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魔王と勇者の異世界日記  作者: ロッキー
第二章 魔王と同居
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第十四節 お姉ちゃん勝負!その1

その後早紀ちゃんは、「じゃあ日曜日ね!」と言い残し、どこかへ行ってしまった。


「私何か変なこと言っちゃったのかな、、、」


不安がる茜の頭を撫でながら


「大丈夫。多分茜は何も悪くないよ」


と励ます。


それにしても、お姉ちゃん勝負っていったい何をするんだろう。勝負というぐらいだから何かを競わせるんだろうけど。


「まあ、早紀ちゃんも遊びたいんだよ。きっと」


早紀ちゃんは昔からいろんな遊びに私を誘ってくれたし、受験勉強のストレスとかもあるだろうからリフレッシュしたいだけなんじゃないかな。


私は早紀ちゃんの謎の申し出を、彼女の遊びの一環だと結論付けると、昼食を再開した。


「ほら、茜。早く食べないと昼休憩終わっちゃうよ」


「、、え!もうこんな時間!」


私たちは何とか時間内に完食し、自分たちの教室に戻った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そして約束の日。


家で茜とマオと一緒に早紀ちゃんを待っていると、、、


―――ピンポーン


妙に緊張しているマオと茜の顔が、インターホンの音でさらにこわばる。

そんなに緊張しなくても。多分早紀ちゃんはそんなガチじゃないよ。遊びたいぐらいの感覚だよ。多分。


とりあえず私は玄関に向かいドアを開けると、そこには早紀ちゃんが立っていた。


白のTシャツにハイウエスト気味に履いた長めのスカート。まだ5月ということもあり少し肌寒いのかその上からデニムジャケットを袖を通さずに羽織っている。シャツインしてるので胸のサイズがより強調されている。

シンプルな恰好だが、早紀ちゃんが着ると一気に映える。やっぱ美人って得だよな。マオも普段着は黒のTシャツにデニムパンツというかなりラフな格好をしているが、めちゃくちゃかわいいもん。


「いらっしゃい、早紀ちゃん」


「おはよう、里奈。お邪魔するね」


早紀ちゃんはにこりと笑いながら挨拶をし、私は早紀ちゃんを私の部屋へ案内する。


「こうして里奈のおうちに遊びに来るのも久しぶりだね」


階段をのぼりながら早紀ちゃんが話しかけてくる。


「そうだね。昔はほんとによく遊んだけど」


小さいときはほんとによく遊んでくれてたなぁ。今でこそ落ち着いているが、昔は早紀ちゃんちの両親は仕事が忙しく家にいないことも多かったため、うちに泊まりに来ることも多かった。それこそ一緒にお風呂に入ったり、一緒に寝たりして、本当の姉妹のように過ごしたこともあった。


昔の思い出に浸っているうちに、気づいたら私の部屋の前についてしまった。マオと茜は大丈夫だろうか。二人を心配しながらも、まあ何とかなるかの精神でドアを開ける。自分の部屋だしノックは必要ない。


――――ガチャ


ドアを開けると、マオと茜が並んで正座をしてこちらを向いて座っていた。いや、なんで正座?説教でもされるの?


そう思いながら部屋の中に早紀ちゃんを入れる。


「おはよう。茜ちゃん。それから、、、、あなたがマオさん?」


「お、おはようございます!早紀先輩」


『あぁ、わ、わたしがマオだよ。よろしく』


緊張している二人を横目にちらりと早紀ちゃんの顔色をうかがう。

早紀ちゃんはマオのことを真剣な顔でじっくりと見ながら何か見定めるような目つきをしている。

、、、あれ?早紀ちゃん思ってたよりガチ?本気でマオと勝負しに来てたの?

マオと早紀ちゃんは数秒見つめあうと、早紀ちゃんはマオに近づき、


「初めまして、私は井上早紀です。里奈の”姉”です」


えらく姉という単語を強調する早紀ちゃん。まあ姉のように慕ってはいるけど。


『改めて、わたしはマオだ。先日からこの家にお世話になっている』


早紀ちゃんのどこか殺伐とした雰囲気を感じ取ったマオは、緊張しながらもきちんと返す。その隣では茜があわわわと顔を青くしている。かわいい。

早紀ちゃんはまたもや数秒ほどマオの顔を見つめると、少し破顔していつもの柔らかい雰囲気に戻ると言った。


「それじゃあさっそく、お姉ちゃん勝負を始めましょう」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「お姉ちゃん勝負のルールは簡単です」


早紀ちゃんがどこからかスケッチブックを取り出し説明する。スケッチブックにはかわいいイラストと説明文が書かれている。

早紀ちゃん小ネタを仕込み過ぎじゃない?


「これから、里奈と茜ちゃんを妹に見立てて二人を甘やかします。最終的により姉として二人をメロメロにできたほうの勝ちです」


なんだその頭の悪い勝負は。めちゃくちゃこっちの判断じゃないか。

そう思っているのは私だけのようで、茜はこれから二人に甘やかされると聞いて顔を真っ赤にしているし、マオは『、、なるほど』とか言いながら真剣な顔をしている。何がなるほどなの?おバカなの?


