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2回打たれた頬を手から出した水で冷やしながら、不貞腐れきった態度で授業を受ける。
人の話を全く聞かないアフィオは、愛するナナの話すらも聞き入れず、結局はオレがナナに無理矢理デマだったと言わせた。との自己解釈を披露し、正義の勇者気取りで授業を受けている。
とりあえず、今後の方針としてはデマを流されようとも完全無視って事でオレはオレで自己解決させるしかない。
そして次回からの平手打ちは避けさせてもらおう。
悪役令嬢はヒロインに近付いても良い事など1つも起きないんだな……ハァ。
もういい、魔力トレーニングに集中する事にしようじゃないか。
よいしょとイスに深く座りなおし、頬を冷やしていた水の玉に魔力を注いでお湯にして、今度は水蒸気に。それを風で集めて冷やして水に戻し、今度は氷に。そして水に戻してお湯にして、蒸発させて集めて冷やして……それを延々と繰り返して魔力をほぼ使い果たした所で最後の仕上げに氷柱を机の上に作ろうと思った。
しかし、それは氷柱になり切らず、ただ水が机の上を濡らしただけに終わる。そして、魔力の枯れたオレ自身も意識が切れた。
目が覚めれば至って普通に授業中。
何時間目だ?と時計を確認してみれば4時間目の終わり辺り、2時間目と3時間目は睡眠学習となったようだ。
こんなもんか。
昼休みになると運動着に着替えて中庭ランニング。昼食はまたなんだかんだとデマの元を作るのも面倒なので寮の自室で食べる事にした。
午前中に魔力を枯らしたというのに、普通に移動する程の風の魔力なら使っても大丈夫そうだな……オレは魔力の回復が早い方に入るのだろうか?……比較対象がいないから分からないな。
「はぁー……」
まさか、まさかだ。
自分には味方がいないってのは頭でも心でも分かっていたし、味方を望んでもいなかったってのにさ……本当にまさか、だよ。
ナナに水を地味に浴びせかけた時の、あのオレを鬱陶しそうに睨んでくるフィンの顔ったらなかったね。
そんなにナナが大事なのかよって、当たり前な事を聞きそうになったよ。それを思えば問答無用で平手打ちしてきたアフィオに感謝するべきなのかも知れない。
心優しいスティア少年も立派になっちゃってさ、めっちゃ睨まれたー。
「ハハハ……」
この世界は、やっぱりオレに厳し過ぎるわ。




