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悪役令嬢でござりまするってよっ!  作者: SIN
第29章ですますわっ

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12

 窓から飛び降りたセミオンの怪我は、そう大したことはないらしいが、思った通り精神的にかなり弱っているようで一言も話さなくなってしまったらしい。

 それはナナが話しかけても同じことで、時々泣いては窓から飛び出そうと暴れるのだとか。

 心身弱まっている影響からなのか、セミオンはナナマジックにかかることなくステータス値だけは高いらしいので、だから余計に暴れるセミオンを押さえ付ける医師達が大変な思いをしてるそうな。

 しかし、ドラードがいなくなるってだけでここまで精神に異常をきたすようじゃあ、将来ドラードが生きていると明かしたところで、冒険者や商人として彼方此方飛び回るようになったらどうなるんだ?

 「ケリーがゴーレムを忍び込ませてセミオンを連れ出そうとして見つかってね。それで残りのゴーレムが全て破壊されたんだ」

 なるほど、そういうことだったのか。

 「ケリーはセミオンを連れ出してどうするつもりだったんだ?」

 どこかに匿うにしても時々暴れるのなら取り押さえて落ち着かせる人材が必要になる。

 彼女であるナナが話しかけても回復しないんじゃあ、誰が話しかけても無駄じゃないのか?

 ここにいるドラード以外は。

 「多分だけど、キミ達が生きていることを教えるつもりなんじゃないかな。数日ナナと一緒にいてステータスに異常がなかったことでナナの呪いに対して耐性があるって判断したみたいだし」

 皆の間ではナナマジックはナナの呪いってことで定着したのか。

 そう聞くとナナが1番の悪者のように聞こえるけど、回復魔法のレベルを上げさせるためとはいえ、平気でナナに攻撃をする周囲も悪だよなぁ……。

 勇者になんかなりたくないって訴えてきたナナは、ただの可愛らしくてか弱い令嬢に見えた。

 それがナナマジック効果だとか?

 ケリーの気持ちとしてはセミオンを仲間に入れる感じでまとまってそうだけど……いや、口出ししないで皆に任せよう。

 イザという時はドラードをお姫様抱っこして逃げればいいだけだ。

 「それで、今後の予定は?」

 方針が決まっていたとしても、具体的な作戦がなければなにもできない。

 もしなにも考えが浮かばないというのなら、オレが1人でオードゥスに戻ってセミオンを強引に連れ去るといういつもの手を使っても良い。

 それにはまずこの町で監視対象として1か月間過ごさなければならないが。

 とは言え、違和感がある。

 セミオンが部屋に籠っているというのなら、自分の足で出てくるのを待つ以外にできることがないんじゃないか?

 ゴーレムを壊されたと騒いでいるならまだしも、新しいゴーレムの受け渡し方法まで既に決定済み。

 セミオンが窓から飛び降りたと慌てているのなら、それは飛び降りた直後でなければ不自然。

 つまり、今日大慌てで長時間連絡を取り合っていることがそもそも可笑しいんだ。

 「他になにがあった?」

 酷く嫌な予感がする。

 「……ベルノーズとブラックが研究資材と共にトランに向かってる所」

 あ、思った以上に平和だったわ。

 冬期休暇を待たずにこっちに向かっているってことは、セミオン救出のためのゴーレムを受け取りに来るんだな?

 でも待てよ?ベルノーズとブラックじゃゴーレムを動かすことはできないよな……あぁ、研究資材の1つとしてゴーレムがあるという設定かな。

 「ゴーレムを用意すればいいんだな?何体いる?」

 「2体お願いできるかな?後、受け渡しは俺がするよ。キミ達は会わないようにして。どうしてもという場合はブラックにだけ接触するようにしてほしい」

 うん?

 ベルノーズにはまだスティアの監視でもついてるのか?

 でもそれなら、ベルノーズとブラックとスティアがこっちに向かってるって言い方になるよな。

 「どういうことだ?」

 「……ベルノーズが、ナナの呪いにかかったらしいんだ」

 慌てていた理由は、これか。

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