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冷たい。そう無邪気な笑顔のセミオンは、持っていた袋の中からかなり巨大で真ん丸いご飯の塊を取り出すと半分に割り、差し出してきた。
これは、かなり巨大なおにぎりだな。
「昨日のおにぎりはいらないとの言葉は、自分で作ってくる。との意味だったのでしょうか?」
半分になった巨大おにぎりを受け取りながらも聞かずにはいられなかった。
「そっ。いつも貰ってばかりだっただろ?それじゃあ駄目だと思ってさ」
そうだったのか。
だけど、食べるか喋るかどちらかにした方が良いと思うぞ?って、こんな所で作法も何もないな。そもそも、そういうのが嫌でここにいるのかも知れないし。
と言う事は、ナナとのイベントは今日ではないのか……だったら!
「昼休みが終わる前に、食べてしまいましょう」
これだけ大きなおにぎりだ、後半はきっと満腹になっているはず。それでも押し込むように食べつつ、セミオンに無礼がないよう美味しそうに食べ切らなければならない。
最悪、鳥に集ってもらおう!
包み直して軽食にとっておくという手もあるか。
「ドラードがいないと、やっぱ寂しい?」
モシャモシャと食べ進めていると、隣からそんな声が聞こえてきて、視線を向ければ意外と無表情な目があった。
やっぱり寂しい?と尋ねている本人の癖、ちっとも寂しそうではない。
「人が来て、去って行く。それは普通の事で、それに対して思う事など……あぁ、ベンチが広い。位ですわ」
仲良くなった。そう思っていた相手が突然なにも言わずに去って行く。そんなの、別に特別な事でもなんでもない。
「あいつが今何処にいるか知ってるか?兄のいるグループにいるんだよ」
えぇ、存じておりますとも。だけど、少し認識が違う。
第1王子アフィオ率いるグループではなく、ナナ率いるグループだ。
って事は、アフィオとナナの出会いイベントは既に起きた後なんだな。
「そのうち、セミオンも一緒にいるようになるから安心していいですわよ」
ナナの取り巻きの1人として学園内をキャッキャウフフと練り歩く日も、そう遠くはないのだろう。
さて、悪役令嬢であるオレはどう振舞うのが正解だ?
「はぁ!?冗談じゃねーぞ!」
少しばかり先の事を考えていると隣から大声で怒鳴られ、かなり、非常にビックリした。




