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 いやそうじゃない! ……何に使えるの? 思いつかない、夜の奇襲? 


「……無能じゃん」

「はあ!? じゃあこの小虎は何ができるっていうんですか!?」


 自分より弱いものを見つけたのか、キュラはネッコを掴み上げると顔の前に掲げた。


「足くさっ! なんですかこの生き物は、……はっ! まさか足を臭くするギフトですか!?」


 さすがに馬鹿にしすぎだと思う。……小虎になるより強くね?


「尻尾を持つな尻尾を、プラーンってなってて可哀そうだろ」


 使えない使徒は置いておいて、スマホで引きこもり対策を調べていた。変人を見る目で見られているが別に構わない。

 なるほど、引きこもりを引っ張り出す業者とかあるのか。

 キュラはどうやら何かを思いついたようでフェアの方に向かっていった。


「ぎゃあああ助けてなの~!」


 何やら叫び声が聞こえ見てみると。


「おえ、おえ~、どうですか!? 出てきたくなったでしょう?」


 ネッコの足を家の隙間に押し込んでいた。

 正直怖い。関わりたくなかった。自爆もしてるし。

 目をそらしていると騒音が聞こえてきた。簡単に言うと黒板をひっかくような音だ。


「ごめんなさいなの~許してなの~」

「あっはっは、早く出てこないと永遠に続けますよ! 私はもう限界です! はやくしてください!」


 自爆の多いやつだ。嫌がらせじゃ引きこもりは出てこないだろ。 


「いやなの! さっき他の妖精を裸にしてたの! 絶対外なんてでないの!」


 てめぇ悪化させてんじゃねぇか!

 何やら物を投げ込むと帰ってきた。


「最後のなんだ? プレゼントか?」

「呪いの人形を投げ込んでおきました」


 嫌がらせしかしてないじゃん。何しに行ったのこいつ。


「飯でも食いながらゆっくり考えようじゃないか、ほれ」


 ハンバーガーを手渡した。


「なんですか、これ、すごく良い匂いがじゅるじゅる」


 すげーな、滝みたいにヨダレが垂れてんぞ。


「警戒してんのか? よだれ垂らすくらいなら食えよ」

「そ、それじゃあいただきまーー」

「ご飯だ~!」


 逃げてきてまた寝ていたネッコが急に元気になり、ハンバーガーを搔っ攫った。

 この猫は寝るか食うか遊ぶしかしないのか。

 地面に落ち、食いちぎられてネッコの腹に消えていくハンバーガーをじっと見つめ。


「私の、ご飯……」


 キュラは歯を食いしばり悔し涙を流していた。


「ほれ、食いたいなら言えよ、いくらでも出してやるから」


 パァーと表情が輝き、ネッコに取られた。かなり大きいはずだが。一飲みだ。


「ふぁんとこへは、おいひい、肉汁があふへ、しゃきしゃきしとひた食感、ごくり。味付けも抜群! 濃厚な味!」


 感動していた。幸せそうに、天に上りそうな顔をして呆けている。

 キュラは泣いてるが。


「ほれおかわりだ」


 俺が言い切る前に素早く取られ、また一口で食べつくす。


「なんといふかほり、舌がおどりだしそうで、ごくり。もっと!」


 三つめも一口だ。


「もっと!」


 こいつ何人前食う気なんだ。

 すぐに飲み込むとまた。


「もっと!」


 俺はハンバーガーをやめ、食パンにした。


「おかわり!」


 まるごと一斤だぞ! 味も特につけていないのに!


「おかわりをはやく! こんな雲みたいなパンここじゃ食べられないんだよ!」


 それソフトクリームに使いたい表現なんだが。

 まただしてやった、食パンをだ。

 食パンのみを食べている姿を見るとひもじく見えるが、この世界なら柔らかいパンはそれだけでも美味しいのかもしれない。

 物珍しそうに集まってきた妖精たちにはハンバーガーとフルーツサンドを出しておいた。

 おのおの千切って食べている、どうやらフルーツサンドの方がお好みらしい減るのがはやい。もう一つ追加だ。


「なにこれあま~い」

「ずっと食べてたいね~」

「ぐ、喉が!」


 そうこうしているとキュラが不満顔だった。


「羽虫ばかりずるいです、私にもそれをください」


 忘れてたわ。

 こいつにフルーツは似合わないのでハンバーガーだ。振舞うと小躍りしていた。


「ふにゃ、あと、少し!」


 食べたら遊ぶ。ネッコがふよふよと浮いている妖精を捕まえようとジャンプをするが、それは華麗にかわされた。

 完全に遊ばれ届きそうで届かないを繰り返され、笑われている。


「あの小虎、完全に話していますね、気のせいではなかったようです。何者ですか?」

「獣人族って言ってた気がする」

「そうですか、人種が獣人族と。……そうですか。……実は私、魔族なんです。魔族の吸血鬼です」


 何かを決意したように。言葉に固さを感じた。

 だからなんだというのだ。


「ふーん、傘さしてたしな。魔族の女って略して魔女とかいうの?」

「……ふふ、そうですね。……ふふふ、そう呼んでもいいですよ? 男は魔男でしょうか」


 興味なさげにネッコを見ながら答えただけだが、気に入った答えだったようだ。

 というか間男は響きがあかん。


面白そう、続きが読みたい、キャラ可愛い、など。

思ってくれた方はぜひ、ブックマークと下の評価を5つ星よろしくお願いします!

一回でもクスリとしたら、わかりますよね?

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