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考え込んでいる場合ではなかったと慌てて立ち上がる。
最後のマジックポーションを飲み干してバリア内の空間を大剣を振り回しても大丈夫なほどに広げ、魔物がバリアを破って入ってくるのを待つことにした。
煤のヘイト効果で集まってきていた魔物全てを一度に相手するには無謀でも、こうして単体で襲ってくる奴に関しては問題なく倒せる。
そもそもそれが狙いで地中に逃げたんだし。
バリアの中に最初の1匹が入ってきた瞬間に大剣で切り付けて倒し、続いて入ってきた魔物も切り倒す。
魔物はせっせと穴を掘って追いかけてきていたようで、地上にいた魔物がゾロゾロと1匹ずつ丁寧にバリアの中に入ってくるものだから、初めのうちは倒すのが簡単だった。
しかしバリア内が魔物の死骸で埋まってくると大剣を振り回すのが不便になり、そこからは地属性の短剣を使って攻撃をしたんだけど、そうすると1撃では倒しきるに至れず、1対1の構図が崩れた。
いくつかレベルは上がったもののレベルが上がった途端に全回復なんて便利なことは起きず、MPもHPも確実に減っていく。
オレが死ねば巻き添えを食らってドラードも死んでしまう訳だから、ここで負けるわけにはいかない。
一か八かだ!
オレは魔物が入ってくる穴とは別の場所から、今度は真上に向かって地中を移動した。
風魔法で上に飛びながら地魔法で地中に空間を開け、そして通ってきた道はしっかりと埋める。
もちろんまたせっせと穴を掘って付いてくることは想像がついたから、穴を埋める時に板状のバリアを張って強度を増しておく。
MPが底をつきかけているのだろう、かなり頭が痛いし苦しい。
でもだからって止まればオレもドラードもおしまいだ。
「くそ……」
地上まで後どれだけあるかも分からない中、頭痛の質が変わったので立ち止まるしかなくなった。
後1歩でも動けばMPを使い果たして気絶してしまいかねない。
こんな魔物に追われている状況で気絶なんかしたらどうなることか……ゲームでは気絶したらヘイト効果が切れるけど、実際でもそうなるとは限らないから試してみる気にもならない。
「マズイな」
バリアも張れない、空間を広げることもできないこんな中で魔物が上から来るのか下から来るのかが分からない。
いや、オレは真上に逃げてきているから、バリアまで降りてきていた魔物がここまで来るにはオレと同じように飛べる個体じゃなければ上がっては来れないだろう。
だとすると、警戒するのは上だけで良いのか……。
決めつけは良くないな。
とりあえずMPの自然回復を狙って座り込むしかないんだけど……落ち着かない……。




