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「少しだけテントに用事があるので、その小虎で遊んでてもらえますか?」
返事を待たずにテントに戻り着替えを終えると、素早く戻った。
「ここから一番近い人間の領地なんだが。魔族、獣人族と共存出来たらいいと思っている。というより獣人族を招待したことでそんな未来が見えたってだけだが」
人間も獣人も、魔族も共に共存できる町って素敵やん? 大義名分もあるしサキュバスと仲良くなりたいと思ってたんだ!
「そうねぇ、確かに共存なんてできたら楽しいのかもしれないけれど、人間は私たちの餌よ? 弱いのが多いし狩りやすいわ」
「その餌は食べつくして終わりだろう? それじゃあまた空腹になり見つけるまでが大変だ。それなら大量の餌がいたら? 殺しつくさず返し、また回復させて搾り取る。それの繰り返しなら永遠に満足できるぞ?」
「死ぬまで食べつくしたことはないけれど、あなた鬼みたいなこと考えるわね。人種がするように、家畜のように人種を使役する、とういうことかしら?」
「そういうことだ、大量に用意するからそこまで非道ではないがな」
「ふ~ん、それいいわね、それで? 私たちにどうしろって?」
「一人か二人、さっきいった村に来てほしい」
「あっはははは! そんなの信用できるわけないでしょ? 集団でいるとやっかいなサキュバスも一人二人なら倒せるって!? そういうことでしょう!? もっとましな条件にしなさい、騙されないわよ!」
「君たちの好きなものは何かね?」
「? そうね、人間の女が着ている服は興味があるわ、あとはエッチな話しに、男、それと果物が人気だけど」
指を口に当てて考えてる姿、妖艶でエロいです。
なるほど。
「これでどうだ!」
エロ本とコスプレ服を買い、周りにも見えるようにかざした。
ざわざわと周りのサキュバスが色めき立つ。
「これは確かに、二つとも、いいものね。でも物で釣られるほど馬鹿じゃ――」
大量のエロ本とコスプレ服じゃああああああ!
地面に落ちたかわいい服、エロ本に群がるサキュバス達。服なんて選ぶ余裕すらないようで、近くの者と引っ張り合いだ。本は破れた。
「あなたたち! 落ち着きなさい!」
お姉さんが統制を取ろうとするが、サキュバスの集団を落ち着かせることは出来なかった。
「こんなものもあるぞぉ!」
「なにあれ」
一人が俺の掲げたものを見て呆然とすると、その静寂は連鎖した。
それは様々なフルーツが乗ったカップケーキ、の詰め合わせだ。
「お姉さん、一口どうぞ」
一つ取り出し、スプーンでお姉さんの口に運ぶ。
「ふわわわわわ」
お姉さんがトロケルのを見たサキュバスの一人が言った。
「お姉ちゃんばっかりずるい!」
その子がカップケーキを俺からかっさらうとサキュバスが群がった。
もちろん掲げたカップケーキに群がるといろいろ俺に押し付けられる訳で。
あっ。
……俺はテントから戻ると。
「俺と話していたお姉さんは来ないらしい! 俺と共に村まで来てくれ者はいるか!? 最初は腹いっぱいにすることはできないかもしれない! だが! 近い将来必ずや、満足させると約束しよう! そしてそれまでにもセイキ以外のフルーツに、新しい服! エロ本も十分に提供する! 特別に十人だ! 十人だけ連れて行ってやる! 来たい者はいるか!」
これが誘導ってやつでさぁ。
「あちし行きたい!」
「ワタクシもですわ!」
「ボ、ボクもいきたいですぅ」
「お兄ちゃん、いかせて?」
ふふふ、より取り見取りだ!
「ま、まって! 私も、いきたいのだけれど」
お姉さんも落ちた。
「全員で、イこう、俺たちはもう大切な、パートナーだ」
「あなた、顔以外エグイわね」
あれ? お姉さん?
「この人さ~、顔は可愛いけどそれ以外ちょっと残念よね~」
あれ? 俺の夢は? キャラメイクした意味は? なぜだ、性格にも行動にも問題はないはず。はっ、オーラ的なもんか?
ひそひそ聞こえた言葉は、俺を傷つけた。
町に戻った。ネッコで怖がらせないように少し離れたところで元の姿に戻ってもらう。
レンガで立派な建物が一つだけ立っており、村の者は家の補修をしているところが多く目に入る。
「おぉアニキ帰ったか」
元盗賊達が村の外から帰ってきたようだ。魔物の肉が担がれていた。
「ただいま、狩りか? てゆーか建築するの早くないか?」
面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。
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一回でもクスリとしたら、わかりますよね?




