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悪役令嬢でござりまするってよっ!  作者: SIN
第28章ですますわっ

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 カバンの中に残っていたポーションを飲んでHPを全回復させ、自然回復したわずかなMPを駆使して短剣を1つ作って武装する。

 魔物がこの空間まで到達するならば、上からの方が早いだろう。

 だから短剣を上に構えた姿勢でしゃがみ込み、魔物が串刺しになってくる衝撃に備えた。

 で、魔物は穴を掘って進んでくるわけだから、ここまで到達する時には地上まで開通している状態だともいえる。

 できるかどうかは分からないが、短剣を上に構えた状態のまま飛んで地上を目指そうという魂胆だ。

 MPの回復度合いによっては短剣ではなく攻撃魔法を真上に放ちながら飛べばいいんだろうけど、さすがにそこまで回復するほどの時間もないだろう。

 「逃げ切る……」

 はぁ……。

 まったく、オレってこんなにも弱かったんだな……これでよくもまぁ守り神を一人で倒す!なんて思えたものだ。

 でもひとつ言い訳をするなら、ドラードを道連れにする可能性があるから無茶ができなくなったというのもある。

 いや、それしかない。

 ならもっとMPポーションを常備しとけよって話だな。

 MPさえ切れなければ今だって余裕で逃げ続けられたんだ。

 ドラードの核を通じてMPの共有とかできれば便利なんだろうけど、生憎そんな便利な機能はない。

 ならドラードがMP分けてあげるよーと術を唱えるなりなんなりすればできるんじゃないか?

 現時点で絶体絶命のピンチという奴なんだ、なにかしら好転できるようなアイデアが出れば試さない訳がない。

 「ドラード、オレにMPを分けようとしてみてくれないか?後でマジックポーションおごるから。っと」

 どうだろう?

 どうだろう。

 メッセージを送ってから脈を測る。

 1、2、3……規則正しく打つ脈を数えておけば少しでも気がまぎれると思ったんだけど、落ち着かないことに変わりがない。

 そりゃそうだ、いつ魔物が来るかも分からない中で攻撃態勢を解いて脈を測ってんだから。

 スゥー、ハァー、スゥー、ハァー

 喉仏の横辺りを触っていた手を短剣に戻し、構えの姿勢を取り直した後は自分の呼吸の回数を数えることにした。

 10回、20回、30回。

 MPは自然回復している感覚はあるけど、外部的要素で回復している感じは一切なく、ドラードの核もウンともスンともいわない。

 どうやらMP共有は無理……あえてしていないというなら別の話しにはなるのか。

 幸いHPは満タンで筋力には自信があるんだ、魔力に頼らずにここから脱出する術は他にあるはず。

 考えろ……大まかな作戦は、地上から穴を掘ってここまで降りてくる大量の魔物、1匹目がここにやってきた瞬間に空いた穴を通じて地上まで飛び出ることだ。

 こんな小さな短剣ひとつでは魔物の殲滅に期待はできないから、バーゲンセール開催日の開店直後の人だかりを身一つで押し退ける位の力が必要だろう。

 魔物が開ける穴が大きければ倒した魔物を下に落としながら進めるけど、穴がギチギチに1人分の広さしかなければ、全ての魔物を地上まで押し切る必要があるのか……。

 それは地上までどれくらいの距離があるかによって難易度がかなり変わるな。

 構える剣をミキサーの刃の形状にして、思い切り回しながら突っ込んだらどうだろう?それなら倒した魔物は下に落ちるほどにまで小さくできるし、剣を回すのも魔力ではなく筋力。

 なら魔物がここまで到達する前にMPの自然回復分を全て剣の造形に充てて……それだと飛ぶことができなくなるな。

 とりあえず形にしてみるか……形状は風にあおられてひっくり返った傘みたいにして、骨組みの部分を全て刃にするというイメージだな。

 持ち手は人力で高速回転させるのは流石に無理があるから、ベアリングを付けて……回転数を上げるには刃先を重くした方が遠心力がかかっていいか?

 「……」

 スクリュー型にしてドリル作れば、横穴を掘って逃げられるのでは?

 いや、自分の筋力を信じるのならシャベル1本でもそこそこ行けるはずだ。

 よし、シャベルで穴を掘りながら逃げ回りつつMPの回復を待とう。

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