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ただの蛇なんて言い方してなくね? ……そう聞こえたのか。
肘を乗せ、手のひらを合わせると奥さんの掛け声でお父さんが本気を出した。
「んおおおおおおおおおおおお!」
服が破れ、腕だけが肥大化、獣化し力が増した。俺の腕は動かない。
「んおおおおおおおおおおおおおお!」
顔が真っ赤になり鬼のような顔つきだ。俺の腕は動かない。
「ふんなぁああああああああああああああ!」
鼻血を噴き出して、浮き出たおでこの血管がブチっと弾けた。俺の腕は動かない。
「ふんごぉおおおおががががががあああぁぁぁ! あっ…………」
カクンと頭が落ちて気絶した。俺の腕は動かなかった。
「す、すごいわ、これであなたも」
「「「「「獣人族!」」」」」
「え、違いますけど」
ボディビルダーになる気はない、温度差があった。
「それにしても族長が負けたか」
「じゃあ人種に?」
「いやどうなるんだ?」
なにやらざわざわしていたが。
今のを遠目で見ていたのかネッコの妹が駆け寄ってきたようだ。
「じゅごいしゅごい!」
可愛い。頭に手を伸ばしながら――。
「おにいちゃんすごいかにゃ?」
と俺が言うと。
「チッ、 馬鹿にしてんの? 語尾ににゃとかつけんなや。頭お花畑に合わせてただけなんだけど」
ええ。 舌打ちとかするんだ。
すごい形相で睨まれました。この手はどうしたら。
「おにいはすごい人なんだよ、紐パンツを愛してて、寝てるときに耳とか尻尾をさわさわしてくるけど!」
「ドントッ、タッチミー!」
触んな汚い! ってことか。ははっ。やばい、もうわけわかんない。
ぱんっと手が払われました。ゴミを見る目で見られました。ネッコの夢にも女神が現れたんでしょうか許しません。
「はぁ……………………俺もう死ぬかも」
「せ、精神がやられてます!」
もう何もやる気が出ない。
石に座って休むことにした。はぁ、とため息しか出ない。
他のみんなは楽しそうだな。
「フェアたちの勝ちなの! 頭が高いの! フェアたちは四天王を倒したくらい強いの!」
「クスクス、所詮四天王と言ってもあの程度、私たちの敵ではなかったですね、どうしましょう、お話ししてあげなくもないですよ?」
四天王候補な。
「おお! 四天王を! さすがは族長を倒したお方たちだ! ぜひ腕相撲で勝負を!」
「「え?」」
「キュ、キュラがやるの!」
「いえいえギフトがパワー系のフェアさんがどうぞ」
我先に逃げようとするフェアの羽をキュラが毟った。
「あああああひどいの! さすがにこれはあんまりなの! やめるの助けてなの~」
「ウフフ、そういえば妖精の里ではお世話になりましたねぇ?」
地面に顔から落ちたフェアに手が伸び捕まえようとしていた。
が、フェアの腕が肥大化し、キュラを押し出すと、待ち構えていた獣人族の若者と手が交差する。
「ファイ!」
「あっ」
一瞬でキュラの腕は逆方向に曲がった。
「ぎゃあああああああ、んはぁ」
その声を聴いてなのか、地面が揺れたかと思うとビルほどもある蛇が地上に姿を現すのが見え。
「終わりだ、もうサンドスネークから逃げる体力は我々には残っていない。ましてや戦うなど」
絶望した顔をする獣人族の声が聞こえる。
こいつらマジでなにやってんの?
蛇の歯の位置で毒があるかわかるらしいが、地球では二本しかない牙が四本あった時点で参考程度にすることを決めた。
蛇の弱点を調べていたスマホをしまい。
「あたしがいく!」
と言って走り出そうとするバーサーカーの首根っこを掴んで止めた。
「フェア、行けるか? 四天王候補の時にギフト使ってないだろ? どれくらいまで出来るかみたいんだが。キュラは怪我してるしな、……いやこいつはいる意味ないか」
「いるだけで華がありますよ!」
「むむむ無理なの! せせせ、せめて武器とかないとなの!」
両手を突き出してバイバイと手を振るみたいにして抗議しているが。
なるほど武器か、確かにな。
「何か武器とかありませんか?」
「どうぞ」
獣人族のみなさんはすぐに槍やらなにやら持ってきてくれた。
「こここ、こんなの重くて持てないの!」
受け取ろうとしない。
「腕を肥大化させて指に挟んだらどうだ?」
「ちょ、ちょっと今は体調が悪いの!」
「何言ってんだ? さっきまで――」
なぜこんなに抵抗するのか思っていると。キュラにはわかったようで。
「要するに怖いんですね?」
「常識的に考えてあの大きさは無理なの~、羽が言うこと聞かないの~、動けないの~」
わんわんと泣きながら岩陰に隠れた。
面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。
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一回でもクスリとしたら、わかりますよね?




