第五話 決意VS勇気
「なぁウラニア知ってるか?」
「何をですか?」
ヴェルディアは、少し間を開けてから呟いた。
「転生魔法って聞いたことあるか?」
その後少し考えてから質問の答えを言った。
「はい。前にケンシロウ様にお聞きしたことがありました。」
「そうか、ありがとう。ところでその魔法を使うとは、言っていなかったか?」
「いいえ、聞いておりません。」
やはりか。ならば少しは、希望が開けてきたかもな。
ヴェルディアは、先ほどのことを思い出していた。
ーーー8時間前ーーー ーーケンシロウの死から4時間後ーー
「何故、何故、何故、」
ヴェルディアは、その時今までに無いほど、脳をフル回転させ師匠の死の理由を考えていた。
「何故師匠が、、やはり亜神族だからか。」
こんな簡単に師匠がやられるはずがない。
そう師匠は、絶対に関わりを持たない悪魔と天使のハーフ。それは、秩序と混沌の世界から生み出されし『亜神』。
「ん〜〜〜〜〜」
唸りながら考えていた。するとヴェルディアは、何かを思い出したように異次元の空間を開き1冊のメモ帳を取り出した。それは、薄く変色をし、数年以内に書かれた文字ではないとわかる。
そして、ヴェルディアは表紙を見た。そこには、こう書かれていた。
「日記-■■■■の旅-」
所々読めないところもあるが誰かの旅の日記だとわかる。
この日記は確か、旅立つ前何故か師匠がくれた日記だったはず。
そしてヴェルディアは、あるページを開いた。そのページにはこう書かれていた。
「転生魔法の歴史
転生魔法:この次元とは別の次元その世界は、魔力がない世界。
化学というものを用いて生活をしている。
魔物や魔族、長耳族などの人類以外の知的生命体は存在しない。
そこで転生魔法を使うと新たな生命(人類)になることができる。」
「転生魔法……聞いたことがないな。転移魔法は、時空と時空を移動するがこの転移魔法は、次元と次元の移動か。」
ヴェルディアは、このような本を読みあさっていた為、今までの感覚から次のページには、その魔法の使用方法が書かれていると確信していた。
しかし次のページには、魔法陣が描いてあるどころかそのページ自体が破れてしまい、次のページ『全体魔法を威力を維持したまま単体魔法にする方法。』と『単体魔法を付与魔法として扱う方法』
げ、何これ強すぎないか…。もしこんなものが本当だとしたら世界が崩壊してしまうぞ。ま、まぁいい、今は、転生魔法の魔法陣を探さなければ。
ヴェルディアは、隅々まで読んだが転生魔法の魔法陣どころかさっきのページ以外に転生魔法についてのことは、一切書かれていなかった。
ーー現在ーー
「‥‥ィア様。」
「‥ルディア様。」
「ヴェルディア様‼︎」
「ん?ああ、どうしたウラニア。」
吾に帰ったヴェルディアは、ウラニアの話を一切聞いていなかった。
「ヴェルディア様ずっと呼んでるのに無視するなんて酷いですよ。さっきの話し聞いてまし たか?」
「いや、聞いてなかった。」
「もぉ〜」
ウラニアは、フグのようにほっぺを膨らましていた。
「って、そんなことよりどうしますかこれ」
前方を向くウラニアに連れてヴェルディアも前方をみた。そこには、非力ながらもスケルトンナイトと戦う王国兵士団がいた。
「ん?おかしいぞ。」
ヴェルディアが呟いた。
「はい…普通じゃありえんありえないのです。」
「では、何故。我々が召喚したのは、スケルトンナイトのはず。なのに目の前には、《上位モンスター》骨龍……いや《最上位モンスター》骨龍騎士がいるではないか⁉︎」
ヴェルディアの自動発動鑑定スキルが発動し、目の前にステータス画面が現れた。
「骨龍騎士
HP 283762
