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昼休み、寮の自室で昼食を食べているオレの隣には、いちいち入室許可を貰ってまでやってきたセミオンがいる。
何故こんな事になっているのかというと、セミオンが話したい事があると言うからだ。
教室や中庭でも十分だと何度か言ったのだが、どうしても人の耳が気になると首を横に振る。
ならオレがセミオンの部屋に行くと申し出てみて、王子の自室に女子生徒が出入りしているのは中々に爛れた学園生活を送っている風に見られてしまうと、これはオレが自分で却下し、今に至る。
入室許可が必要になるので寮母さんにはセミオンが女子寮に来ている事はバレてはいるが、硬く口止めをしたから大丈夫。とかなんとか。
危機管理がちゃんと出来ているのか、緩いのか……。
まぁ、ここまでして話したい事があるというのだから大人しく聞くとして、ナナに関する恋愛相談なら、役に立てる気はしないので早々に帰ってもらうしかない。
こっちは昼休みの中庭走り込みを中止してまで付き合ってるんだ、つまらない事だったら盛大な溜息をお見舞いしてやる。
「結論から言うが、俺の婚約者にならないか?」
ぶっ!
予想外過ぎて吹いた。
「なんだって?」
「理由はいくつかあるんだけど……1つ1つ説明してたら長くなるから文書にまとめてきた。時間がある時に読んでくれ」
そう言ってポケットの中から手紙を取り出しテーブルの上に乗せ、その手でおにぎりを1つ掴んで頬張った。
理由の1つに“おにぎりが食べたい”があったら笑おう。
「返事はこれを読んだ後に致しますわ」
「じゃあ今読んで」
今かよ!
今読むんだったら手紙にした意味がないんじゃないか?口頭でも十分だろうに……でも、読むしか無さそうだ。それも昼休みが終わるまでに!
「では、ゆっくりと昼食を楽しんでいてくださいな」
と、手紙を読んでみる。
それによると、ナナと愉快な仲間達に対してある程度の嫌悪感を持っている事が最初に書かれていた。
何故だ?ナナとの出会いイベントを終えたセミオンは、まず間違いなくナナ御一行の仲間入りを果たす筈じゃないのか?




