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もしかしたら、エイリーンはナナに対して嫌がらせをしなかったのかも知れない。
今日のオレみたいにデマを流されただけなのかも知れない。
全てにおいて諦めていたエイリーンなら、デマを流された所で特になんの弁解もしなかっただろう。
平手打ちをお見舞いされても、表情1つ変えなかったのかも知れない。
で、あの思い込みの激しいアフィオに、抵抗しないという事は罪を認めるんだな?とか言われてさ。
それが積もり積もって、断罪で、生贄にされて、守り神に踏み潰された?
なにそれ救いが一切ないぞ!?
普通さ、悪役令嬢にも1人位味方っているもんじゃないのか?幼馴染とか、侍女とかさ……魔法学校で出来た友達とか。
そんな救いとなる人物すらいなかったのか?
あ、うん。
いないわ。
「はぁ……」
セミオンとドラードを生贄にさせない為に守り神を退治しよう!とか意気込んでたけど、なんかそれって単なる自己満足な気がしてきた。
守り神を倒せば、今まで攻め込んで来なかった他国や魔物が攻めてくるんだろう。そんな大きな戦争の引き金を自分が引く。それに対しての覚悟を“他の皆を守るためー”だと言って罪の意識を少しでも反らそうとしているだけじゃないか。
戦争は起こしたけど、生贄になる筈だった命は助けられた!ってさ。
薄っぺらいわ。
そもそも守り神を退治する必要はあるのか?
1年に1度の生贄で守られているのなら、その生贄供給を断てばどうなる?
守り神によってこの国は滅ぼされるか?
それとも厄災が起きるか……。
退治するより難易度は低いが、圧倒的に情報不足だ。
教師に色々聞くのが手っ取り早くはあるが、足が付く。変装をしても先にクラスと名前を聞かれたらアウトだしな……。
情報集めといえば酒場が基本だが、ここは魔法学校。となれば図書館しかない。
毎年1人の生贄と、その生贄の家族に報酬まで出しているんだから何かしらの記録は残っている筈!その記録の中に守り神の居場所を記すような文書があればこっちのものだ!
そうと決まればさっさと着替えて図書館へ急ごう!




