表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/50

48

 そういえば羽を毟られるのが嫌なんだったか。


「知能が低い動物たちはフェアの大事な羽を狙ってくるの、でも、狙ってこないなら別にフェアは怖くないの」


 ネッコは変身すると狙ってたな。蛇以下か。


「それに襲っても来ないの、相手から来るのは怖いけど、今は全然……怖くないの! 毒なんて治してもらえばいいの! 神なら出来るに決まってるの!」

 この世界の毒はそこまで恐れられていないのか、それとも俺か女神を信用しているのか。

 自分に言い聞かせるように言うフェアは、いつもの臆病なところが少し違っていた。

 蛇に近づいていき、手を出しては引っ込めて、後ろに回ってみたり、周りをグルグルして、反撃してきた蛇にビビって距離を取り直したり。慣れてくると、反撃した後に少しだけチョンと触ったりしていた。


「いける……いけるぞフェア! お前なら出来る! 考えても見ろ、お前はあの巨大なサンドスネークを倒すのに一躍買ってるんだ! そんな攻撃もしてこないショボい蛇なんかに負けるはずない!」

「そうなの! フェアはあのサンドスネークを倒したの! フェアの岩投げが効いてあのサンドスネークは倒れたの! 全部フェアがやったの!」


 違うけどな。全部俺に当たってたぞ。


「そうだ! お前ならできる! いや! お前にしかできない!」


 気分が高揚したのかフェアが言った。


「ぶっ飛ばすの!」


 フェアが自分から仕掛けた。上空で一度止まり蛇めがけて真っ逆さまに落ちる。そして腕が降り降ろされ、蛇に当たる瞬間、爆発したかのように膨れ上がった。


「潰れるのおおお!」


 蛇も牙を突き立てたがそのまま押しつぶされた。といっても戦闘不能に見えるだけで死んではいないだろう、回復魔法とかあるなら助かると思う。

 女神が勝負の終わりを告げるとフェアが胸に飛び込んできた。


「いたいのおおお! ちょっと刺さったのおおお、治してなのおおお!」


 わんわんと泣かれても俺は治すすべを持っていなかった……。その毒は、皮膚を少しずつ溶かしているような、傷口が広がっていくように見えた。

 ……が、普通に女神が治してくれた。さすが神だ、俺も見て覚えた。

 酸性の毒とかだったのだろうか、やっぱり異世界の魔物は調べてもわからん。


「もう二度と戦わないのおおお! 頑張ったのおおお」

「ありがとな」


 初めて心の底からお礼を言った気がした。だんだんと泣き止んでいく。

 バリバリという音が聞こえ、反対側を見ると。大男が蛇を食べていた。 

 女神も顔をしかめている。


「これが僕の作った彼のギフトですよ、勝った気になるのは早いですよ?」


 エグイし、ってゆーかギフト作るとかずるくない?


「おい女神、あんな吸収していくらでも強くなれます、みたいなギフト作れたらチートじゃん」

「そりゃ神だし。でももちろん制約とか制限があるし、無限に強くなるなんてのは不可能だし」


 そういうものか。

 大男は無傷のグリフォンも平らげると、体が変形していった。尻尾が蛇で体がグリフォン、大きさもネッコが化け猫になった時より一回り大きい。マンティコアと呼ぶにふさわしい姿になった。


「さて、最後の勝負だね」


 相手のマンティコアは空を飛び、ずっしりとした肉体で戦いの場に降りた。

 ネッコを見ると不安そうに見えた。今までずっと黙っていたのがいい証拠だ。


「棄権、するか?」

「戦うに決まってる!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