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カチカチに凍らせた池の上を何となく歩いてみて、スケートなんかが出来れば楽しいだろうな。とかなんとか考える。
可笑しいよな、前世はヒキコモリニートで完全なインドア派だったってのに、やれ騎士の訓練だの魔力強化だの、スケートだの。だから、もしかしたらエイリーンは物凄いアウトドア派だったのかも知れない。
それなのに自室に閉じ込められるなんて……。
ん?
校舎から1人、かなり完璧な無表情の男子生徒がこちらに向かって歩いてきている。
あれは未来の大魔法使いである朴念仁、スピンドル・ドラードだ。
攻略対象者なのにも拘わらず、その周囲にナナの姿はない。
「おい、これはお前がやったのか?」
そして表面だけ凍った池を指差しながらこうだ。
同じクラスで名前も知っているんじゃあ今更自己紹介もないだろうから、用件だけを直球で尋ねるのは実に無駄のない会話術といえるな。ならばオレも見習って答えだけを示そうじゃないか。
「そうですよ」
とは言っても、どうせこの後は質問攻めにあうのだろうな。
「どうやった?1人でやったのか?」
そぉーれみたことか。
とりあえず口で説明するのはかなり面倒臭いので、オレはドラードの手をとって中庭を移動し、凍っていない小さな池まで案内した。
ここまで大人しくついて来るのは意外ではあったが、無駄な労力を使わずに済んで良かったと思うだけにしよう。
「今からここで同じ事をしますので、良く見ていてくださいましっ」
こうしてオレは再び水の魔法を使って水を出し氷に変化させ、池の表面を覆った。
「なるほど……池自体を凍らせた訳ではないのか」
「えぇ。単純に魔法で生み出した水を氷にしただけなので、魔力の消費もそんなにないでござりますわよっ」
あ、魔力消費が少なかったら駄目なんだった。けど、風と違って水魔法は目立つから魔力消費が多くなればなる程大掛かりで派手な事になりそうだ。
池の表面を氷で覆う。たったこれだけの事でドラードに目を付けられてしまうのだから。
「この氷を水に戻す事は出来るのか?もしくは蒸発させるか……」
そうか、その手があったか。
少量の水を凍らせたり、水にしたり、お湯にしたりと変化させ続ければ全く目立たずに魔法を使い続ける事が出来るじゃないか!
流石魔法の天才ドラード、着眼点が違うな!




