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魔王と勇者の異世界日記  作者: ロッキー
第一章 転生
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第三節 記憶

長い夢を見た。


私がこことは全くの異世界で勇者として生まれ、強くなるためにとにかく修業をし、魔王に挑み、破れ、王国の人間たちの策略によって命を落とした夢。


その後神様に出会い、この地球に転生をしたのだ。



目を覚ますとそこはおそらく病院だった。

白い天井に、患者のプライバシーを守るためのカーテン。病院特有の薬のにおい。


私はいったいどのくらい気を失っていたんだろうか。ていうかこういうときってどうすればいいんだろう。とりあえずナースコール?


ベッドの上部に取り付けられた赤いボタンを押すと、すぐに看護師さんがやってきた。


「勇気さん。お気づきになられたんですね。体調はいかがですか。」


特に問題ないことを伝えると、簡単なバイタルチェックの後に、私の担当医であろう男性の先生がやってきた。


「あの、私はいったいどうなったんでしょうか」


真面目そうな雰囲気のある先生に聞くと


「勇気さんは、二日前の午前中に学校で気を失ったのち、すぐに救急車でこちらに運び込まれました。様々な検査をしたのですが、大きな異常は見られず、丸二日ほど意識が戻らない状態が続いていました。ただ、脳波に関しては少し乱れが確認されておりましたので、改めて検査をさせてください。」


なるほど。丸二日も寝ていたのか。むしろ16年分の記憶が頭に入ってきたのだ。たった二日で済んだと考えるほうがよさそうだ。


「それから、ご家族にはすでに意識が戻ったと連絡をしておきましたので。もう一度検査をして、異常が見つからなければ退院となります。」


「わかりました。ありがとうございます」


まあ、倒れた原因はわかっているし、体に異常はないだろう。


その後少しだけ看護師さんとお話をしてから、病室のベッドに寝転がった。




それからしばらくすると病室のドアが2回ノックされ、勢いよく開いた。

そこから現れたのは、


「「里奈!!」」


「お母さん、、、と、お父さん!?」


そこにはお母さんと、普段は単身赴任で家を離れているお父さんの姿もあった。


私が目を覚ましたと聞いて飛んできたのだろうか。


「よかった、、本当に、、」


お母さんが私を抱きながら涙声で言った。


さらにその外からお父さんがお母さんごと抱きしめてくる。


「心配したぞ、、」


お父さんのひげが顔に当たってチクチクする。普段は必ず剃っているはずなのに。どれだけ急いできたんだろう。

私はそれが嬉しくてつい笑ってしまう。


「お父さん、お母さん。大好きだよ。」


前世の私は、こんな家族の温かさを知らないまま死んでしまった。


「里奈ちゃん!!目が覚めたって聞いたけど、、、」


こんなにやさしい友達を持たないままに死んでしまった。

当の本人は、家族三人で抱き合っているところを見て、ヤバイミスったという顔をしているが。


あぁ。神様。

ありがとう。

私にはこんなにも素晴らしい家族がいます。

こんなに素晴らしい友達がいます。

私は幸せです。



まあ、恋愛だけはまだだけどね!!

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