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お泊り会当日、オレはケリーとドラード、ノータス、ベルノーズを連れて夜が明ける前には村を出発し、ナナ達との待ち合わせ場所である王都に近い町を目指した。
誰が参加するだろう?
ナナとセミオンとアフィオは強制参加だけど、来てなかったらどうするかな……前のように誘拐するわけにもいかないだろうし……。
あ、返事があるまでプレートキーチェーンに呼びかけ続けてみようかな?いや、待ち合わせ場所に来るまで連投で”来い”と送り続けてやろう。
とか考えていたというのに、待ち合わせ場所にはナナとセミオン、アフィオとスティアだけではなく、フィンとゼゼラまでのフルメンバーがいた。
「エイリーン……久しぶり」
「よぉ、おにぎり王子。カギは持ってきてくれたか?ですの?」
予想に反し、真っ先に話しかけてきたのはセミオンで、ドラードはどうせナナに見とれているんだろうと思ったが、今はセミオンと話しをしている。
ナナは急に学校をやめたノータスを心配していたのだろう、駆け寄ると状況を尋ねている感じだ。
まぁ、それを言うならケリーも同じ条件ではあるのだが……。
ベルノーズは一気に増えた人口密度に驚いたとでも言うのか、オレの後ろに隠れてしまった。
一時期はナナ達と行動を共にしていたというのに不自然極まりないんだけど、ゲーム内にこんなストーリーはないから、不自然イコールストーリーではないようだ。
「カギは、うん。持ってきた……けど、なにが目的なんだ?」
「全くだ。こんな意味の分からないことをするくせ、学校には戻って来ないのだな」
相変わらずメインヒーロー的な所作で近付いてきたのはアフィオで、その腰には剣が装備されている。
鞭じゃないってことは、ナナマジックにかかっているって証拠だな。
なら真剣に答えなくても問題はない。
どうせ、ナナさえ無事ならばオレがどうなろうと関係のない連中なのだから。
とはいえ、なにかしらは答えないとな……いいや、嘘とか誤魔化し文句を考えている時間すらもったいないわ。
「学校には戻るつもりでしてよ?ノータスとケリーを巻き込んでしまいましたもの」
「ん?呼んだか?」
ナナと喋っていたノータスが、クルリとこちらを向いて声をかけてきた。
「いや。学校に戻るか聞かれただけだ」
「ふぅん……で、これからなにすんの?」
そうだな、いつまでもここで再会の立ち話をしていたら道行く人の迷惑になるし、移動しながら目的を説明しよう。
「将来戦うことになるかも知れない奴と会ったから、その姿を共有しようと思ってさ」
軽い説明の後、皆はそれぞれ察してくれたらしくオレが道案内をしなくても試験を受けた森の中の遺跡に向かって歩き出した。
「え?なに?どういうこと?」
そんな中、不安そうな表情でオレの後ろを付いてきているベルノーズが、説明の追加を要求してきた。
確かにベルノーズはオードゥスの魔法学校に通ってないんだから、全くの意味不明だろう。
「トラウマになってる物を幻覚で見せて精神を鍛えようって試験が昔あったんだよ。それでオレとドラード、ケリーは守り神を実際にこの目で見たし、確実にトラウマになった。だから今そこへ行けば皆に守り神の姿を共有できると思ってさ」
そして姿を見ても恐怖状態にならなくなるまで……いや、試験に合格するまで続ける。
人数が多いから、合格した者から現地解散で良いかな。




