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悪役令嬢でござりまするってよっ!  作者: SIN
第29章ですますわっ

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 夏季休暇はもうとっくに終わった筈で、学生であるスティアもナナと共に学校に通っている筈で、本来ならばそろそろハザマを探しに森探索とかコーラルの永住場所探しとかしている筈なのだが……。

 スティアに呼び出されて話し合いに行ったベルノーズからの連絡が、一向にない。

 それどころか学校に戻っているだろうケリーからの連絡もないので、詳しいナナ側の情報が分からない。

 不定期でクロさんからの近況報告がコーラルに届くんだけど、クロさんは現在カワさんと2人で彼方此方のダンジョン攻略で王都からは離れているらしく、やはりナナ側の詳しい状況が分からないことに変わりない。

 そしてオレ達はというと、高ダンジョンの地下を勝手に開拓して自由気ままなサバイバル生活を続けていた。

 地上に出る時には完全フルプレートの鎧を身にまとってダンジョン攻略中の冒険者を装いつつ、食料を採取したり狩ったりしているので日照不足やら運動不足は解消されているし、ここのダンジョンは高レベルなので普通に魔物を1匹退治するだけで良い経験値稼ぎになる。

 魔物を倒した後の素材は、死骸をそのまま町に持っていって道具屋に売るのが簡単でいいんだろうけど、オレ達は安全第一を優先することにしてベルノーズからの連絡があるまでは地下で過ごすことにしたので直接売りには行けない。

 ということで、そのまま持ち帰り肉は食料にして爪や牙、角、皮などは素材として冷凍保存している。

 初めの頃は加工までしてしまおうと思ったんだけど……皮のなめし方が分からないので大体は駄目になってしまい……。

 なめし液に漬け込むとはどこかで聞いた気がするので、保存効果がありそうな物を集めて煮詰め、それに漬け込んでみたりしているんだけど、まぁ、大体は駄目になってしまったのだ。

 幸い、オレもドラードもコーラルも水魔法を使って対象物を氷漬けできるので、交代制で小部屋のひとつを冷凍部屋にして管理している。

 「エイリーン、少し良いか?」

 「クロさんから新しいメッセージが届いたんだ」

 冷凍部屋の保冷力を高めるため、壁の改良を考えているところにドラードとコーラルがやってきた。

 地下での生活を始めてすぐのこと、ドラードは長かった黒髪をバッサリと切り伊達眼鏡をかけ始めたので、初対面で今のドラードを見ても「俺の描いたキャラクターだ」とは思わないだろう。

 そんなコーラルも狩りに出るたびに魔物を退治していたせいでレベルと筋力が上がり、もうどこからどう見ても攻撃職の冒険者にしか見えない。

 そしてオレはと言えば、男装のために切っていた髪が伸びたので、ちょっと筋肉量が多いだけの令嬢だ。

 「んー。クロさんがなんだって?」

 少し伸びをしてから冷凍部屋を出た所で聞く姿勢を取れば、ドラードが地魔法で人数分の椅子を出現させたので、狭い通路に突然会議室が出来上がった。

 「エイリーンが購入した家の名義がスティアに移り、俺達の荷物は家から運び出された。ベルノーズは荷物を取りに一旦こっちに戻ってきている。だそうだよ」

 今回もただの報告だろうと思っていたのはドラードも同じだったのだろう、クロさんからのメッセージを読み上げるコーラルの言葉に目を見開いている。

 多分、オレも同じような表情をしていることだろう。

 あの家がクロさんやカワさん名義になるならまだしも、何故スティア名義になるんだ?

 なにか正式な遺言みたいなものを残した覚えはないんだけど……あ、そっか、向こうには王太子殿下がいるんだからどうとでもなるわけか。

 「えっと……じゃあ今はベルノーズもスティアもオードゥスにいるんだな?」

 それさえ分かればもっと自由に行動できるようになる。

 「荷物を取りに来る人物の様子を見ているようだから、そうだろうね。えっと、ミズキキヨタカとドラードの部屋に残っていた荷物はそのまま破棄するみたいだよ」

 となれば商品もそのまま破棄されるか没収されるかになりそうだな。

 でも荷物に関しては別に良いかな……エイリーンの大切にしていた石は持ってきているし、オレの私物も持ってきているし……ドラードがくれた羊のぬいぐるみはクロさんが準備してくれた荷物の中に入っていたし。

 それに、皆でお揃いにした血の色をしたタッセルは装備中だ。

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