スキル 攻撃力 26937
打斬突攻撃完全無効 防御力 ∞
完全飛行 魔法攻撃力 985382
自動回避 魔法防御力 839420」
「いつこんな事になった⁉︎」
スケルトンドラゴンナイト…聞いたことがない名前だが。
「まあいい、この問題は後から調べよう。今は、目の前の敵を……」
ヴェルディアが考えていたときには、圧倒的な力により戦士長を除く全ての兵士は地面に倒れていた。
ーー10分前ーー
「ここが踏ん張りどころだ!第1作戦準備」
兵士長が叫ぶと兵士達は、兵士長と同じラインまで下がった。
「よぉぉぉぉおい」
すると1人の兵士が持っていた武器を鞘に収め、構える姿勢をとった。
「いけぇぇぇぇぇ‼︎」
兵士長の言葉と同時に兵士の剣が光だし、目の前のスケルトンナイトに斬撃を繰り出した。
しかしスケルトンナイトは、自動で元の形に戻ることができ失った骨は、別の骨で補ったり、近くに落ちている骨で形を戻すことができる。スキル、スケルトンリジェクト《死者の再臨》を持っている。
だが、兵士の切断した箇所は戻ることをしなかった。
「兵士長成功です。」
「よくやった。」
そう我々が作戦として立てたのは、「付与魔法には付与魔法」だ。
名前のとうりに付与された魔法はその効果を発揮することができるが、その付与魔法を超える付与魔法を使えば攻撃が入るということだ。
要するに。デーモン・パーフェクトディフェンス《魔属性攻撃絶対無効》を付与している盾又は鎧に、デーモン・パーフェクトアタック《魔属性絶対攻撃》を付与した攻撃武器を使ったとき、同じ属性付与魔法による矛盾が生じたる。その場合その武器の熟練度と持ち主の熟練度の積を5.28で割ったときに数の大きい方が小さい方に持続効果+10とその時に応じた効果が発動する。
そして、我々の武器に付けたパーフェクトアタック《打撃斬撃絶対攻撃》は、スケルトンナイトのパーフェクトディフェンス《打撃攻撃絶対無効》とは対の存在となるものを付与した。そして、熟練度。スケルトンには、持ち主の熟練度が存在していない。諸説あるがスケルトンは、復活する時に他人又は死体から骨を補うため、元の持ち主が混ざってしまい熟練度がスケルトンには、存在していないと言われている。しかし、この説は根拠が薄く死体をベースにして作られたスケルトンは、骨が綺麗にそろっている可能性があり生前の実力(熟練度)が残っている可能性もあるからだ。しかし、先ほどの結果からこれらのスケルトンナイトは、フェルティカル《召喚魔法》によってできたものであると分かった。さっき言ったユニティカル《変体魔法》によって作り出したものとは逆で、無の場所から新たに作り出す魔法だ。そして多くの数を出したい時に用いられる魔法としても人気だ。
しかし、生き物の様に動くものを召喚するには、それなりの魔力と実力が必要となりその技術は、計り知れないものと言われているのだが。その話は、また今度しよう。
まぁ我々は、その法則を使う事により相手にダメージを受けさせることができたのだ。
「皆のもの!攻撃が通ることがわかったぞ。第2作戦準備‼︎目標、スケルトンナイト‼︎」
兵士達が剣を鞘にしまい構えた。
「作戦、開始‼︎‼︎」
「うぉぉぉぉ」
次々にスケルトンナイトを倒していった。
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「はぁ、はぁ、どれくらい倒した?」
兵士長と、兵士達の前には、沢山の骨が散乱していた。
「半分と言ったところでしょう。」
「そうか、まだ半分か…このままでは、避難している民や、国王を守ることが出来なくなってしまう。」
今できることは、1つを除き全てやったのにな…
