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「ゴメン。すまなかった」
朝、教室に入った瞬間オレの前には平謝りする朴念仁がいた。
正確には非常に申し訳無さそうな、情けない表情を浮かべている元朴念仁。
正直な所、何に対して謝られているのかがハッキリとはわからない。
十中八九朝の待ち合わせの事なんだろうが、それだってオレは「絶対に来い」とは言っていない。
自分の描いた絵の前後の様子が知りたいって個人的な目的の為でもあったから、強くは誘わず、よろしければ。と
なので特に気にはしてないのだ。
そもそも来てくれるとも思ってなかったんだし、残念だとは思ったが怒りも何もしていない。
「元より来るとは思っていませんでしたので、お気になさらず」
精一杯の笑みを浮かべながら、オレに出来る最上級の穏やかな声色で伝えたにも拘らず、顔を上げたドラードの人相はかなり悪い。
これのどこが朴念仁だよ。
「期待していなかったと、そう言いたいのか?」
言いたいのではなくて言ったのだが、上手く伝わらなかったのか?
それとも、お前には失望した。とでも思っているように見えるのだろうか?
「訓練は朝も早いし、早起きする習慣がないと中々出来ませんわ」
だったら明日の朝なら来るのか?と問おうとした所で、オレ達の所に1人の男子生徒が近付いてくるなり、少々小さい玉を出して見せてきた。
それは昨日の授業で散々打ち落とし覚えのある無属性の玉に似てはいるが、形が歪だ。
「昨日の無礼を詫びて貰おうか」
誰だコイツ……昨日の無礼ってなんだっけ?
全く見当も付かないのでドラードに助けを求めるように目配せすると、少しばかりの呆れを感じさせる表情で見返された後スッと無表情に戻し、男子生徒に向かって軽く頭を下げた。
どうやら、知っていないとマズイ相手のようだ。
「おはようございます、セミオン殿下。昨日の無礼をお許しください」
物凄い棒読みで言ったドラードに続いてオレも頭を下げ、
「セミオン殿下、お許しくださいませ」
と言いつつ、それでもまだセミオンって誰だっけ?と首を傾げる。
あ、誰?もくそもない。殿下だよ!
あのキラキラ第1王子に劣等感抱いてる第2王子だよ!
王族だよ!




