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無属性の玉を打ち合え。
教師が生徒に与えた課題はそれだけだった。
だからオレとドラードは無属性の玉を出して投げて相手に当てようと奮闘したのだ。
それだけじゃない。
飛んでくる玉が他の生徒の邪魔にならないよう魔法で打ち落とした。
打ち落とし損ねるとマイナスポイントが付く。とのルールまで作り、それはもう1つの遊びとして確立された。もちろん、俺とドラードの中でだけだ。
だからほんの少し……いや、随分と長い時間気が付かなかった。
無属性の玉を出す。
それ自体がかなり難しい事だったなんて。
魔力は高いが体力はそこそこ低かったドラードが休憩だと手を挙げ、そこでしょうがないな、とかなんとか言いながら笑って教室内を見渡すと、皆がこっちを見ているという異様な状況だったので、そこで気が付いた。
教師の顔が曇っている事から、オレとドラードはあまり褒められた事をしていなかったのだろうと想像が出来る。
でもさ、無属性の玉を出して打ち合えって説明しかなかったら、誰だってこんな感じになると思うけど?
それともなにか?無属性の玉を出せ。とか言っておきながら、無属性の玉を出したら駄目だったのか?
なんにせよ、感じ悪いなオイ。
「昔からこうだ」
隣にからポソリと愚痴にも満たない言葉が聞こえてきた。
「なにが?ですの?」
だからどうって事でもないんだけど、結構大きめの声で尋ねてみた。
教師が俺達を感じ悪く見ている事で、始めはポカンとしていただけの生徒達も1人、また1人と感じ悪くこっちを見てくる。
スティアは懸命に床を見つめているようだが。
「魔力の強い者を求めている癖、力を見せると、こうなる」
と、溜息を吐いたドラードが大きく腕を動かして教室内を示してくるので、納得するしかない。
「課題をこなす事が出来たのは私達だけですし、自習に致しましょう。ここにいても邪魔のようだしな?ですわっ」
こんな見世物のように見られる授業を受けるのなら、ドラードの体力をつける為に中庭を走っている方が余程有意義だ。
それとも、1組の上にもう1つ強者クラスを作ってくれるよう学園長に要望を出しに行こうかな?




