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ナナへの伝言を頼んだというのに、セミオンはジッとしている。
オレの言う事は聞きたくないと?
どうせ去って行くつもりなのなら、初めから近付いて来ないで欲しいんだけどな。
フィンも、スティアも、ドラードも。
あ、スティアはオレから近付いたんだっけ。
そりゃさ、味方じゃないんだってのは分かってたし、オレ自身誰も信じていなかった所もあった。けど、掌返しが激し過ぎて気持ちが置いてかれた部分もあるんだよ。
要するに、落ち着いた今になって沸々と怒りが込み上げてきている感じ。
オレはナナに対して本気で何もしてない。それを、ナナが「エイリーンさんにイジメられてるんです」と言った事だけを聞いて、確実にオレを敵対視するその姿勢よ!
なに?2組の教室に行ったってだけで、あんな激しく睨み付ける必要ある?
その癖セミオンに対してはホッとしたように微笑むんだからな!
何が侍女だ!何が師匠だ!知るかよ!
あ……そうだ。今物凄く良い事を思いついた。
オレは魔法学校で誰からも平民扱いを受けているのだから、自分からも平民アピールをして、確実に平民になってやろうじゃないの。
その上で生贄に選ばれたら、その生贄報酬って一体何処に支払われるんだろう?
自分が生贄に選ばれた時は孤児院かどこかに全額寄付をーとか遺書を残しておいたとして、その遺書の効果って侯爵相手でも有効なのだろうか?
普通にもみ消されそうだ。
じゃあ、王族の誰かに見届け人になってもらったらどうだ?
セミオンにはオレと仲良しごっこを続けてもらおう。
「お腹が空きましたわね。いつものベンチには戻れませんし、何処へ行きましょうか」
全く手を離そうとしないセミオンの手を握り返し、別のベンチまで移動して座り、横に味噌汁が入ったポットを置くと、自然とオレとセミオンの間にはポットとおにぎり分の間が出来た。
「スープって、それ?」
えぇ、これですとも。
ナベとか御椀とかないから、ティーポットで作ったし、ティーカップで召し上がれですわ。の前に、爆属性のセミオンに火を出してもらって味噌汁を温めよう。
「弱火でお願い致しますわ」
ブツブツと文句を言いながらでも弱火で暖めてくれた味噌汁をカップに注ぎ、塩加減が絶妙のおにぎりと共に頂く。
「これ美味いな!」
フフフ、口に合って良かったよ。




