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魔法学校の中にあるサロンに通されたのは、午後の授業が始まる本鈴が鳴った後の事だった。
なにも騎士達に無理を言って話を引き伸ばした訳でもなく、今年の生贄に会いたいというオレの願いがアッサリと通った為。
そこで、昼休み中だと目立つというので授業が始まるのを待ってから。という事になったのだ。
この世界はエイリーンには厳しいが、その他の者には緩々だな……じゃあこの後オレがエイリーンだとバレでもしたら大変な事になるのだろう。
騎士を騙した。と、大袈裟にされそうだ。
まぁ、その通りなのか。
コンコン。
ノック音の後ドアが開き、騎士と1人の青年が入ってきた。
青年はやけに堂々とした態度で歩いてくるとオレの前の椅子に座り、
「初めまして。俺はウィスカーズ・コーラルと申します」
と、行き成り自己紹介を始め、おまけに握手をしようというのか好意的に右手を差し出してくるではないか。
初めから好意的な奴はどうも信用できないが、名乗られた手前名乗らない訳にもいかない。
どうしようかな……偽名を考えるのを忘れていた。
えっと、名前……えっと、えぇっと……。
「お、オレは、水木と言います」
前世での苗字を名乗りながら握手に応じれば、全く手を離してくれない。
これは何か色々と不味い事になっているのかも知れない?
道理でここまでアッサリと通された訳だよ。
恐らくこのコーラルは今年の生贄ではない。
そうなると騎士の1人か、それとも神官か?学園長というには若過ぎるし……。
「ふむ。ミズキ、と呼ばせてもらうよ。では早速だけどミズキ。君は生徒会を知らないのかい?」
生徒会なら知ってるけど?ってか、どんな学校にもあるもんじゃないのか?
実際になった事はないからどんな活動をしているのかは全く分からないが。
「まぁ、知ってるけど?誰がいるのかまでは知らない」
少なくともコーラルは生徒会のメンバーなんだってのは分かったけどさ。
「一応ね、全生徒の顔と名前は把握してるんだよ?でね、君は一体何処から来たんだ?」
あ、これヤバイ奴だ。




