3
完全にばててしまっているナナの少し前を走るドラードも、歩いているのと変わらないような速度で、それでも辛うじて走っている。
ここからでは顔が見えないのが残念だが、恐らくは死にそうな表情をしているに違いない。
なら、いよいよか?
「キャッ」
「うぁ」
ドサリ。
見たかったイベントは不意に始まり、一瞬のうちに終わった。そして見えるのは仰向けに倒れたドラードに馬乗りになっているナナの姿だ。
なるほど……ドラードはこけそうになったナナをギリギリまで支え、そして支えきれなくなって倒れた。こけた時の勢いを失ってそのままドサリと倒れたのだから、馬乗りになるのも、まぁ自然に見えた。
そうして見詰め合う2人。
凄い……オレの描いたシーンがちゃんと重要なイベントとして起きている。
こうなると描いた絵の全てのシーンを見てみたくなってきたが……既に起きているだろうイベントは諦めるしか無さそうだし、ナナを観察している暇があるなら剣術と魔術を鍛えたい……。
見れそうなものは見るってだけに留めるか。
としたら、次はセミオンとの出会いイベント……背景は中庭の噴水前で、ずぶ濡れになったナナにセミオンが自分の服を脱いでかけてあげている場面だ。
恐らくは噴水の水がナナにかかり、それを目撃したセミオンが上着を貸してやるイベント内容なのだろう。
しかし、またしても謎だな……。
どんな状況になれば噴水からの水でずぶ濡れになるんだ?池に落ちたにしてもどんな状況で?
まぁ、噴水のある人口池そばのベンチで昼食をとっているんだから、なにもしなくたって見られる、かな?
「も、申し訳ありません……お怪我はございませんか?」
立ち上がったナナは頭を下げ、心配そうな表情でドラードを見つめ、見つめられているドラードもナナを見つめながら立ち上がり、服に付いた土を払い落とした。
そこは「大丈夫」とか言いながら微笑むとか……怪我はないか?って尋ねられているんだからその返事を返すとかあるでしょうが。もしくは「キミこそ怪我はない?」とかさ!
いや、でも……朴念仁なドラードらしいと言えばらしいのか。




