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教室の後ろにある掃除用具入れの中からホウキを1本取り出し、オレはそのまま廊下に出てみた。
クラスメート達全員の視線と教師の視線が集まっているが、声をかけてくる人物は特にいない。
「スグに戻りますわ」
ニコリと挨拶をして向かった場所は、もちろん2組の教室だ。
一応ドアをノックしてからお邪魔すると、ここでもまた生徒と教師全員の視線が集まってきた。
1組と違うのは、明確な嫌悪感を向けられている所だろうか。
「なんだ?何しに来た」
何をしに来たのかを聞いてきた癖、教師はグイグイとオレの体を廊下へと押し戻そうとしている。
廊下に追い出してから話を聞くつもりか?
それじゃ意味がないから、さっさとやるか!
ホウキの柄の部分を口元にあて、1組で披露した歌を熱唱した。途中でホウキはギターとなり、それはもうノリノリで歌いきってやった。
うん、この歌い終えた後の静寂はどこも同じだわ。
「……っと、私は思いますの。先生はどう思いまするか?」
そして流れるように、無茶振り。
「授業中にまでナナ譲への嫌がらせか?自分が1組だからと言って調子に乗るなよ」
答えたのは教師ではなくノータス。
見ればノータスは立ち上がってオレを睨み付けており、フィンはナナを守るように立ち、これもまた射抜くほどの勢いで睨んでくる。
ただ歌を1曲歌っただけで、しかも教室の入り口……半分廊下に追い出されつつ歌っただけで、それかどうしてナナ単体への嫌がらせと捉えた?
「私は先生に質問をしただけですのに、可笑しな言いがかりですわね」
と、教師に視線を戻してみれば、相変わらず教え子に向ける目とは思えないほど激しい視線を向けてくる。
「アヌビアス侯爵令嬢への侮辱行為が、平民のお前に許されると思っているのか?」
いや、だから。なんで廊下に近い場所で1曲歌った事がナナへの侮辱になるんだよ。授業を邪魔しにきてるんだから、先生への侮辱になるんじゃないのか?
しかも、アヌビアス侯爵令嬢って!
侯爵はプラガット家だろ?
あぁ、これは、言葉は通じるのに話が通じないって奴だ。




