43
すぐに目の色に光が宿るとケーキに――飛びつこうとしたところでフェアに奪われた。
「きゃはは! ほらたかいたかーい」
「うにゃあ! あたしのケーキ返して!」
ピョンピョンとギリギリ届かないところで遊ばれているようで。
「フェアの舎弟になったら返してあげてもいいの!」
「ならないもん! いいもんフェアの分のケーキ食べるから!」
もうひとつ出したところでネッコがそれの存在に気が付いたようだ。
「それ前の辛いのが入ってるの」
「辛いの!?」
入ってねーよ!
お粥の時のことを思い出したのだろう、ネッコが怯えている。
「きゃは、うっそぴょーん!」
二個目もフェアに奪われていた。
そうこうしているうちにキュラの目が覚め。
「ぎゃああああああああんまりなの! なんでフェアの羽ばっかりこんな目に合うの! 羽に罪はないの!」
仕返しなのかいきなりフェアの羽を毟った、フェアともに地面に落下したケーキは両方ネッコが食べた。
「もうお前等さ、仲良くしない? スライムくらい倒そう? マジで。スライム倒せないとか子供以下だよ?」
俺と目が合うと二人とも反省したのか。
「「…………」」
お? こいつらが無言とか珍しいな、さすがにスライム倒せないのがこたえたのか?
「……あれ? ネッコどこいった?」
キュラもフェアも何も答えず俺の後ろでも見ているようで。
「おにい! スライムより弱いの見つけた!」
ほう? そんなのがいるのか? 元盗賊に言っておかないとな。
声のした後ろを振り返りながら見ると。
「チビネコそれはやめ――」
「ちょっとネッコ待っ――」
「うぎいやああああああああああああああああ!」
「にゃああああああああああああああああ!」
「うぎいやああああああああああああああああ!」
「にゃああああああああああああああああ!」
…………マンドラゴラとそれを引き抜いたネッコが絶叫していた。
ちょっと目を離すとこれだよ!
マンドラゴラの顔とか顎しか埋まってないから子供でも抜いたらいけないのがわかるらしいのに。
鼓膜が破れるのも気にせず掴んで投げ飛ばすとさすがにみんな反省したのか。
「これ、フェアが持ってきたケーキなの、みんなで食べよう?」
フェアが歩み寄っている。えらい! 仲間とは素晴らしい、やっとこれから俺たちのチームワークが生まれるんだ。思えば今まで苦労してきたが、みんなが仲良くなる瞬間に立ち会えて俺は嬉しいよ。
少しの間丸まっていたネッコもトボトボと歩いて最初にいた位置に戻り。
落ち着いた後にみんなが同時にケーキを口に入れると。
「ピーマン入ってるうううううううう!」
「にんにくがあああああああ! 舌が焼けるうううううう!」
ピーマン嫌いだったのか、知らなかった。もしかしたらこいつも嫌がらせには全力を尽くすタイプなのか? いやでもまだフェアが善意の可能性がワンチャン。
「まぁ、待て、もしかしたら知らなかっただけかもしれん。野菜ケーキとかあるしな、知らんけど。好き嫌いせずに食べようぜ、フェアの思いやりかもしれないからな」
「好き嫌い!? 私の舌が焼けただれてますが!? 見ます!?」
「きゃははははははは」
フェア、お前ってやつは。指さして笑うな、ワンチャンがなくなっただろ。
「妖精の嫌いな食べ物ってなんだ?」
「……虫です」
食用の虫を買い。まだ大口を開けて笑っている口にねじ込む。
「きゃははんぶええええええええ」
「あっはははははは! 羽虫と虫とかお似合いですね! どうですか熱いキスを交わしたんですか?」
「…………よし、これでみんな仲良しだな。スライム倒したら美味しい飯と酒でも飲もう。協力して倒そうな?」
一息つくと、そう約束してスライムを呼び寄せた。
もう無理にでも戦わせないとこいつらは一生けなしあう。
「よしやるぞお前等!」
「あたしからいっくよ~!」
ネッコが素早く飛び出し、鋭い爪で襲い掛かると。
トプン。と飲み込まれペイっと吐き出された。
もう負けたか。
小虎になるから腕が届かないんだぞ。
スライムのお気に召さなかったのか、少し暴れて気絶したらすぐに捨てられる。
「む、無理なの~!」
逃げようとするフェアの羽を毟った後、キュラが捕まえ、投擲。
「ぎゃあああああああ!」
「ギフトを使えギフトを!」
トプン。と飲み込まれペイっと吐き出された。
まぁ、そうなるわな。
腕を大きくして倒せばいいのに、テンパったのか何もしていない。
面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。
思ってくれた方はぜひ、ブックマークと下の評価を5つ星よろしくお願いします!
一回でもクスリとしたら、わかりますよね?