「仕方がない…第3作戦準備‼︎」
「……分かりました。」
否定したくなるのも無理はない。
この作戦は、死ににいく様なものだしな。
「逃げたい奴は、逃げ出しても良いと思っている。今回の作戦は、100%全滅する。だが今の話を聞いても逃げ出さない奴らは、俺たちと一緒に死んでくれ。」
兵士長は、深々と頭を下げていた。そんな時1人の兵士が呟いた。
「頭を上げてくれよ兵士長。俺たちは、元からあんたについていくつもりだからよ。」
「そうだ‼︎俺たちは兵士、民や王を守るのが仕事だぜ。それに、ここで逃げ出したら民達に税金泥棒って言われちまうしな。」
「お前ら…ありがとう。」
兵士長は、一滴の涙を無意識に流していた。
「あれ?泣いてますか?」
「ああ、嬉しくてな。お前達と最後を迎えることができてよかった。」
それを聞いた兵士達は、照れ臭そうにしていた。
「よし!第3作戦準備‼︎」
それを聞いた兵士達は兵士長を真ん中とし、横に整列をしだした。
ーーーー第3作戦ーーーー
突っ込むだけ。ただただ目の前の敵を倒して進むだけ。
効率が悪いのは、みんな知っていた。だから切り札として残していた。
「進め‼︎何があっても止まるな‼︎‼︎」
合図と同時に一斉に前に走り出した。
次々と兵士達が倒れていくのが分かる。だが、兵士長は進むのを辞めなかった。そしてたどり着いたのだった…
地獄の入り口へと。
「な、なんだこれは」
下に転がっていた骨が次々と一箇所に固まっていく。そしてその中央には、大きな鳥の形をした物体が少しずつ骨を付けて進化のように形を変えていった。
「撤退!撤退だ!いったん退け。」
残っている兵士に呼びかけたがそれも遅かった。渦の中央から巨大な骨の塊が現れていた。
ーー現在ーー
だ、ダメだ、強すぎる。攻撃が全く通ってないぞ。
「クッ…」
最初の一撃をスキル(自動回避Lv1)オートイヴェイジョンを使ったから少しは、ダメージを防げたが…
兵士長の目の前に広がるのは、血の海だった。そう兵士達が今の攻撃によって全滅してしまっだ。
その先には、今の悲劇の元凶であるスケルトンナイトドラゴンが威風堂々と、居座っていた。
そして、その先に見えるのは今回の残虐な計画を生み出し、数多もの人族を殺したヴェルディアとその奥に15体の幹部達がフル装備で立っているのがみえた。
勝つ確率は、どう計算しても0だと分かるほどの戦力差と実力差だ。それなのに彼は1人で国を滅ぼす力を持つ集団に立ち向かったのだ。
兵士長は、今『恐怖』『怒り』『苦しみ』全てが消えていた。
ただ彼の心の中には『勇気』が満ち溢れていたのだった。
心から溢れて出そうなほどに。
だからこそ、これほどの大きな差がある敵に立ち向かうことができているのかもしれない。
そして彼は成し遂げたのだ、強大な敵を倒す事に。
「ハァハァハァハァ。」
目の前に広がる骨と血と死体の山、そしてヴェルディアが目の前にいた。
パチパチパチ。
ヴェルディアの拍手する音が響く。
「素晴らしい、本当に素晴らしい。あれほどの数のスケルトンナイトと、スケルトンナイトドラゴンを倒すとは。貴様の名を聞く価値はある。名のるが良い。」
「ハァ、ハァ、貴様になど名のる名などない。1つ聞こう貴様がこの地獄を作り上げた元凶か。」
「ああそうだ。貴様らは、『人には危害を加えてはならない』と、教えてくださったお方を殺したのだ。我々は、貴様ら人間達に向き合おうと何度もしてきた。だが貴様らは、我々を差別し、弱き子供を迫害し、殺戮を繰り返してきたではないか。しかし我らは、貴様らに手は出さなかった。だが、貴様らは殺しては、いけない人を殺した。忠告しよう、これは復讐ではない。『決意』だ。」




