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昼休みの図書館は人口密度が低かった
それもその筈で、歴史書などは第1図書館に、小説や詩集は第2図書館にあるので、一般的な生徒達は皆第2図書館の方に行くのだ。
そのお陰で遠慮なく目当ての本を探す事が出来た。
ジックリと読みたいが貸し出しとなると名前を書かなければならないので証拠が残ってしまう。
ならばやる事など1つ、書き写すのみ!
歴代の生贄達の名前なんて必要ではないのだろうが、所々赤文字で書かれているのが気になるから、念の為。
生贄に選ばれたら3日かけて身を清め、守り神のいる場所へ向かうらしい。
身を清めるのは守り神のいる岩山の麓にある神殿、か……。
神殿までは生贄と数名の身内、神官と護衛の者達だけで向かう。
国の生贄なのだからその護衛は騎士なのだろうが……国を挙げての生贄の移動にしては小規模じゃないか?途中で魔物や賊に襲われる可能性は考えないのか?
けど、今までこれでやって来れたんだから大丈夫なのか。
比較的安全な道を通るのかな?しかも昼間とか……いや、岩山の麓にある神殿で3日間過ごすんだよな?そこの護衛はまた別にいる?
生贄にはその年に魔法学校を卒業する生徒の中から選ばれる事が多く、気候が落ち着く5月に岩山へ向かう。
気候が落ち着く5月か、4月も落ち着いてるとは思うけど、4月は入学とかで色々忙しいから5月になった感じかな?
「って!」
今月だよ!今5月だよ!
え?これもう生贄出発してる感じ?既に生贄った感じ!?
いやいや待てよ、落ち着け。
今生贄を断って守り神が暴れても、まだ弱いオレではどうする事も出来ないじゃないか。なら来年の生贄を妨害すれば良い。
1年あれば強さも、作戦も十分に練る事が出来る。
見切り発車が如何に駄作かってのは頬を2度も打たれた事で反省しただろ?
そうだ、落ち着け。
今年生贄に選ばれた卒業生も納得して行くわけだし、その家族には報酬まであるんだから見捨てる訳ではない。
そう、見捨ててはいない。もしここでオレを人でなしという奴がいるのなら、それはそっくりそのままソイツにも言える事だ。
人の命の上に立って生きているんだから、この国に住んでいる人間は皆年に1度人殺しになるんじゃないか。
そう、オレだけじゃなくて皆悪いんだ。




