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「わかりました~、こっちでふきふきしましょうね~」

「くっ、こいつ! 馬鹿にしやがって! 自分で拭くからいい! かまうな!」


 用意してあったタオルで体を拭いていると侍女はドライヤーを手に取った。


「ブオーン」

「ひいいいいいいん! 何この音おおおおおおおお!? …………子ども扱いするのやめろ! しかもなんだよそれ! 暖かい風がでるだけの魔道具なんて聞いたことがないぞ! 勿体ないだろ!」


 ネッコも最初はびくびくして丸まってたっけな。ついでにフェアは気絶してたな。


「この村に魔道具はありません、私にも原理はわかりませんが」

「魔道具じゃ、ないのか……、なんだよこの村は」


 そして気が付いたのか。


「髪の毛が、なんだこれは、サラサラになって、潤いがある。水を閉じ込めているようじゃねぇか。……シャンプー絶対売れる!」


 バスローブを羽織らせると。


「なんだこのふわふわの着心地は! さっきのタオルといいおかしいぞこの村は!」

「ではこちらへどうぞ」

「なんだ? どこに行くんだ?」


 大浴場とつながっている離れへ行くと。

 そこにはベットがあり、アロマがたいてあった。そして立っていたのは、サキュバスだ。


「サキュバスのマッサージです」

「ま、魔族じゃないか……なんでこの村に? 俺様はだまされ――」

「違います、お持て成しです。信じてください。私もここにいますから、何かあったら私を殺してもいい! お願いです、どうかこの優しい村を共存の希望に。……私、実は奴隷だったんです、貴族様に攫われて拷問されて、もう先のことなんて考えたくもなかった。でも気が付いたらここの人たちに助けられてて」


 指に包帯を巻いた一人の侍女は頭を下げた。この村を愛しているのだろう侍女は、信じてもらいたかったに違いない。この村は優しさに満ちた村だと。

 侍女は語り続けた。


「温かく美味しい食事は優しさで心まで癒してくれた。見たこともない美しい服は惨めな私にまた立ち上がる勇気をくれた。快適な生活と驚くばかりの新しい道具は考える知恵を与えてくれた。でもあの方は何も求めない、ただ自由に羽ばたくことを許してくれる。そんなあの方に私たちはみな心酔し、せめてもの恩返しにこの町の発展に尽力する。それがこの素敵な町なんです」


 そんな侍女の思いが伝わったのかアリスはベットに寝転んだ。

 ごめんな、実験のついでに助けただけで。


「変なことをすんなよ!」 


 サキュバスは頷くと背中に手を伸ばした。


「き、気持ちいいじゃねぇか、……んはぁっ。お前何かしてないか? そ、そっかしてないか、……ぁぅんっ。その、まぁ確かに気持ちはいいな。はぁああああああああああん」

「私たちサキュバスはね、本当は魔族の中で肩身が狭いの。ほら、他の種族の男とか誑し込むから恨まれてさ。男からもその気にさせておいて! とか言われたり、でもこの村の人たちはそんなことなかった。受け入れてくれたの。餌としてしか見てないって強がる子もいるけどね、本当はみんな人のぬくもりってのに飢えててさ、だから私たちはこの村で悪さなんてしない。ほら、おいしいスイーツもあるしさ! だから信じてくれたら嬉しい、私たちはこの優しさを人間に返したいってそう思ってるの。特に、このきっかけを作ってくれた人とか特別なんだよね。信じられない、かな?」


 サキュバスの想いが込められた、独白のようなものだった。

 ごめんな、下心で誘っただけで。


「お前等そんなこと思ってたのか。でもこんな状態で言われても、くっ、悔しい! んはぁああああああ!」


 少しのマッサージでぐったりとしたアリスは元の集合所に戻ろうとした。

 集合所の前で豪商たちと出会ったが傍らにはサキュバスの集団があるようで。


「嬢ちゃん酔いは醒めたか? 俺ら少し村の視察に行ってくるから気にしないでくれ」


 そう言って消えていった。

 アリスは察したようで、消えていく男たちを汚らわしい目で見ていると、獣人の男と目が合ったようだ。

 獣人族を見るのは珍しいらしく。


「獣人族! おい侍女、この町はおかしいぞ、敵対している魔族だけじゃなく、人食いの獣人族までいるのか!」


 身構えた。

面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。

思ってくれた方はぜひ、ブックマークと下の評価を5つ星よろしくお願いします!

一回でもクスリとしたら、わかりますよね?

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