「では早速第一回戦です。第一回戦の種目は「風邪の妹を看病するお姉ちゃん」です!」


ノリノリな早紀ちゃん、すごく楽しそう。あと今第一回戦って言ったよね。続くのか、、


「チーム分けはくじで決めましょう」


これまたどこからか取り出したくじを私たちに引かせる。


くじ引きの結果、私と早紀ちゃん、マオと茜に分かれた。

茜はこれからマオに看病してもらえるとわかって鼻血が出そうなくらい顔を赤くしている。

とりあえず私は自分の押し入れから布団を一組出すと、茜とマオにそれを使うよう言った。看病というくらいだし、布団もいるだろう。


「よし、準備が整ったところで早速始めましょう。ほら、里奈、ベッドに寝て。茜ちゃんも」


私がベッドに、茜が布団に入ったところで勝負が始まった。


私はどうしたらいいのかわからず、布団を深めに被り、顔の半分から上だけ出して早紀ちゃんの様子を眺める。

早紀ちゃんはそんな私の様子に気づき、にっこりと微笑みながら頭を撫でてくれる。それだけで私は少し幸せな気分になる。そういえば昔私が風邪をひいたときも早紀ちゃんがこうしてくれたなぁ。

昔のことを思い返していると、早紀ちゃんがチラチラとマオと茜のほうを気にしているのに気が付いた。

私もふと気になってそちらを見てみると、マオが茜の手を握り、茜がその手を大事そうに胸元に抱えている。それに対しマオが顔を真っ赤にしながらなんとか耐えているという構図があった。

、、、むぅ。マオめ。私以外の女の子にもああやって手を握ってあげるんだ。


私がなぜか無性にイライラしていると、早紀ちゃんがまたこちらを向き直り少し顔を近づけてきた。そしてそのまま私にしか聞こえないような声で


「、、変なことにつき合わせちゃってごめんね?」


と囁いた。少しくすぐったい感覚を覚えながらも、早紀ちゃんの目をしっかりと見て次の言葉を待つ。

早紀ちゃんは私の意図を正確に汲んでくれて、続けて話す。


「本当はすごく心配だったんだよ。いきなり現れた正体不明の美女。茜ちゃんの話を聞く限りかなり溶け込んでるみたいだったからなおさら怪しくて、、、」


なるほど。きっとこれが普通の感覚なんだろうな。茜やお母さんがあまりにも普通にマオを受け入れてたから感覚がバグってたけど。

どうやら早紀ちゃんは私のことが心配で、マオのことを見定めるためにこんな企画を始めたようだ。


「私にとって里奈は本当の妹のように思ってる。大事な妹だよ。だからそんな妹に何かあったらと思うと怖くて」


伏目がちの早紀ちゃんは少しうるんだ瞳で告げてくる。

かわいい。それにうれしい。早紀ちゃんがこんなにも私を大事に思っていてくれたなんて。


「ありがとう、早紀ちゃん。私も早紀ちゃんのことお姉ちゃんだと思ってるよ。でも、マオは決して悪い人じゃないよ。私の恩人なの」


だからこそ、そんな大事なお姉ちゃんにマオのことを勘違いしてほしくないと思った。私はマオのことを必死に伝える。


「マオがいなかったら私はここにいないの。詳しくは言えないけれど、私が幸せになれたきっかけはマオなんだ。怪しいかもしれないけれど、それでも。今度は私がマオを幸せにするって決めたの」


大事なことはしゃべれない。私やマオが転生者だとバレてしまうから、どうしても怪しい言い方になってしまう。でもきっと、私のお姉ちゃんなら理解してくれるはずだ。そう信じて私は早紀ちゃんを見つめる。

早紀ちゃんは私の言葉を聞いて、ちらりとマオのほうを見た後、もう一度私を見ていった。


「、、、わかった。里奈の言葉を信じるよ。それに今あんなに顔を真っ赤にしている女の子を見たら、まあ悪い子ではないんだろうっていうのは何となく分かるよ」


良かった。流石私のお姉ちゃんだ。

早紀ちゃんは未だにマオのほうを見続けている。

早紀ちゃんの目線につられて私もマオのほうを見ると、茜はマオの手を握りながら膝枕をしてもらっていた。

、、、、、私だってまだされたことないのに、、マオのやつ。茜がかわいいからって。


チリチリと胸の奥が燃えるような感覚を感じつつマオのほうを睨んでいると、不意に耳元から、


「里奈ってマオさんのことが好きなの?」


と聞こえてきた。

別に好きとかじゃない。うらやましいとも思ってない。

私の強がりは言葉には出せなかった。もしマオに聞こえてしまったら嫌だから。

早紀ちゃんの質問に答える代わりに、私はまた深く布団をかぶる。

早紀ちゃんは私の心をどこまで読んだかは分からないけれど、にこりと微笑み頭を撫でると


「まあ、お姉ちゃんは応援するよ。いつでも頼ってね」


圧倒的な安心感のある声に癒されながら心の中でマオに謝る。


ごめんね、マオ。お姉ちゃん勝負は早紀ちゃんの勝ちだよ。だって私のお姉ちゃんは早紀ちゃんだけだもの。それに、私はマオと、、、





結局一回戦は引き分けに終わった。つやつやとした表情の茜が「マオさんのお姉さん属性はさいきょーです!」とよくわからん事を言い、私の早紀ちゃん激推しとぶつかり合い引き分けた。

まあ、マオを見定めるっていう早紀ちゃんの目的は達成されたわけだし、これ以上の勝負は必要無「よし、それじゃあ第二回線を始めます!」、、え?


私はびっくりして早紀ちゃんを見つめる。私と目が合った最強のお姉ちゃんは、ばちこーん!とウインクをかましてきた。

私は先ほどの早紀ちゃんの言葉を思い出す。


―――お姉ちゃんは応援するよ。


あれってそーいう意味!?てっきり見守る的な意味かと思ってたよ!

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