第四話 戦争
「き、来たぞー‼︎」
先頭の紫色の鎧を着た戦士長が民に向けて放った。
「ドーン」 響き渡る轟音と共に崩れゆく城壁が目に映る。
その後ろからは、ヴェルディア率いる幾千万のスケルトンナイトと、ウラニアを含めた16体の幹部達が煙に紛れて姿を現した。
「せ、戦士長どうしますか?」
「まずは、スケルトンナイトをできるだけ倒せ、私の軍は私と一緒にこい!」
後ろを振り返りながら適切な指示を戦士長が出していた。
「この国は、滅ぼせれてしまっても王の命と、この国の民は絶対に助けるぞ。」
戦士長の言葉により負の感情が消された戦士達は、持っていた剣を上に掲げ歓声を上げていた。
「では、作戦を始める!陣形を前衛、後衛で分けろ!」
作戦は、こうだ。
魔術師は、後衛に回り傷付いた兵士の手当てと、強化魔法と攻撃魔法による兵士たちのサポート。
そして、兵士達は前衛に行き接近戦闘をおこない、負傷や剣の綻びが起きたときに後衛に回り、魔術師に治療や強化をしてもらう作戦だ。
兵士たちは、この作戦を何度も行なっている為、少し余裕がある顔をしている。
だが相手が悪かった様だ。
「兵士長、もう陣形がとれる状況ではありません!」
「兵士長!我々に撤退命令を!」
至る所から聞こえる兵士長へ向けての声が上がっている。
理由は、簡単だ。
スケルトンナイトが強すぎたのだ。
本来スケルトンナイトとは、スケルトンホースの背に乗るスケルトンが攻撃をして来るだけな為少しの打撃で倒せるのに対し今回のスケルトンナイトは、一体一体にエンチャント《武器付与魔法》がしてあるのだ。
それも上位の付与魔法パーフェクトディフェンス《打撃攻撃絶対無効》が施されている為だ。
兵士たちはそんな事は、知らない為、爆破魔法か斬列魔法が使える魔術師しか攻撃をする手段がなかったのだ。
それも、爆破や斬列魔法は大量のMPと、広大な広さが必要な為ポンポン打てないのだ。
「くっ、仕方がない。撤退だ!撤退しろ!」
その言葉を聞いた兵士たちは即座に城の前まで撤退をした。
「おい、民達はどうだ。」
兵士長は、近くにいた兵士に聞いた。
「もう少しで避難が完了するそうです。」
「わかった。」
国は壊滅状態になっていたが、兵士たちの努力により国王と民達は避難できていた様だ。
「よし我々も避難を…」
そう言おうとした兵士長は、目を疑った。
「な、何故そっちに向かうのだ。」
今まで目の前にいたスケルトンナイトが方向を変えて、民達が避難している場所に向かっているのだ。
マズい、このままでは民どころか国王まで…しかし我が兵達は、先の戦いの傷が癒えていない。ここは、我1人が行くしかないな。
兵士長は、心の中でそう呟きながら馬にまたがったとき。
「兵士長、、1人で手柄を取る気ですか?」
1人の兵士が兵士長の腕を掴んで言った。
「しかし、お前達はまだ傷が…」
「そんなの今は、どうだっていいでしょ!今するべき事は、民を守る事です。ですから我々を使ってください!」
「そうだな」
そして兵士達の準備が整い最後の掛け声をかけた。
「絶対誰も死なせるな!そして我々も生きて新しい国を作るぞ!」
兵士長が馬を蹴ってスケルトンナイトの方向へすぐさま向かった。
その頃、スケルトンナイトは避難所に向かって行進をしていた。
「ヴェルディア様楽しいですね。」
「そうだなウラニア。」
そう言いながらスケルトンナイトの後ろでウラニアを含めた16体の幹部達と一緒にヴェルディアがウラニアと話していた。
「ヴェルディア様、なんか人が近づいてきています。」
「学習能力が無いのか、何か作戦があるのか…まぁいい、ウラニアあいつらの勇気を称えて存分におもてなしをするように」
分かりましたと返事をしようとヴェルディアの方を見たウラニアは、固まってしまった。
ヴェルディアの顔には、笑みどころか怒りも感じられず、ただ無邪気な子供が珍しいものを見たときの様に真剣な顔で、だがどことなく無表情にも近かった。その顔は、まさに『魔王』にも等しく見えた。
「どうしたのだウラニア?」
「いいえ、ヴェルディア様が今回の結果をどれほど楽しみにしているのかが、伝わってきた為。」
「ああ、とても楽しみだ。人間達自らの哀れな行いによって引き起こした今回の戦争をどのように終わらせるのか、期待しているのだよウラニア。」
優しい口調でそう告げた。
その言葉を聞きウラニアは、安心したのかいつも通りに
「そうですね。」
と満面の笑みで答えていた。




