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「ダメみたい、話が通じない、訓練されてるか魔物系の生き物だよ」


 え? 動物と話とかできたの? 初耳なんだけど。


「私が行きましょう」


 そう言いながら颯爽とキュラが向かっていった。


「はじめるし!」


 女神が言うと同時にグリフォンが飛翔しキュラを襲った。


「ライト!」


 目つぶしか、逆に言えばそれくらいしかキュラに出来ることはない。なぜ蛇を選ばなかった? なにか勝算が?

 グリフォンは目標が見えなくなったのかキュラの元々いた位置にクチバシを叩きつけ、首を振っていた。

 そしてすぐ横に退避したキュラに当たった。


「あ」

「それまでだし!」


 短い遺言を残し、首が宙を舞って終わった。

 女神が指をパチンとさせると俺たちの間に転送されてきた。もちろん分かれたままだ。

 開口一番。


「計画どうりですね」


 口の端を上げてニヤッっと笑うキュラの顔にフェアが乗りポカポカと殴った。


「何が計画どうりなの! 三回戦なんだからもう負けられないの! フェアの分の負けがなくなったの! この顔イラつくの! グチャグチャにして再生させたらきっと美人になるの!」

「やめ、やめてください! フーッフーッ! 考えても見てくださいこの中で一番勝ち目のないギフト持ちが私ですよ!? ネッコさんは化け猫になれば勝てる可能性がありますし、フェアさんも腕が異常に発達するじゃないですか! 一番強そうな試合を捨てたんです! 自己犠牲の賜物ですよ! これは誇れる戦略です! あとは二人の戦術でなんとかしたら勝てるんですよ!?」


 フェアを息で吹き飛ばそうとしているキュラだが、しっかりと作戦を練っていたようだ。

 確かにキュラが一番弱い、だが団体戦というのはだいたい最後に強いのがいる、どうなんだろう。


「一応愚鈍なあなたたちに言っておきますが場外狙いもしてましたからね!」


 なるほど勝算がないわけでもなかったのか。

 女の子を捨て駒にして首が飛んだわけだが、自分から考えて行動したわけだから罪悪感はない、というよりむしろ最近こいつ。


「なんでお前ちょっと顔赤いの? 普通青ざめたりしない?」

「き、気のせいですよ! ただなんというかその」


 下半身がもじもじしていた。

 たぶん死ぬことが気持ちいい的な感じになってきている。わざと負けてないよな? さっきの俺の感動が。

 相手の使徒はいいな、と思いながら見ると。


「雑魚が、早く次を出してくれないか?」


 と言われた。


「フェアが行くの!」

「頼んだ、無理はしなくていいから無事に帰ってこい」


 そう、この役立たずは死なないが、この二人は死ぬ。それを忘れてはならない。

 次に負けたら終わりだ、だが正直言ってフェアもネッコも勝てる気はしていない。どっちが行っても同じだ。

 それよりも死なないことだけが願いだった。キュラとグリフォンの力量差を見て余計に思う。


「任せるの」


 すれ違いざまに格好よく決めていったが、震えていた。

 フェアもわかっているのだろう。

 相手は蛇を前に出すと。


「はじめるし!」


 女神の掛け声で始まった。


「ひっ」


 フェアは逃げ出そうとせず、涙目ながらもその場で耐えていた。いつもならすぐに背を向けるのに。しかし怯えていて情けない声が漏れていた。


「……あれ? こないの?」


 蛇もまた動かなかった。とぐろを巻き迎撃態勢なのだろうか落ち着いている。

 大きさをあらためてみると人間ほどの大きさだ、フェアからしたら大蛇に見えるだろう。

 人間からみても十分大きくて怖いが。

 前にサンドスネークを調べたときに知ったことだが、毒蛇は二本の歯が口の前について長いらしい。この蛇と一致する。


「たぶんあの蛇は毒をもってる。反撃で噛みつきじわじわと相手を弱らせる気なのかもしれない、持久戦になるかもな」

「羽が狙われないの……」

「は? だからなんだよ」

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