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 商人なんてみんな金のために命を懸けられるような連中だ。流行を追い、情報をいち早く掴み、精査、操作までする。こいつに至ってはわざわざこんな生贄の町なんて呼ばれているところにまで足を延ばしている。もしかしたら何かしらの特権がここにはあるかもしれんが、商人としてもがいている最中だ、大成するために。


「俺と取引する権利をやろう。だが俺のことは一切秘密、どうだ?」

「ははは、それで僕にどんな益を生み出してくれのでしょうか」


 あれだな、売るなら長く搾り取れる消耗品だ。

 実は何にするか考えてはある。

 俺は紙と鉛筆、そして消しゴムを買い、商人に見せた。小学生みたいだが。


「す、すごい、こんなに薄くて白くて滑らかなもの見たことがない、しかもこの量が寸分たがわず揃えられている」

「羊皮紙の代替品だ、あきらかに優れていないか? というかもう驚いてるじゃないか、商人として大丈夫か?」

「申し訳ございません、少し取り乱しました。ですが商人ならこれをみて驚かない者はいないかと存じます。これを売ればいくらの値になるか」


 一枚取り出しネッコの似顔絵を描いた。


「そんな! なにをしているんですかもったいない! 一枚でも結構な値段になるというのに!」


 怒られた。

 結構うまく書けたのに、あの阿保ずらのせいだ。

 消しゴムで消しておいた。


「ま、魔道具だ。この魔道具一式を売る権利をくれるということですか!? どれくらいの値段で売り、どのくらいの利益を頂けるのでしょうか!? もしかして権利を売るということは独占させていただけるのですか!? 製造方法を教えて頂けるのですか!?」


 近い近い近い! やめてぐいぐい来ないで怖いよ!?


「待て待て待て落ち着いて!?」

「こんな、こんなことが! まさかこのような場所で! ああ神よ、あなたの慈悲に感謝いたします。近頃プリンという食品が開発され、少し迷いましたが、情けは人の為ならず、この言葉を信じていてよかった」


 よく勘違いされてることわざだな。

 もちろん商人は俺に向けて祈っているわけではない、あの女神に向けて祈っているのだろう。

 というかプリンが最近作られたのか、あいつらだな? 嫌がらせしなくちゃ!


「これが完成形のプリンだ、ついでに売ってきていいぞ。安全に食べられる期間はそこまで長くないからな?」

「え?」


 …………いつまで見てんだよ。


「ああ、食いたいのか? 良いぞ一個くらい」

「すいません、人気の食品で少しだけを商人仲間と食べるくらいしかできなかったので」

 

 嬉しそうに口に運ぶと。


「っ! あっま!!!! なんですかこれ!? 卵の臭みがなく、信じられないくらい甘くて滑らかで、これがプリン! の完成形!? 全然違います!」


 え? ……そいや素材がないとか言ってたな。甘くないプリンだったのか? 説明めんど。


「とりあえず落ち着け……………………よし落ち着いたな。だが返事をもらっていない、契約だ。俺のことは秘密、いいな?」

「わかりましたもちろんです」

「じゃあ、全部千個くらいでいいか?」


 返事を待たずに買い、目の前に出した。


「あががが」


 商人のあごが外れた。


「盗賊! 来てくれ!」


 すっ飛んできた盗賊が顎を殴ると嵌まったようだ。


「特別に売り上げの三割を商人君にあげよう、その代わり有り金全部と物資をここに置いていけ」


 商人の顎が外れた。

 たぶん頭の中で計算したのだろう。いくらの儲けが出るか。


「服も全部おいてくの!」

「ついでに毛も全部剃りましょう」


 やべぇのが戻ってきやがった!

 こいつら自分より下認定すると容赦ないな。


「この町で仕入れたと吹聴していいぞ、……場所まで黙ってたら殺されるだろ? 尾行もつくかもしれんしな」


 コクコクと返事をした、大丈夫だろう。


「あと美味い飯も食えたと言っといてくれ、それから値段を吊り上げるよりも、捌くことを優先してできるだけ早くここに戻ってきてくれ。あと絶対にしてほしいことなんだが、……王族関係者と召喚された者たちには絶対に売るな!」


 コクコクと返事された。

 嫌がらせには全力を注ぐ!

 世の中にはな、敵か味方か、白か黒しかないんだよ! 可愛い幼女だけは別だがな。


「そして最後に。もしこの町が発展したらなんだが」


 コクコクと返事した。

 商人君から見て発展する可能性は見えてるわけか。


「多くの独占品を君に提案してあげよう」


 馬の顎も外れた。

面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。

思ってくれた方はぜひ、ブックマークと下の評価を5つ星よろしくお願いします!

一回でもクスリとしたら、わかりますよね?

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