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朝の訓練に向かうと、そこにはいつものメンバーだけではなく、何故かコーラルもいて目が飛び出る程ビックリした。
しかしそんなオレの様子などお構いなく、ナナ達が突如現れた生徒会メンバーであるコーラルに対して親しげに話しかけてくれたお陰でなんとか気持ちを持ち直す事が出来た。
本当なら完全無視された事になにか、こう……ショック?を受けるのが普通の反応なんだろうけど、さっさと朝の訓練を始めてくれるのなら全く関係ない。
そうだ、エイリーンとしては今初めてコーラルと会った訳だから、生徒会メンバーである所から知らないんだ。
そう、あれは知らない人間であり、ナナが親しげに話しかけている不審な人物。
「皆さん始めまして。俺は生徒会メンバーのウィスカーズ・コーラルと申します」
こいつはやっぱり自分から名乗るんだな。
「おはようございます。私はアヌビアス・ナナと申します。それで……生徒会の方が何故ここに?」
気になるのは分かるけど、全員が自己紹介し終わってから質問しようよ。
別に良いんだろうし、取り沙汰される事もないんだろうけどさ。
「朝に訓練をしていると聞いてね。どんな事をしているのか気になって見に来たんだよ」
「そうなんですね。毎朝この時間なんですのよ。明日も来られますの?」
「見学は今日だけになりそうかな」
ほら、この場にナナがいれば他の連中なんか単なるモブ。話題に上がる事もないし、自己紹介がなかった事にすら疑問をもたれないんだ。
そしてそれは本人達も感じないのだろうな、普通ならこんな扱い受けたら少し位はイラッとするもんじゃないのか?なにをニコニコと。
人形かよ。
結局ここは乙女ゲームの中ってだけで、ここで生きてる人間なんてのはいなくて、目の前にいるこいつ等は単なる登場人物でしかないのか?
姉が打ち込んだ感情しか抱かないのか?
姉が打ち込んだ台詞しか声に出さないのか?
お前らの感情ってあるのか?
「私は、プラガット・エイリーンと申します。そちらにいる方々は右からクロースバングル・フィン様、オトシンクル・スティア様、アストロ・ノータス様、スピンドル・ドラード様ですわ。ご自分で自己紹介されなかったのでまとめてさせて頂きました」
そして俺に集まる白い目。
クソだわ。
反吐が出る。




