異世界時計管理室〜やっと帰って来た助手が、口説かれてた事に気付かずに美味しい食べ物に釣られてた
小説家に『なろうラジオ大賞』応募作品です。
テーマは時計と助手
異世界時計管理室③
ここは、異世界時計管理室。
今日も机の上は、書類が山積みになっている。
「ただいま戻りました!」
俺の助手がやっと帰ってきた。
「遅かったな、現地調査で何かあったか?」
「室長!あの国また異世界から召喚してましたよ、魔力・スキルなしの青年です。城外に一人で居たので保護してきました」
「またか…で?」
「オーパーツは、ウェットスーツとサーフボード、特に世界の時計には影響ありません。特技が泳ぐ事と魚を捌く事だったので、漁師の仕事を紹介してきました」
「そうか、問題なさそうで良かった」
「ふふふっ、お世話になったお礼にって、今度美味しい物を見つけたら私にご馳走してくれるそうです」
「なーに口説かれてんだよ」
「口説かれてませんよ、何かお礼を、って言われたので私が提案しました」
そう言って、得意げに胸を張る助手を何とかしてくれ。彼女は本当に食べる事が好きで、すぐ食べ物に釣られる。だから、普段は俺の助手として書類整理を手伝わせていた。
今回は人手が足りなかったので現地調査に向かわせたが、食べ物に釣られて、お礼と言う名のデートの約束をして帰ってきた。漁師になるから、美味しい魚料理が食べられるかも〜とか思ったんだろうな。
「お前の机の上は、未処理の書類が山になってるぞ」
「ワァ〜イイ笑顔デスネ、人の不幸は楽しいですか?」
「美味しいモンブランを出すカフェを見つけたんだ、その書類が終わったら連れて行ってやる」
「任せてください!明日のおやつの時間までには、終わらせます!!」
嬉々として書類の山に向かう彼女に目を細める。
俺の助手は、綺麗な服や宝石なんかじゃ動かないけど、美味しい料理やお菓子で簡単に誘える。本当に危なっかしい奴だ。また、当分は書類整理だけだな。
とりあえず、無事に帰ってきてくれて良かった。
「お帰り」
異世界時計管理室
室長視点のお話。
書ききれていない裏設定がまだあるので、
色んな視点で続く予定です。
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