここに捕まってる奴隷が全員連れていけるところがいいんだけど、あ、希望者は解放な?」
ポカーンとした顔をされた。
「それならいいところがあるぜぇアニキ」
すこし考えた後にすぐに答えが返ってくる。
「ほほう、おしえてくれ、もちろん盗賊も逃げるよな? 馬車襲った後だしな」
「おうよ、ここの全員を連れてくとなると、隣町程度の距離が限界だ、人数だっていて目立つし、迂回して山超え谷超えなんて体力が持たねぇ。だが、ここから平坦な道のりで距離も近い、そんな都合のいい場所がある。魔族領の魔獣の森近くにある、別名生贄の町だ」
いや、名前ぶっそうすぎない? 生贄にいくだけじゃん。奴隷よりマシなのか?
面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。
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一回でもクスリとしたら、わかりますよね?