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ゲームの内容について質問を受け、それに答えるという時間がしばらく続いた結果、コーラルだけではなくドラードとベルノーズの中でも答えが出たらしい。
「このゲームは予言ではない」
3人が言うには、自分が全く再現されていないことが根拠になるのだとか。
そこについてはナナマジックにかかるか、恋に落ちるとそうなるようになっているのだと説明をしたが聞き入れてはくれなかった。
こうしてナナマジックについて意見交換してみると、イベントの好感度変動による攻略対象者のステータス変化や性格の変化は、一種の呪い系の魔法ということになった。
そんな馬鹿なとは思うが、この世界を一旦現実世界だと思って見れば、確かにそれは呪い系の魔法に違いないなと。
「それで、君はこの予言に登場するプラガット・エイリーン嬢ではなく、ミズキキヨタカという創造神なんだよね?この予言で言うならエイリーン嬢は大人しく学校に通い卒業と共に生贄になるんだ、こうして国外逃亡なんて、ね?」
そうだ、オレはエイリーンではない。
そうなんだよ、エイリーンじゃないんだよ。
やっと分かってくれる人がいた!
「そうなんだ!俺は水木清隆。この世界のグラフィックを担当したただの引きこもりニートなんだ。
突然この子の体に入ってしまって……それで俺はこの子の魂を探したいんだ」
確かにあった筈のエイリーンの魂が消えてから随分と経ってしまったから、どこをどう探せば良いのかもよく分からないけど……。
「グラフィック?」
「あ、イラスト……景色とか人物の絵を描いた」
魔物に関しては俺の絵ではあるんだけど、切り貼りしたのは俺の中に入った謎の人物だから、どうだろう。
「待って、多重人格なんだろ?」
ドラード達にはそう説明してたっけ。
「想像しやすいように多重人格って言ったけど、本当はこの子の体に入っただけの他人だよ」
「え……」
「少しいいかな。引きこもりニートとはなんのこと?」
そうか、この世界じゃあ通じないわな。
「えっと、引きこもりニートってのはー……引きこもってて、それから……」
未成年の子3人に向かって、”無職であること”とか情けなさ過ぎて口に出すことも憚れるのだけども!
「それから?」
引きこもりでニートで、絵ばっかり描いてて姉の作った乙女ゲームの絵を描いて小遣い貰ってたから……物凄く大きく分類すると絵描き、だよな?
「えっと……部屋に引きこもって、絵を描くことだ」
あぁ、なんかドッと疲れた気がする。
「とりあえず今はここまでにしようか」
「異世界のことなら、トランに着いてから」
それもそうだな。
ハザマを探しながら思い出したこととかその都度話しても良い……の前に、急に黙り込んでしまったドラードのケアが先だ。
ここでやっぱりナナの方が良いとかなんとか言ってナナマジックが発動したら一大事だからな。




