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静かになるだろう。その予想は朝教室に入った瞬間にハズレた。
もちろん、悪い方に。
昨日ナナが噴水の水でちょこっと濡れた事件が、何故かオレが風魔法を使って水を故意にかけた。などという噂が立っていたのだ。
あの場所にオレがいた事がバレていた?いや、そんな感じはなかったよな……。
と、言う事は?
あの場にいたナナかセミオンがそう言い回っているのだろう。
まさかまさか、こんな即効敵になるとは驚きだ。
とは言え、特に何もしていないのに悪役令嬢らしい噂が立っているんだから楽で良いな。
「貴様!平民風情がナナに何をしたのか分かっているのか!」
あー……やっぱり前言撤回。
これは面倒臭いな。
ナナのヒロインマジックにガッツリとかかっているアフィオ王太子殿下が来なすった。これ、どう捌けば良いんだ?
「なにを、でございましょうか?」
ナナの方が平民だけどな!ヒャッハー!とは声に出さないオレは大人だ。そう、ここは大人な対応をすれば中学生程度の小童など敵ではない!
気分はあれだ、社長の捻くれたくっそ生意気な子供か甥っ子を相手にする感じだ。
「白を切るな!魔力が高いだけの平民がナナの光属性を羨んだか?恥を知れ!」
パシン!
これが未来の王様……いや、これ本当にこの国大丈夫か?噂話だけを耳にして、それを自分の良いように解釈して、オレの話も事実確認もせずに勝手に結論を出してるぞ?しかも平手打ち付ってどうなんだよ。コレ完全に冤罪だし!冤罪で殴られてるし!
「ナナを噴水の水で?私は水と風の属性を持っていますのよ?濡らすのに態々噴水など。そうだ、今からナナさんを水浸しに行って噂話がデマだと証明しましょうそうしましょう」
と、オレは教室の壁に向かって大声を上げて窓から飛び出した。
アフィオの属性は炎なので火と風の魔法が使える筈なのだが、風魔法の精度は余り良くないのか、窓からは追いかけて来ないようだ。
2組の教室に入れば、同じクラスのノータスだけでなく、スティアやドラードもいて、ナナの後ろには何故か魔法学校の制服姿のフィンまでいた。




